続・人間老いやすく、学成りがたし: #資料
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2023/09/23

災害時は人命第一、歴史資料が後回しになるのはやむを得ないですね。でも、市民ボランティアがいると助かりますね。

 9月19日の朝日新聞デジタルに、「台風、地震… 頻発する災害で傷つき失われる歴史資料、どう守る?」という記事が出ています。

 近年頻発する自然災害により、全国各地で貴重な歴史資料の保管が窮地に陥っていますが、災害時は人命第一です。歴史資料が後回しになるのは、やむを得ません。

 そもそも博物館や美術館、図書館などの保管庫は、スペースの都合や搬出搬入の関係の都合上、多くの場合は地下に作られることが多いので、その時点で災害時に水没等被災する可能性は高いわけです。保管庫を新設する際に、少なくとも地下ではなく、立地が許せば高台で、縦建物の2階以上に設置できれば、かなりリスクは下がりますが、まったく新規に保管庫が設置されることは多くないでしょうから、新たな保管庫が確保できるとすれば、既存施設の空きスペースということにならざるを得ないでしょう。そうだとすると、物によって置き場所を検討することでリスクを減らすようにするしかないわけです。

 一番無理がきくのは埋蔵文化財資料でしょう。具体的には石器や、陶磁器の類、土器も物によっては多少水没しても大丈夫のものもありますが、これらは仮に水没して泥をかぶっても、洗い流せば済む場合が多いので、建物の地下または1階に保管するようにするしかないでしょう(そもそも重いですから、上階には上げられないわけです)。

 木製品や金属製品も少しくらいなら水に濡れても大丈夫でしょうが、後のメンテナスが大変なので、できれば濡れない場所に保管したいものですが、一番濡らしたくないのは、紙資料です。紙は濡れるとくっついてしまうので、できれば上階に置きたいですが、一番量が多い資料でもあり、量によっては重さもかなりのものになるので、どうしても地下や1階になりがちですが、貴重なものは別置して濡れない場所に置きたいですね。

 9月20日の朝日新聞デジタルには、「ぬれた古文書を修復、デジタル保存も 市民に広がる歴史資料の救い手」という記事が出ています。

 行政に頼るのは、もはや時代遅れです。地元の人間にとって大事なものは、市民の手で守ることが一番ですので、一人でも多くの市民ボランティアが育ってくることは大切ですね。

 20日の記事にもありますが、紙資料が実際に濡れてしまっても、レスキューの技術は確立されています。全史料協や各地の文化財ネットワークなどで、レスキューのノウハウを持った人たちにつながることができるので、実際に被災したら、ノウハウを持った人たちに助けを求めることが一番です。

 現在は全国で保存されている歴史資料は非常に多いので、どうしても被災の可能性は高まります。すべてを救うことが不可能であり、それゆえ、ある程度失う資料が出てくるのも仕方がないことだと思います。多少失う歴史資料があるのは仕方がないことを前提に、保存上、レスキュー上の優先順位を決めておいた方が良いでしょう。

 9月21日付け朝日新聞デジタルには、「出土品は増え続け、収蔵庫はあふれる どこにしまう問題に悩む自治体」22日付けでは「「整理」される民具 人々が暮らしてきた歴史を未来に伝えるには」として記事が出ています。歴史資料の保存は難しいですが、あるものすべてを保存しようとすると無理が生じるのも事実です。トリアージと同じで、優先順位の高いものを残すという発想で臨むしかないでしょうね。

2023/09/18

政府による朝鮮人虐殺は「記録ない」は、資料のつまみ食いですね。

  松野博一官房長官は8月末に「記録が見当たらない」との発言が、中央防災会議の専門調査会が2009年に出した報告書を根拠資料としているということで、朝日新聞デジタルでは、9月17日付けで「朝鮮人虐殺の記録に透ける「何とか小さく」 研究者「今の政府も」」、9月18日付けで「政府は朝鮮人虐殺「記録ない」 報告まとめた学者は「読んで判断を」」という記事が出ています。

 17日の記事のほうでは、公の記録はいろいろあるにもかかわらず政府は無いとしていることへの批判であり、18日の記事は中央防災会議の専門調査会が2009年に出した報告書は、「政府機関が当時公表した情報からどれだけのことが言えるかという、非常に限定的な範囲のもので、当時の政府発表の焼き直し」であり、当時の委員が、「過小評価しているという批判は当然こうむるだろうと思いながらまとめたもの」であるものなので、それを根拠とすれば、「無い」との判断になるのは当たり前で、自分の都合がよいように資料をつまみ食いする典型のものです。

 世の中は、資料をつまみ食いすることが多いので、様々な発言は、その根拠に戻って確認しなければならないということを、世に広く知らしめる事例が、今回の政府見解ですが、そのような訓練を受けている研究者はともかく、多くの人はそのまま鵜呑みにしてしまうので、訓練を受けたものがきちんとその間違いを指摘することはとても大切なわけで、微力ながら、このブログも、その一部として役に立つことを期待して書いています。

2023/09/10

100年経って、関東大震災での事の真相がかなり明確になってきましたが、一般的な認知はこれからですね。

  今日9月10日の朝日新聞社説は、「虐殺の記録 史実の抹消は許されぬ」というタイトルです。

 「関東大震災の際、流言を信じた市民や軍、警察によって朝鮮半島出身の人たちなどが虐殺された。この歴史的事実について、政府が「記録がない」といい続けている。」という問題はよくあることで、そもそも政府の見解が正しいと思っている人は、(内容にもよりますが)それほど多くないのではないでしょうか。

 今回の関東大震災100年で、朝日新聞を始め、いろいろと新しい歴史資料が発掘され、または映画や書籍などが作成されて、これまでの研究の蓄積と合わせて、虐殺の事実は(すべてではないですが)かなり明確になった感がありますが、一般の人たちの認知はどれほどでしょうか。以前も書いたことがありますが、そもそも100年前の9月1日に関東大震災があったということは、20代より若い人たちにとっては歴史の授業で習う出来事の一つであり、30代あるいは40代の人たちにとっても、あまりピンと来ない話なのではないかと思います(50代にとっては、石橋克彦氏の「東海地震説」による9月1日の防災訓練のインパクトがあったので、それなりに認識されていると思いますが)。

 一般の人たちにとっては、現状では政府のあやしいコメントすら信用する人たちがいるだろうと想像されるわけですが、ある程度歴史的事実として明確な話が多くなってきた今からが、過去の出来事を認識していくものと思われるのであり、政府のあやしいコメントを信じさせないようにするためにも、歴史にかかわっている人間にとっては、これらの成果を広め、認知させていくようにしていかねばならないだろうと考えます。

2023/09/01

「関東大震災100年」、改めて強く認識することが必要です。

  今日2023年9月1日は、「関東大震災100年」です。朝日新聞でも社説は「関東大震災100年 安全な社会になったのか」というタイトルです。

 朝日新聞は「関東大震災100年」で特集ページを設けて、さまざまなコンテンツをそろえています。最近は学校で行う防災訓練は、夏休みが8月31日までではないところが多くなっていることからも、9月1日の始業式の後に訓練をするというところが少なくなり、子どもたちも9月1日が何の日なのかよくわからないということもあるようですが、これを機に朝日新聞の特集ページなどを利用しながら、地震について考えるということが必要でしょう。何故ならば、朝日の社説にもあるように、関東大震災から100年経っても安全な社会になるどころか、ますます混迷を深め、安全ではない社会になっているからです。

 静岡県に関しても、今日の朝日デジタル静岡版で、「静岡県内450人犠牲、教訓生かす 関東大震災100年」ということで、県東部地域を中心に地震や津波の被害に見舞われ、約450人が犠牲になったことや、先日このブログでも紹介した伊東市の津波被害のことなどが紹介されるとともに、宝台院へ被災者が避難したことや、デマに乗じて中国人や朝鮮人、社会主義者らが虐殺された問題についても記載されています。特に静岡は、静岡市の沓谷霊園にある大杉栄と伊藤野枝の墓があり、墓前祭が開かれていましたが、それも100年を機に終わりとなることが記されています。

 このように「関東大震災」は、いまだに多くの学びを提供してくれます。「関東大震災」について認識を新たにし、学んでいく必要があるでしょう。

2023/08/21

「佐紀古墳群航空レーザ測量調査速報成果資料集」が、「全国遺跡報告総覧」にアップされています。

 昨日8月20日に速報が出ていた「佐紀古墳群の航空レーザー測量」ですが、今日21日に「全国遺跡報告総覧」に「佐紀古墳群航空レーザ測量調査速報成果資料集」として、アップされています。

 この測量調査自体は、かなり良い資料を提供してくれていますが、このような調査を個人レベルで、おまけに費用をクラウドファンディングで調達して行うって、良いことなのか判断に悩みますね(宮内庁管理下の古墳が対象って意味で)。

 まぁ、今まで行政が主体で行っていたようなことを、クラウドファンディングで広く資金を調達して行うという方向でやっていけば、どこからも文句が出ないので(文句が出るのは大概お金の話で、特定の何かに公金を使うのがどうこういう話が多いので。今回の調査は宮内庁から許可をとってやっているんでしょうし。)、うまく資金が調達できれば、他の調査にも応用できますね。

 博物館の例を考えても、クラウドファンディングという方法で資金を調達して何かをやるという方法は、時代にマッチしているんでしょうね。今後、この資金調達方法が主流になっていくのかなぁ。

2023/07/18

「街の昔の日常や人々の暮らしが知りたい」という希望に答えるレファレンス、良いと思います。

 7月15日の朝日新聞デジタルに、「図書館で「思い出」検索 司書は気づいた「後に知りたいと思うこと」という記事が出ています。大阪市立図書館のホームページの「思い出のこしプロジェクト」を紹介するものです。

 「街の昔の日常や人々の暮らしが知りたい」というレファレンスをたびたび受けたことから考え出されたものなのだそうですが、名所の記録や成り立ちなどの行政資料は多く存在しますが、子どもの頃に遊んだ空き地や公園など、見慣れたまちの風景も、何年かすると面影もないくらい変わってしまうというのは事実で、田舎でも変わらないようでいて、どこか変わっていくものです。それを調べようとすると、案外と難しいというのは納得ですね。

 そのような地域に関する情報を集約するのに、図書館はうってつけです(公文書館でも良いのですけど、まだまだ全国津々浦々にあるというものではないので)。

 このような取り組みは非常におもしろいですし、重要なことだと思います。先日静岡県の新しい中央図書館の話題を取り上げましたが(こちらです)、9階にできる県史の資料等を集約した場所こそ、このような地域情報を集めて、「ココに来れば、昔の静岡のことが何でもわかる」という場所になってもらいたいなぁと思います。

2023/07/17

朝日新聞の連載「偽りの帝国 満州アヘンマネーを追う」がおもしろいです。

 朝日新聞で「偽りの帝国 満州アヘンマネーを追う」と題した全5回の連載が掲載中です。

 満州国のアヘン問題を題材にした「週刊ヤングマガジン」(講談社)に連載中の「満州アヘンスクワッド」や、故山田豪一さんの未定稿を、旧友の森久男・愛知大学名誉教授が2021年に「続・満洲国の阿片専売」(汲古書院刊)として刊行されて注目されています。

 この連載の7月11日付け第1回に、コメントプラスで編集委員自身のコメントが読めるようになっています。それによると、この連載は「続・満洲国の阿片専売」の刊行がきっかけで取材を始めることになったとのことですが、「取材をすればするほど、眼前の闇が広く深くなっていくのを感じるばかりでした。解明しなければならないことはまだまだまだ多いと痛感しています。」とコメントしています。確かに満州国のアヘン問題はわかっていないことが多く、故山田豪一さん、よくぞ「満洲国の阿片専売-わが満蒙の特殊権益の研究」を刊行し、「続・満洲国の阿片専売」が刊行できるほどの未定稿ができたものです。

 プレミアムA「満州 アヘンでできた“理想郷”」も必見です。こちらでは、「満州を知る10のワード」、「カラー化写真ギャラリー」、「参考文献・クレジット」が確認できます(特集としては、本来こっちがメイン?のような気がしますが…)。

2023/06/20

「ふるさとちば古写真デジタルアーカイブ」、こういうのを作っておくことは大事ですね。

 千葉県立中央博物館で、「ふるさとちば古写真デジタルアーカイブ」が公開されています。

 千葉県誕生150周年記念事業として、同館が所蔵する古写真約200枚とともに、一般から応募のあった古写真を、同デジタルアーカイブで紹介しています。古写真を通じて千葉のあゆみを振り返り、その記録と記憶を未来へ残していくことを目的としたアーカイブサイトが、「ふるさとちば古写真デジタルアーカイブ」です。

 過去の出来事をさぐる方法として、写真ほど様々な情報を読み取れる資料はありません。最近は簡単に動画が撮れるようになったので、その情報量は写真を上回りますが、150年前を語る動画はありませんし、数から言えば写真の方が多いですから、写真は情報の宝庫です。

 「人々はどんな服装をして、何を食べ、どんな場所で暮らしていたのか。どうやって生計を立て、何に娯楽を求めていたのか。そんな人々の生活の一端を、写真からは知ることができます」。また、「写真そのものに記録された情報だけでなく、その写真にまつわる記憶もまた、未来へ残していきたい」宝です。

 「過去と今を見比べる」「写真で振り返る年表」などのほか、エリアや年代ごとに写真を見ることができます。

2023/06/16

関東大震災の記録、よくぞこのようなものを撮っておいてくれました。

 6月13日の朝日新聞デジタルに、「「なんで撮ってんだ」殺気立つ被災現場 関東大震災の記録が映画に」という記事が出ています。

 国立映画アーカイブに、「関東大震災映像デジタルアーカイブ」があり、そこに関東大震災の様子を記録し、映画化されたものが、公開されています。国立映画アーカイブでは約20作品の映画フィルムを所蔵していますが、そのうち13作品が「関東大震災映像デジタルアーカイブ」で全編を見ることができます。その13作品は以下の通りです。

 『關東大震大火實況』やその弁士説明版、『関東大震災』[返還映画版]、『帝都の大震災 大正十二年九月一日』、『東京大震災』、『関東大震災実況』、『東京関東地方 大震災惨害實况 大正十二年九月一日二日三日』、『帝都大震災 大正十二年九月一日』(別題名『震災ト三井』)、『大正十二年九月一日 帝都大震災大火災 大惨状』、『関東大震災』[伊奈精一版]、『大正拾弐年九月一日 猛火と屍の東京を踏みて』、『大震災以前 帝都 の壯觀』、『復興帝都シンフオニー』、『帝都復興』

 これらの作品を撮影したカメラマンのうち、岩岡商會の岩岡巽、日活向島撮影所撮影技師の高坂利光、東京シネマ商會の白井茂の3人に焦点をあてた記録映画「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」を、一般社団法人「記録映画保存センター」が制作し、この8月から公開されることを紹介したのが、朝日新聞の記事です(上記の「記録映画保存センター」のリンク先で、映画の予告編が見れます。また、8月の上映に先行して、6月28日の「記録映画アーカイブ・プロジェクト 第14回研究上映会」で特別上映されます。参加無料・当日先着順・申し込み不要で定員100名です)。

 今年2023年は地震発生から100年です。改めて、このような素晴らしい貴重な記録を残してくれた上記3人のカメラマンをはじめ、関係者には感謝の気持ちしかないですね。

2023/06/11

本来お金をかけるべきところに金をかけない。行政は文化をきちんと理解していない。

 6月7日の「日本図書館協会」ホームページのお知らせ一覧に、「「図書館非正規職員の処遇にいてのお願い」を都道府県知事、市長、東京23区長へ送付しました。」と出ています。昨日、日本図書館協会の植松貞夫理事長らが記者会見したので、各紙にニュースとして出ていますね(朝日デジタルは6月6日付け、東京新聞Webが6月7日付け)。

 日本図書館協会の調べでは、2022年の国内公立図書館の職員数約4万人のうち、4分の3が非常勤や派遣などの非正規職員で、08年に比べて約3割増、それに対して専任職員は約3割減ということです。

 その非正規職員の約6割が、図書の専門職である司書・司書補の有資格者ということなので、「専門的なスキルが必要な図書館の業務は、すべて非正規職員がやっています」という東京新聞の記事は、おおげさな話ではありません。

 本来専門職は正規で採用すべきです。何故ならば、非正規では雇用が安定しないため、専門的な知識が職場に受け継がれていきにくい、その職員がいなくなってしまうと引き継ぐ人がいなくなってしますうということが起こりえるからです。もちろん正規職員でも、頻繁に移動するようではダメで、専門職として通常の職員とは別の異動をさせるようにすべきです。

 近年では図書館司書に限らず、博物館学芸員なども非正規で回すという状況になっていますが、これら専門職は安定した雇用のなかでこそ、その役割が活きてきます。このような部分にこそお金をかけるべきで、それができないようなところは、文化的に低いと考えざるを得ません。残念ながら現代の日本は、そういうところが多いように思います。                                                                                                                                                                                                                                                    

2023/06/09

これぞ「デジタル公文書館」、「大分市デジタルアーカイブ~おおいたの記憶~」

 6月1日に、「大分市デジタルアーカイブ~おおいたの記憶~」が一般公開を開始しました。

 「大分市歴史資料館・大分市美術館・大分市民図書館が所蔵する資料、市内に所在する国・県・市指定の文化財、市内各地を写した古写真・絵葉書など、約1,500件の文化資源が閲覧できるようになってい」るということです。

 「スペシャルコンテンツ」では、高精細Webギャラリー公開システム「Gaze-On」を利用した「御城下絵図」の高精細画像、先端技術(3D技術)により撮影された360度自由な視点で閲覧が可能な、絵巻物「御城下絵図」の高精細画像、「国崩し(大砲)」や「華南三彩貼花唐草文五耳壺」の3Dモデルも公開されています。

 また、『大分市史』や合併前の自治体市も、PDFで張り付けてあります。

 これだけのコンテンツがそろっていれば、リアルな「公文書館」に匹敵するか、もしかしたらそれ以上かもしれません。まさに「デジタル公文書館」です。リアル公文書館が無い自治体が目指す、一つの形かもしれません。お金、どれくらいかかってるのかなぁ。

2023/06/06

「和歌山県歴史資料アーカイブ」の「授業で使える和歌山の資料」は、本当に授業で使えると思います。

 和歌山県立文書館が開設している「和歌山県歴史資料アーカイブ」で、新しく「授業で使える和歌山の資料」が開設されています。和歌山に関する資料のデジタル画像と解説シートがセットになっているものです。

 現在、近世の「キリシタン禁制の触書」、「大塩平八郎の乱首謀者人相書(部分)」と、近現代の「学制に関する和歌山県布達(太政官布告第 214 号(「被仰出書」)添付)」、「改正地券(紀伊国海部郡西浜村(現和歌山市西浜))」、「田辺改進党団結の趣意(部分)」のみですが、鮮明な史料のデジタル画像、史料の翻刻、近世の史料には意訳、語句・人名説明があって、それに解説がついています。さらに「活用のポイント」、出典、関連資料・ウェブサイト等、参考文献リストまでついて、いたせりつくせりの内容になっています。

 これだけしっかりと作られていれば、普段あまり史料にふれたことがない先生でも、授業で活用できるはずです。また、和歌山県の人でなくとも、これだけ詳細に作りこまれたものなので、十分使えるはずです(自分なら使います)。あとは、史料の数がもっと増えてくれることを期待するのみです。

2023/05/05

山形大学附属博物館が、山形のまちの「記憶」を公開する「山形アーカイブ」を公開しています。

 山形大学附属博物館が、山形大学附属博物館をはじめとする山形県内の史料保存機関や、山形大学の学生で組織する「まちの記憶を残し隊」が集めたまちの「記憶」を一堂に公開するデジタル・アーカイブ「山形アーカイブ」を公開しています。

 山形アーカイブの構成は、以下のようになっています。

1.山形大学附属博物館

・三浦新七関連絵葉書:山形市出身の実業家で経済史家、政治家の三浦新七が、1903年(明治36)からのドイツ留学時代に収受した絵葉書2119点。

・地図:江戸時代から昭和戦前期の山形中心市街地の地図と、初代山形県令が建設した栗子新道の鳥瞰図が計15点。

・絵葉書:山形県、特に七日町など山形中心市街地の写真が印刷された絵葉書が計627点。

・絵画:1885年(明治18)に刊行された石版画集『三島県令道路改修記念画帖』で、『花魁』や『鮭』で知られる、日本で最初の「洋画家」といわれる高橋由一が原画を担当。

・写真:1868年(明治元)、東北地方で初めての写真館を山形七日町に開業し、1880年(明治13)には、山形県令三島通庸より「山形県御用写真師」に任命され、山形県庁、各郡役所、師範学校など 三島の土木事業の成果の数々を撮影した、山形写真術の祖・菊地新学が撮影した写真8点と、2004年に発行した『山形大学附属博物館50周年記念 明治の記憶 三島県令道路改修記念画帖』に掲載した現状写真111点。

2.山形市郷土館が所蔵する写真140点、絵葉書12点、文書38点、絵画11点、錦絵「済生館」の版木を含むその他5点。

3.最上義光歴史館が所蔵する、最上義光ゆかりの「備前国住長船祐定作、天文六年八月日」の銘を持つ脇差を含む刀剣類20点。

2023/04/15

「被爆の実相の伝承」のオンライン化・デジタル化事業Webサイト「被爆前の日常アーカイブ」が公開されています。

  長崎大学核兵器廃絶研究センターと国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が、2021年から取り組んでいる《「被爆の実相の伝承」のオンライン化・デジタル化事業》の一環として、「被爆前の日常アーカイブ」が公開されています。

 「被爆前の長崎」の写真、その写真を活用して作成した動画やスライド教材、被爆前後の長崎の航空写真を使用して作成したデジタルマップを閲覧できます。また、資料や写真の一部はダウンロードできます。

 「写真でたどる被爆前の日常」では、被爆前後の長崎の日常を写した写真と、写真をもとに作成したスライド教材が出ています。現在でも写真はかなりの量がありますが、まだ追加される予定だそうですし、それをもとにしたスライド教材も増えるとのことです。

 「航空写真を活用したアーカイブ」は、1945年8月7日と9月7日に米軍が撮影した長崎市の航空写真121枚を繋ぎ合わせて作成したオンラインマップで、被爆前後の長崎の様子を比較しながら見ることができますので、被爆前はどのような街並みだったのか、そして原爆によってどのように破壊されたのかがわかるようになっています。生き残った被爆者の方の「何もかもが無くなった浦上に、ポツンとコンクリートの建物だけが立っていた」という証言を表現するために、爆心地周辺の浦上エリアにおいて全壊を免れた、大きなコンクリートの建物の被爆後の姿を3Dで作成するなど、当時の情景を追体験できるようになっています。またVRモードが用意されていて、より立体的に体感できます。なお、今年度には広島版の作成も予定されているとのことです。

 動画「写真は語りかける」は、長崎への修学旅行や被爆体験講和の事前学習など、学校現場で使用する教材動画として作成されていて、大学生1・2年生を想定した90分授業での活用例が用意されていますが、もちろん中高生でも教材として利用できます。

 このように、かなり学校教材として活用できるものとなっていますので、まずは先生方がじっくり読み込んで、活用の仕方を考えてみるのが良いでしょう。

2023/04/10

「昭和館デジタルアーカイブ」は、かなり使えます。

 「昭和館デジタルアーカイブ」が公開されています。

 昭和館は、厚生労働省社会・援護局所管の国立博物館ですが、日本遺族会が運営を受託していて、国民が経験した戦中、戦後(昭和10年~30年頃まで)の国民生活上の労苦を後世代の人々に伝えていくことを目的としている博物館です。

 今や、昭和10年~30年頃までの出来事について、小中高生あたりが直接経験した人の話を聞ける機会はあまり多くありません。現場にいる教員も、それを語れる年代ではありませんから、「昭和館デジタルアーカイブ」の209件ある「オーラスヒストリー」の映像資料は、非常に有意義です。

 また、映像資料も2,596件もあり、特にアメリカ国立公文書館(NARA)から提供された1945~46年の映像は貴重で、なかでも広島、長崎や各地の空襲を受けた主要都市の映像は、今日のウクライナの惨状と並び、戦争が人びとの暮らしをいかに破壊するかを、強く実感させてくれる重要な記録です。

 「昭和館デジタルアーカイブ」を利用できるようになったことで、下手な道徳の教科書よりも、子どもたちに考えさせることができる教材が簡単に手に入ります。

2022/12/30

東大史料編纂所の デジタルギャラリーで、『日本中世気象災害史年表稿』が公開されています。

  東京大学史料編纂所の デジタルギャラリーで、藤木久志 編『日本中世気象災害史年表稿』(高志書院)CC BY 4.0で公開されています。

 この年表は、「10世紀初めから17世紀を少し越える時期にわたる、700年余りの日本中世社会の生活と環境に大きな影響もたらした、風損(大風)、水損(霖雨,洪水)、旱損(旱魃)、虫損(蝗害)、凶作、飢饉、疫病に関する、中世の史料情報14,000件余りを、ほぼ原文のまま年月日順に抄録したもの」です。気象災害に大きな関心が向けられるようになった今日において、大変重要かつ必読の資料です。

 また、史料編纂所では「編年史料(古代)編纂支援資源化データベース(MIDOH)」の利用が開始され、主として平安時代史料の編年史料集(大日本史料第1・2・3編、史料綜覧巻1・2・3、九世紀編年史料、自治体史編年史料など)の、史料本文データの登録が進められています。年月日及び綱文・書目・本文で検索ができ、版面画像またはそれに準ずるプリント形式画像の表示も行います。『静岡県史』資料編4のデータも登録されています。

2022/12/22

リニューアルした「国立国会図書館デジタルコレクション」、検索のヒット数がめちゃめちゃ多くなりました。

  「国立国会図書館デジタルコレクション」がリニューアルされましたね。Twitterでは、早くもいろいろな反応がありますが、好意的な反応が多いように見受けられます。

 まずなによりも、全文検索可能なデジタル化資料が増加しました。令和2年12月までにデジタルコレクションに登録された図書・雑誌などのデジタル化資料がテキスト化され、全文検索可能な資料が現行の5万点から約247万点に増加しています。キーワード検索をかけると、ヒットする数がものすごいです。

 プレスリリースによると、閲覧画面が改善され、書誌情報の表示位置を変更し、コンテンツの閲覧画面を大きくできるようになったり、デジタルコレクションから切り取った画像や手持ちの画像、またはウェブ上にある画像を使って、デジタルコレクションに収録されているインターネット公開(保護期間満了)の図書・古典籍の中から類似の図版(図、挿絵、写真等)を検索することが可能になったり、国立国会図書館オンライン、国立国会図書館サーチ、デジタルコレクションのいずれかのサイトでログインすれば、3つのサイト全てをログイン状態で利用できるシングルサインオンが可能になったりしています。

 とにかく検索可能件数が格段に多くなったことで、いろいろな資料がヒットするようになって、より良くなりました。

 また、『びぶろす』95号で、「調べ方を調べる」が特集になっています。「パスファインダー」のことや、「リサーチ・ナビ」のリニューアルなどが書かれていて、参考になります。

2022/12/16

国立教育政策研究所教育図書館の「個人旧蔵資料」データベースに、「深川恒喜文書」の書誌データが追加されました。

  国立教育政策研究所教育図書館の「個人旧蔵資料」データベースに、八洲学園大学研究室で保管され、2022年9月に教育図書館に寄贈された「深川恒喜文書」の書誌データが追加されました。 

 深川恒喜は、文部省在任中、学校図書館法制定を担当し、戦後初期の学校図書館制度化に尽力した人物として有名な人物で、『学校図書館の⼿引』(1948年)、「学校図書館基準案」(1949年)の策定にあたり、1953年に学校図書館法が成⽴してからは、学校図書館設⽴のための国庫負担⾦事務、司書教諭講習会の準備と運営、学校図書館実験学校の指定、図書館教育のための実践や研究を支援しています。

 八洲学園大学研究室で保管されていた文書は、文部省在任期間中に作成・収集したメモ・文書類187点で、司書教諭養成講習会関係文書や、学校図書館の図書及び設備関係文書、『学校図書館運営の手びき』作成ノートなどがあります。

2022/12/14

東洋文庫所蔵の「菱川師宣絵本」が公開されています。

  東洋文庫が、「菱川師宣絵本」の画像を、Toyo Bunko Media Repositoryで公開しています。

 『岩崎文庫貴重書書誌解題Ⅹ』に収録された、東洋文庫所蔵の29点の「菱川師宣絵本」です。

 『大和絵づくし』や『浮世続』、『東海道分間繪圖』などを見ることができます。Toyo Bunko Media Repositoryは、動きも早く、操作も簡単なので、ストレスなく見ることができて、大変良いですよ。

2022/12/12

デジタル庁が、「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」ベータ版を公開しています。

 デジタル庁が、ウェブアクセシビリティに初めて取り組む行政官や事業者向けに、ウェブアクセシビリティの考え方、取り組み方のポイントを解説する「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」ベータ版を公開しています。

 申請・手続等のデジタルサービスの重要性が増す中で、最新の技術動向を踏まえた、初心者が学習できる行政機関向けの研修資料が不足しているとの認識から作成されたガイドブックです。確かに参考になります。

 ただ、これ、デジタル庁のTwitterで知らされているのですが(そもそも何故Twitter?)、このガイドブック自体は、デジタル庁のホームページの「資料」というところにあるのですが、それ自体がわかりにくいですし、デジタル庁のホームページ自体があまり見やすくなく、「ウェブアクセシビリティの考え方、取り組み方のポイントを解説するガイドブック」を出しているところが、ウェブアクセシビリティの改善が出来ていないような気がするのですが…。