続・人間老いやすく、学成りがたし: #法律
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2023/09/20

公文書管理法と情報公開法は、あくまでも理念と目的をうたっているだけで、実際に運用するのは行政ですから、彼らがどう考えるかです。

  9月20日の朝日新聞デジタルの社説は、「「森友」公文書 開示が原則、徹底せよ」ですが、公文書管理法と情報公開法は、あくまでも理念と目的をうたっているだけなので、実際に法律を運用するのは行政ですから、彼らの考え方次第で、「開示」するか、そうじゃないかが決まります。

 「開示」するための法律だったはずなのですが、これらの法律ができて、逆に「開示」されなくなったことが多くなったのではないかと思います。法律ができる前は、自分たちの運用でよかったものが、法律ができるとその基準が当たり前になるため、自分たちの運用の幅も狭くなるわけで、それまでできていたことができなくなったということが多くなるのと同時に、法律が前提になるので、それの中で対応するしかなくなるので、できることがよけい狭くなるわけで、何か問題になるよりは、むしろ「開示」しないという方を選ぶわけです。

 「行政の裁量を広範に認め、情報公開制度の趣旨を理解していない」というよりは、問題にならないことを優先するので、本来の趣旨よりも狭くとらえていくのを前提としているわけで、行政は組織で対応するため、個人レベルでは理解していても、組織の判断になると変わってくるのです。不思議なもので、大勢で議論していくと、多くの場合無難な結論になっていくもので、誰も責任を取らなくても良い方に流れて行ってしまうため、森友問題も、なお多くのなぞが残ることになってしまうのです。

2023/07/09

静岡県が「公文書管理条例案」を、来年の県議会2月定例会に提出するそうです。

  7月6日の中日新聞デジタル静岡に、「静岡県、公文書管理で新条例案提出へ」という記事が出ています。

 静岡県は現在公文書の管理を、条例ではなく規則で行っています。もちろん規則でもきちんと管理できればよいのですが、庁内の都合でどうにでも変えられる規則よりも、議会で可決される条例による管理の方が、よりオープンであることから、他の都県でも「公文書管理条例」にするところが多くなっています。

 記事には、「2021年に熱海市で発生した大規模土石流を巡り、県が、県の行政対応を検証する第三者委の議事録などの公文書を残していなかった問題を受けて、管理方法の見直しに着手する」とありますが、同じ記事に「県は19年度から、有識者でつくる検討委で新条例制定に向けての議論を始めていた」とあるのは矛盾していますね。

 公文書の管理は、普段はほとんど注目されませんが、国での公文書をめぐる各問題の時もそうだったように、何かあった際には一気に注目され、問題視されるケースがほとんどです。静岡県も、たまたま熱海市の問題があったことで公文書が注目されたため、「それを機に見直しをする」ということにしているだけで、実際には庁内ではそれ以前から公文書の管理に関して問題を感じていたため、19年度から検討をしていたということです。

 それにしても時間がかかっていますね、情報公開条例の時には一気に行きましたが。静岡県の公文書管理規則は、情報公開条例をよりどころとしています。現在は各機関ごとバラバラの知事部局以外の公文書管理の規程も、知事部局と同じようなものですが、今度の条例案では「これまで知事部局や県教委など各機関で定めていた公文書の管理方法を統一」ということです。県の各機関の管理方法が統一されることは大変良いことですが、各機関とはどこまでは入っているんでしょうか?情報公開条例では、知事部局をはじめ、県教委、選管、人事委員会などの各委員会、県警、公立法人、三公社と、ほとんどすべての機関が対象になっています。情報公開条例と同じように、県のすべての機関が対象になっていることが理想的ですが…。

 また、「所属長判断だった保存期限が切れた文書の廃棄は、文書課への報告と有識者でつくる外部の審査会の意見を受けて判断する」とあります。公文書の廃棄に関して外部の審査会の判断を仰ぐって、県の公文書なんですから、本来は外部に頼るのではなく県にアーキビストをおいて、県の責任でやるべきなのです。外部に頼りっぱなしでは、日常的に公文書を扱う県職員の公文書に関する能力が向上しないですし、そういうところを自分たちの責任できちっとやらないと、何かの際に、県民から疑いの目を向けられるような事案が発生しかねないのにって思うと、今回もどこまで本気になってやるんだろうって思ってしまいますね。

2023/05/21

文化財保護法って、どうしてこんなに認識されていないんだろう?

 5月18日の朝日新聞デジタルで、「戦国時代の城跡掘って「宝探し」 ユーチューバーが法律違反?」という記事が出ています。

 全国各地で金属探知機を使い宝探しをする番組をユーチューブに投稿している男性が、 埼玉県秩父市の「熊倉城跡」で土を掘り起こす動画を投稿したことで、この行為が文化財保護法違反の恐れがあるとして、県文化資源課Twitterで呼びかけたということです。

 男性は、「撮影前、地面を掘るにあたり県への手続きが必要かどうかインターネットで調べたが、軽く掘削する程度なら必要ないと判断。掘る範囲も山道やその周囲にとどめたため、法律違反にならないと考えたという。」ことなのですが、インターネットで調べたということなので、勝手に掘ったらまずいという認識はあったのでしょうから、それならば何故文化財保護法違反の可能性を認識しなかったのでしょうか?文化財保護法って、そんなにマイナーな法律なんでしょうか?

 文化財を、届け出なしで勝手に掘ったり削ったりして改変する行為が問題になるニュースはたびたびあるわけですが、そのたびに文化財保護法を何故知らないんだろうって思います。もっと周知すべきです。近年は、学校と地域と連携・交流の動きがけっこう行われていると思いますが、その際に地元の文化財についてもふれることもあるはずですし、歴史の授業で文化史をやるわけですから、それほど詳細な内容はいらないので、簡単に学校で教えても良いのではないかと思います。

2023/04/24

『生成AI(Generative AI)の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)論点の概観:2023年3月版』を一読しておくと良いですね。

 4月22日の朝日新聞デジタルに、「ChatGPTの急拡大「新技術の練習問題に」 阪大が課題を整理」という記事が出ています。

 大阪大社会技術共創研究センターが、対話型AI「ChatGPT」などの生成AIとのつきあい方を考えるための基礎資料として、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の論点を『生成AI(Generative AI)の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)論点の概観 : 2023年3月版』にまとめたことを紹介する記事です。

 「大阪大はこの報告を参考に、生成AIの利用についてのガイドラインを定めた。」ということなので、まずはこれを読んで、課題の論点を概観しておくと良いと思います。

 新聞記事のなかで、「チャットGPTに限らず、次々と新技術は登場する。そういう際に極端に走らず、冷静に受け止めるにはどうしたらいいか。今回は練習問題と考えられる」と述べられていますが、確かに次々と新技術が出てきて、いろいろと混乱し、パニックになることもあります。できるだけ冷静に行動できるように訓練が必要です。

2023/02/10

学芸員の資格を取っても、正規での就職先が少ないので、認定試験が隔年になってもあまり支障がない気がしますが…。

 2月8日の朝日新聞デジタルに、「学芸員資格の認定試験が隔年に 「取得の機会が減る」と関係者は反発」という記事が出ています。

 試験を受けて資格を得る人が少ない現状をふまえ、学芸員の資格を認定する試験が2024年度以降、隔年の実施に減らす見直しを含む博物館法施行規則の一部を改正する省令が10日に公布されることを受けて、「取得機会を減少させる」と関係者が反発しているとの内容ですが、毎年約1万人前後が取得しているとされる学芸員資格は、大半が大学で博物館に関する科目の単位を取ることで資格を得ていて、今回の改正で、現行の「毎年少なくとも各1回」から「少なくとも2年に1回」に減らす認定試験は、「筆記試験は毎年100人前後、審査は50人前後が出願している」とされています。

 確かに「2年に1回」となることで単純に取得機会が減ることは事実ですが、毎年約1万人前後が取得しているとされる国家資格である学芸員資格は、正規の就職先が少なく、非常勤の学芸員が多いのが現状であることを考えると、資格をとってもそれを活用できるチャンスは少なく、学芸員になりたくて資格を取っても、あっても非常勤での勤務では、資格を取る意義があまりない感じがしてしまいます。学芸員の就職先がすぐに増えることはないにしても、せめて非常勤ではなく正規の採用があれば、学芸員資格の取得機会が減ることに対してなりたい人から文句が出そうですが、現状ではそれもあまりないでしょうね。専門職の国家資格なのに、そもそも専門職であることがあまり重要視されていないのですから、関係者が文句をつけるのは(専門職であることを重要視するよう訴えていることは知っていますが)そこじゃないですし、パブコメを経て公布されることになったわけですから、いまさら感は否めないですね。

2023/02/04

「戸籍法」で、漢字の読みに制限を加えるっていうのは、ちょっと微妙な感じがしますが…。

  2月2日に開催された「法制審議会戸籍法部会第14回会議」で、「名前の読み方は「一般に認められているものでなければならない」という規定を戸籍法に設ける案をまとめた」ことが、各メディアで報じられています。

 確かに学校などの名簿を見ると、どう読むのか悩む名前、「キラキラネーム」が時折見受けられます。初見で読めない名前というのは確かに困りますが、一度覚えてしまえば、むしろ忘れない名前でもあります。どのような名前も、親は少なくとも命名時には、いろいろ悩み考えた結果つけているはずです。ただ、子どもからすれば、それをどう判断するかは別です。周りがどう思おうと、子ども本人がそれに満足していれば、周りがとやかく言うものではないでしょう。仮に、初めの頃は違和感があっても、ある程度時期が経てば、それが当たり前になって、何とも感じなくなってくるのが人間ってものです。

 一方、言葉は生き物ですから、時代によって変わるのは当たり前です。仮にその読みが、人々に受け入れられなければ、廃れていくだけですから、自然に淘汰されていくはずで、それを法律で規制するのは微妙な感じがします。むしろ規制する必要があるのか、疑問にすら感じます。

2022/10/24

楽曲の利用主体はどこかがポイントとになったのが、今回の音楽教室訴訟です。

  今日10月24日、最高裁で、音楽教室でのレッスンで生徒が楽曲を演奏する際、教室は著作権料を払う必要があるかが争われた訴訟の上告審の判決が出ました。朝日新聞デジタルに、「生徒の演奏「著作権料は不要」 音楽教室訴訟、JASRAC一部敗訴」と出ています。

 この裁判は、「カラオケ法理」に沿った「楽曲の利用主体は教室だ」との一審の東京地裁判決に対して、二審の知財高裁判決は「利用主体は生徒自身」とされていました。カラオケ法理の「管理・利益」という概念には、「あいまいで、ゆるく解釈すれば著作権料を払う範囲が広くなりすぎる恐れがある」との批判があり、二審判決は「カラオケ法理との決別」との声がありました。

 今回最高裁は、楽曲の利用主体という点に関して、「講師の演奏」は教室側が著作権料の支払いを課されるということで決着しているため取り上げず、地裁と高裁で結論が割れた「生徒の演奏」に論点を絞って上告を受理し、「音楽教室でのレッスンで生徒が楽曲を演奏する際、利用主体は生徒自身であるため、教室は著作権料を払う必要はない」との判決となりました。

 まぁ、ある意味、分かりやすい結論ですね。

2022/08/17

2021年著作権法改正に関して、日本図書館協会著作権委員会がまとめています。

  日本図書館協会(JLA)著作権委員会が、「2021年著作権法改正と図書館サービス」というタイトルで、2021年著作権法改正に関して、改正の概要、図書館実務への変化についてまとめています。

 「改正の概要」はいろいろなところで述べられていますが、「著作権法の改正等に伴う、図書館実務での変化」は、図書館の現場においては知っておくと便利だと思いますので、良いですね。