続・人間老いやすく、学成りがたし: #公文書
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2023/09/20

公文書管理法と情報公開法は、あくまでも理念と目的をうたっているだけで、実際に運用するのは行政ですから、彼らがどう考えるかです。

  9月20日の朝日新聞デジタルの社説は、「「森友」公文書 開示が原則、徹底せよ」ですが、公文書管理法と情報公開法は、あくまでも理念と目的をうたっているだけなので、実際に法律を運用するのは行政ですから、彼らの考え方次第で、「開示」するか、そうじゃないかが決まります。

 「開示」するための法律だったはずなのですが、これらの法律ができて、逆に「開示」されなくなったことが多くなったのではないかと思います。法律ができる前は、自分たちの運用でよかったものが、法律ができるとその基準が当たり前になるため、自分たちの運用の幅も狭くなるわけで、それまでできていたことができなくなったということが多くなるのと同時に、法律が前提になるので、それの中で対応するしかなくなるので、できることがよけい狭くなるわけで、何か問題になるよりは、むしろ「開示」しないという方を選ぶわけです。

 「行政の裁量を広範に認め、情報公開制度の趣旨を理解していない」というよりは、問題にならないことを優先するので、本来の趣旨よりも狭くとらえていくのを前提としているわけで、行政は組織で対応するため、個人レベルでは理解していても、組織の判断になると変わってくるのです。不思議なもので、大勢で議論していくと、多くの場合無難な結論になっていくもので、誰も責任を取らなくても良い方に流れて行ってしまうため、森友問題も、なお多くのなぞが残ることになってしまうのです。

2023/07/09

静岡県が「公文書管理条例案」を、来年の県議会2月定例会に提出するそうです。

  7月6日の中日新聞デジタル静岡に、「静岡県、公文書管理で新条例案提出へ」という記事が出ています。

 静岡県は現在公文書の管理を、条例ではなく規則で行っています。もちろん規則でもきちんと管理できればよいのですが、庁内の都合でどうにでも変えられる規則よりも、議会で可決される条例による管理の方が、よりオープンであることから、他の都県でも「公文書管理条例」にするところが多くなっています。

 記事には、「2021年に熱海市で発生した大規模土石流を巡り、県が、県の行政対応を検証する第三者委の議事録などの公文書を残していなかった問題を受けて、管理方法の見直しに着手する」とありますが、同じ記事に「県は19年度から、有識者でつくる検討委で新条例制定に向けての議論を始めていた」とあるのは矛盾していますね。

 公文書の管理は、普段はほとんど注目されませんが、国での公文書をめぐる各問題の時もそうだったように、何かあった際には一気に注目され、問題視されるケースがほとんどです。静岡県も、たまたま熱海市の問題があったことで公文書が注目されたため、「それを機に見直しをする」ということにしているだけで、実際には庁内ではそれ以前から公文書の管理に関して問題を感じていたため、19年度から検討をしていたということです。

 それにしても時間がかかっていますね、情報公開条例の時には一気に行きましたが。静岡県の公文書管理規則は、情報公開条例をよりどころとしています。現在は各機関ごとバラバラの知事部局以外の公文書管理の規程も、知事部局と同じようなものですが、今度の条例案では「これまで知事部局や県教委など各機関で定めていた公文書の管理方法を統一」ということです。県の各機関の管理方法が統一されることは大変良いことですが、各機関とはどこまでは入っているんでしょうか?情報公開条例では、知事部局をはじめ、県教委、選管、人事委員会などの各委員会、県警、公立法人、三公社と、ほとんどすべての機関が対象になっています。情報公開条例と同じように、県のすべての機関が対象になっていることが理想的ですが…。

 また、「所属長判断だった保存期限が切れた文書の廃棄は、文書課への報告と有識者でつくる外部の審査会の意見を受けて判断する」とあります。公文書の廃棄に関して外部の審査会の判断を仰ぐって、県の公文書なんですから、本来は外部に頼るのではなく県にアーキビストをおいて、県の責任でやるべきなのです。外部に頼りっぱなしでは、日常的に公文書を扱う県職員の公文書に関する能力が向上しないですし、そういうところを自分たちの責任できちっとやらないと、何かの際に、県民から疑いの目を向けられるような事案が発生しかねないのにって思うと、今回もどこまで本気になってやるんだろうって思ってしまいますね。

2023/06/09

これぞ「デジタル公文書館」、「大分市デジタルアーカイブ~おおいたの記憶~」

 6月1日に、「大分市デジタルアーカイブ~おおいたの記憶~」が一般公開を開始しました。

 「大分市歴史資料館・大分市美術館・大分市民図書館が所蔵する資料、市内に所在する国・県・市指定の文化財、市内各地を写した古写真・絵葉書など、約1,500件の文化資源が閲覧できるようになってい」るということです。

 「スペシャルコンテンツ」では、高精細Webギャラリー公開システム「Gaze-On」を利用した「御城下絵図」の高精細画像、先端技術(3D技術)により撮影された360度自由な視点で閲覧が可能な、絵巻物「御城下絵図」の高精細画像、「国崩し(大砲)」や「華南三彩貼花唐草文五耳壺」の3Dモデルも公開されています。

 また、『大分市史』や合併前の自治体市も、PDFで張り付けてあります。

 これだけのコンテンツがそろっていれば、リアルな「公文書館」に匹敵するか、もしかしたらそれ以上かもしれません。まさに「デジタル公文書館」です。リアル公文書館が無い自治体が目指す、一つの形かもしれません。お金、どれくらいかかってるのかなぁ。

2023/04/08

滋賀県立公文書館の「公文書館所蔵資料を用いた学習指導案集」、すごく参考になります。史料を替えれば、他の地域でも使えそう。

  昨年9月に滋賀県が誕生して150年を迎えた記念事業として、県内小中学校・高等学校の協力を得て作成した「公文書館所蔵資料を用いた学習指導案集」が、2023年3月31日刊行の滋賀県立公文書館情報紙滋賀のアーカイブズ第13号として刊行されています。

 ただ、これには先行するものがあり、2022年3月31日付けの『滋賀のアーカイブズ』第12号には、「『歴史公文書が語る湖国』を用いた授業指導案」が掲載されていて、いわばこちらが「県政150周年記念特集」その1という感じのようです。また、これらは滋賀県立公文書館の学校連携事業とされていて、公文書館ホームページの学校連携のところにもアップされています。

 さらに、実はこの事業にも先行するものがあり、それが『歴史公文書が語る湖国』という、滋賀県立公文書館所蔵の特定歴史公文書等を利用した書籍です。さらにこの書籍は、明治150年特別展「湖国から見た明治維新」がきっかけで作成されたということですから、自分のところにある宝をとことん利用しているわけなのです(このあたりの詳細については、こちらに出ていました)。これはすごいですよ!

 静岡県でも、過去に『静岡県史』で集めた史料を活用する意味で、『資料に学ぶ静岡県の歴史』という小冊子や、「授業の種」という『図説静岡県史』の画像資料をもとに作成した補助教材が作成されていますが(ともに、「静岡県歴史文化情報センター」のホームページにアップされています)、滋賀県立公文書館の規模ではないですね(滋賀県は専門の方がじっくり取り組まれているのに対して、静岡のは教員が片手間でやっているので、レベルの差が断然違います。やるなら、ちゃんと滋賀県みたいにやらないと)。

 滋賀県の学習指導案、静岡の史料に替えれば、利用できそうな気がします(まぁ、静岡県は近現代史料をきちんと集めていないので、替えられる史料があるかどうか分からないですけど)。

2023/03/01

何を秘密にするのかの政府の基準が、どうしてこんなに一般民衆の感覚と違うのでしょうか?

  2月28日の朝日新聞社説は、「沖縄密約報道 政府の秘密体質いまも」というタイトルです。

 「沖縄返還をめぐる日米両国の密約を指摘し、その生涯を通じて、政府の「うそ」を追及し続けた元毎日新聞記者の西山太吉さんが亡くなった」ことを受けてのものですが、「1971年の沖縄返還協定の裏で、米側が負担すべき米軍用地の原状回復の費用400万ドルを、日本側が肩代わりする」という密約が交わされたというのが「沖縄密約報道」で、密約の有無が問題とされず、西谷さんの情報の入手方法への批判がもっぱらとなった事件です。これに関しては、このような密約の存在を政府が秘密にしていたことは納得できますが、2000年以降、米側で密約を示す公文書が公開され、2009年には返還協定の交渉にあたった当時の外務省アメリカ局長が法廷で証言した後も、政府が否定を続けていたことは解せないですね。

 社説では「民主主義国の外交に本来、密約はあってはならない」としていますが、これは建前で、外交上密約を交わすことはあり得ますが、それがいつまでも秘密であり続けることは問題です。時代が変われば、密約自体の効力も変わる可能性があり、ましてやこの沖縄の密約に関しては、一方の当事者であるアメリカで公文書が公開され、交渉の当事者が証言したにも関わらず、否定し続けていることは、国民に対する説明責任を果たしていません。

 同じ28日の朝日新聞の報道にある「アベノマスクの単価情報 黒塗り部分の開示を命じる 大阪地裁判決」は、「沖縄密約報道」に比べれば、単価や発注枚数を黒塗りにして隠すという、何とも小さいというか、みみちい秘密だなぁと思うのですが、「今後マスクを調達する際、交渉で不利になる」って、今度政府が大量にマスクを調達することって、100%無いとは言えませんが、その可能性はあまり多くないだろうなぁって思うのが普通ですよね。

 黒塗り部分の開示を命じた判決に対して「大変厳しい判決内容だ」って、随意契約での購入については、今のご時世「税金の使途の説明責任」を果たすのは当たり前ですよ、官房長官!

2022/12/20

米国国立公文書館で、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関連する1万3,173件の記録が公開されました。

  米国国立公文書館(NARA)で、1992年に制定された「JFK暗殺記録収集法」に則り、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関連する1万3,173件の記録を公開しました(NARAのプレスリリースはこちら)。

 この発表は、バイデン大統領による「Memorandum on Certifications Regarding Disclosure of Information in Certain Records Related to the Assassination of President John F. Kennedy」によるものです。

 1992年11月に国立公文書館によって設立された「ジョンF.ケネディ暗殺記録コレクション」は、約500万ページで構成されていて、1990年代後半からアクセス制限なしに公開されています。今回のリリースにより、コレクション内のレコードの97%以上が利用可能になりました。

 これだけの資料が収集され、公開されているとは、さすがにNARAですね。ケネディの暗殺については多くの人がいまだに関心を持っているので、この公開は望むべきものですが、それにしてもこれだけ多くの資料があるにもかかわらず、ケネディ暗殺の本当のところが良くわからないのは何故なんでしょう?まだ本当のことが明るみになるには、時間が早いということでしょうか。

2022/11/16

「公文書開示の仕事は「行政コスト」なのか」について

  今日11月16日の朝日新聞デジタルで、「公文書開示の仕事は「行政コスト」なのか 請求手数料徴収を考える」という記事が出ています。有料記事なので、初めの方しか読めませんが、言わんとしていることはだいたい分かります。

 そもそも、「公文書の開示を請求するだけで手数料を徴収しようとする動きが愛知県内の自治体で進む」とありますが、これって、愛知県特有の動きなのでしょうか?これはちょっとわかりませんが、「開示請求に対応する職員の仕事は「行政コスト」にあたる」との判断は、わかる気がします。

 公文書の開示が請求されれば、その該当文書を探すところから始まりますが、開示請求の内容が具体的な文書を的確に請求されていれば、探すのにそれほど時間はかかりませんが、多くの場合には、「○○一式」とか、「○○関係」などのように、大きなくくりで請求されるので、それに関連する文書がどこに入っているのか、探索するのにかなり時間がかかることになるのです。それを通常業務と並行してやるか、場合によっては通常業務をストップして、文書を探す作業をやることもあるので、職員側からすれば、「行政コスト」として見てもらいたいという思いは、かなり強いものがあるはずです。逆に、そういう事情がわかっていないと、請求するだけでお金を取るの?というクレームが出るのでしょうね。しかし、年間にしてかなりの数の開示請求がありますし、開示請求はある日突然来ますから、事前に準備することもできませんし。金額の問題ではなく、請求者に対して、行政サービスとして当然なのではなく、その請求がなければ通常業務が行われるところを、請求があることで、本来通常業務に費やされる時間とコストが、請求者のために費やされることになるために、開示請求は請求者が受益者となることから、「受益者負担」が必要だという認識を持って欲しいということです。

 ただ、上でも述べましたが、この話、愛知県以外の他の自治体ではどうなんでしょうか?関連する記事を書いてくれるとありがたいのですが😓

2022/10/20

「神戸連続児童殺傷の事件記録、神戸家裁が廃棄」なんて、とんでもないことです(怒)‼

 今日10月20日の朝日新聞デジタルで、「神戸連続児童殺傷の事件記録、神戸家裁が廃棄 「適切でなかった」」という記事が出ています。いつもの通り有料なので、途中までしか読めませんが。

 「1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、逮捕された当時14歳の少年をめぐる事件記録、加害少年の審判の処分決定書や、兵庫県警と神戸地検による供述調書、専門家の精神鑑定の結果などの文書一式を神戸家庭裁判所が廃棄していた」ということが明らかになったということなのですが、とんでもないことです。

 あれだけ世の中の注目を集めた、歴史に残る事件の記録を廃棄するなんて、「記録保存の運用は適切ではなかった」どころの話ではありません。

 こういうところに、近代以降の日本政府の文書に対する見方が如実に出ています。あまりのいい加減さに、怒り以外の何物でもありません😡

 記録は廃棄してしまえば、二度と戻りません。紙の保存が問題ならば、今ならとりあえずデジタルにするという方法がありますから、とにかく保存を第一に👍

2022/10/06

海の見える杜美術館所蔵「岩倉具視関係史料」デジタル画像のWeb公開。

  東京大学史料編纂所が、広島県廿日市市にある海の見える杜美術館所蔵の「岩倉具視関係史料」の画像を公開しています。

 海の見える杜美術館所蔵「岩倉具視関係史料」総数は約1,700点で、岩倉具視にあてた手紙を中心に、維新政府における政務処理の過程で残された公文書原本などから構成されており、2013年には国の重要文化財に指定されているものです。

 今回Web公開された海の見える杜美術館所蔵「岩倉具視関係史料」の画像は、史料編纂所が公開しているデータベースの「Hi-CAT Plus」というデジタルアーカイブズを通して、検索・閲覧することができ、所蔵機関である海の見える杜美術館の画像利用規程は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示4.0国際(CC-BY 4.0)と互換性がありますので、これに準拠して利用することが可能です。

2022/08/16

「地方公共団体における公文書管理の取組調査」の結果が公開されています。

  7月28日開催の第97回公文書管理委員会配布資料として、「地方公共団体における公文書管理の取組調査」の結果が公開されています。

 2022年4月1日時点の公文書管理のための条例、歴史公文書の保存に関する取扱い、歴史公文書の保管施設が調査されています。公文書管理のための条例等はすべての都道府県、市区町村は97%で制定されていること、歴史公文書に関するルールがある市区町村は47%歴史公文書の保存期間が永久となっているのは45の都道府県、46%の市区町村公文書法第5条に該当する公文書館を設置している都道府県は28団体、市区町村は32団体でした。

 公文書管理のための条例等はすべての都道府県にあるとしていますが、これは「等」が問題で、規則、要項、要領なども含まれるため100%なのですが(ただそれでも市町村が100%ではないことは問題ですが)、近年の状況を考えればここはやはり「等」を取って、「公文書管理のための条例」の制定状況を調査すべきでしょう。同じように歴史公文書に関するルールも、「ルール」という言い方ではなく、せめて「条例等」、ゆくゆくは「条例」の制定状況調査になって欲しいものです。

 「様々な取り組み事例」のうち、沼津市が、「学識経験者による指針、判断等に基づき、市史編さん等に必要がある⽂書を歴史公⽂書として選別を⾏っている」というのは初耳ですが、昨年まではこのような話は聞いたことがなかったので、今年度から始まったのかもしれませんが、このような取り組みを行っているのは大変良いことですね。

2022/08/04

沖縄県立図書館で、「沖縄県系移民渡航記録データベース」が公開されました。

  沖縄県立図書館が、ハワイ沖縄系図研究会、沖縄移民研究センターと協働で開発した 「沖縄県系移民渡航記録データベース」を公開しています。

 1900年~1937年の間に、沖縄県から海外へ渡った沖縄県系移民約5万件の渡航記録を、漢字及びローマ字で検索することができます。渡航記録のデータは、外務省外交史料館が所蔵している「海外旅券下付表」などから、沖縄県関係者を抜粋し編纂した図書『沖縄県史料 近代5(移民名簿I)』 などに基づき作成されているとのことです。

 移民を個人名レベルで検索できるとは、さすが沖縄県ですね。数年前、静岡県の海外移民に関して調べたことがありますが、先行研究および各統計書を駆使しても、移民者の人数を調べるのが精いっぱいだったので(それで十分だったわけですが)、個人の顔が見えるレベルで分かるなんて、なんと素晴らしいことなんでしょう😂

2022/04/13

京都大学貴重資料デジタルアーカイブで、『奇兵隊日記』付属絵図49点や『蝦夷地一件』『蝦夷廟議』が公開。

  京都大学図書館機構が、京都大学貴重資料デジタルアーカイブで、『奇兵隊日記』付属絵図49点『蝦夷地一件』『蝦夷廟議』などを公開しました。

 『奇兵隊日記』は、幕末に高杉晋作によって創設された奇兵隊の活動記録で、附属図書館では原本を所蔵しています。冊子体の記録27冊と付属の絵図49点で構成されていて、冊子体はすでに京都大学貴重資料デジタルアーカイブで公開されており、今回の絵図の公開で、全点公開が実現したわけです。

 『蝦夷地一件』は、天明4年(1784)から寛政2年(1790)までの、江戸幕府における蝦夷地問題をめぐる公文書の集成、『蝦夷廟議』は、寛政4年(1792)にロシア最初の遣日使節ラクスマンが来航した際の公文書の集成です。ロシアのウクライナ侵攻という、この歴史的事件のタイミングで、これらの資料が公開されたことは大変意義深いと言えるでしょう。

2022/04/09

金沢市公文書館が、令和4年4月17日に開館予定です。

 石川県金沢市に公文書館ができます。

 金沢城にほど近い玉川公園に、新設される金沢市立中央小学校、玉川こども図書館と併設される形で、金沢市公文書館が建設されました。この玉川公園には、郷土に関する資料を中心に収集・保存する「保存館」としての役割も担っている金沢市立玉川図書館や、前田氏・前田育徳会などから寄贈を受けた10万点あまりの近世史料(「加越能文庫」など)の保存、修復を行う近世史料館もある一大文化ゾーンですが、ここに新たに公文書館が加わることで、最強の歴史資料地帯になるわけです(そんななかに小学校が置かれるというのも珍しい感じがしますが、歴史資料の英才教育の学校になるのでしょうか😁)。

 石川県や金沢市はいままでこのような動きがほとんどなかったのですが、ここ数年でいっきに公文書館の設立にまで持ってきました。この勢いを持続して、歴史公文書の公開も進めていってくれるといいなぁと思います。

2022/03/31

長崎県立長崎図書館郷土資料センターが開館しました。

 3月27日に、長崎県立長崎図書館郷土資料センターが開館しました。

 県立長崎図書館跡地に建設された県立長崎図書館郷土資料センターは、県内の郷土資料約19万冊をはじめ、長崎県公文書コーナーという形で、長崎県が作成又は取得した公文書で県行政及び県民生活の推移が歴史的に跡付けられるなど、歴史的文化的価値を有すると認められる文書のうち、保存期間が経過し現用でなくなった歴史的文書約2,000冊や、行政資料が閲覧できるので、公文書館的機能も有していることになります。

 明治時代以後の長崎県庁に保管されていた行政文書の多くは、現在は長崎歴史文化博物館に移して保管されていますが、それ以外の県および市町村で作成された行政資料で、郷土資料センターで所蔵している主な近現代の行政資料には、

・長崎県統計書
・長崎県職員録(原簿)
・長崎県警察統計
・長崎県学事年報
・長崎県公報
・県内各市町(旧市町村)広報誌

などがあるとのことです。

 また、近現代資料のなかで、まとまった資料群としては、 


があります。さらに、新聞資料もかなり充実しています。
 これで、長崎県にも公文書館的組織ができたといっても良いでしょうね。

2022/03/19

国立国会図書館デジタルコレクションに、約2万3,500点が追加!

  3月15日、国立国会図書館の国立国会図書館デジタルコレクションに、図書、雑誌等約2万3,500点が追加されました。

 主だったものは、雑誌約6,300点、憲政資料約3,900点、日本占領関係資料のうち連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)文書約9,800点、プランゲ文庫約1,100点ってところでしょうか。本文をインターネット公開していない資料についても、書誌事項(タイトル、著者等)や目次はインターネットから検索できるようになっています。

 個人的にめちゃめちゃヘビーユーザーなんで、とにかくこれが増えてくれるのは大変ありがたいの一言です。特に著作権が切れて本文が閲覧できるものが増えてくれるのは特にありがたいですが、今回の公開分でいえば、憲政資料が約3,350点、GHQ/SCAP文書約9,000点が、インターネトで公開される分となっています。今後「個人向けデジタル化資料送信サービス」が5月19日から開始される予定にもなっていますので、よりサービスが向上されることが期待されます(「個人の登録利用者」の手続き、忘れないようにしないと😅)。

2022/03/03

『地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧』が全文公開!

 人間文化研究機構「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業」監修、天野真志・後藤 真編『地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧』が、3月1日に発行先の文学通信から、全文が無料公開されています。書籍版の案内にある楽天ブックスのページでは、3月8日頃に発売となっていますが、書籍版を発売する前にPDF、epubで公開するとは、なんとも太っ腹!!本が売れることよりも、書籍の内容を広めることを優先しているということなのでしょうか。

 10ページに、「本書の使い方」とあり、以下のように案内されています。

■地域と資料の関係について知りたい
(第Ⅰ部 ①地域社会と歴史文化資料)以下各論へ
■どんな資料があるのか、資料の特徴について知りたい
(第Ⅰ部 ②具体例と特徴)以下各論へ
■どのような保存方法・活用方法があるのか知りたい
(第Ⅰ部 ③保存・活用方法)以下各論へ
■それぞれのテーマについてもっと詳しく知りたい
第Ⅰ部 各論末「☞さらに深く知りたいときは」へ
■資料ネットとは何か、どのような活動をしているのか知りたい
(第Ⅱ部「「資料ネット」活動の広がり」)・(第Ⅱ部「全国史料ネット研究交流集会」)へ
■資料ネットがどこにあるのか一目で見たい
(第Ⅱ部「資料ネット事務局所在地」)へ
■各資料ネットの設立の経緯、今までの活動を知りたい
■各資料ネットに連絡をしたい/入会したい/寄付をしたい
■各資料ネットの活動範囲を知りたい
■被災した資料について相談したい
■資料レスキューのボランティアに参加したい
(第Ⅱ部)以下各資料ネットへ
■各資料ネットの活動についてもっと詳しく知りたい
第Ⅱ部 各資料ネット末「活動がわかる主な文献リスト」へ

 資料保存に初めてかかわる人が、本書を参考にしようとする際に、非常に役に立つ案内です。本書は資料を保存するための基本的な情報が盛り込まれており、ここから考えても、資料保存にかかわらなければならなくなった地域の人たちが、なんとか自分たちの力で資料保存に取り組んでいけるようにするためのガイドブックになっているように思われます。日本にはまだまだ全国に多くの資料が存在しているわけですが、近年の自然災害が多発するなかで、専門家でなければ保存できない状況では、多くの資料が廃棄される運命にならざるを得ないのが現状であると思いますので、本書を参考に1点でも多くの資料が保存されることが期待されます。以下、参考までに本文部分の目次を掲載しておきます。

第Ⅰ部 歴史文化資料の基礎知識
 ①地域社会と歴史文化資料
  地域社会と歴史文化
  地域と資料保存
 ② 具体例と特徴
  古文書(記録資料)
  民具
  美術資料
  公文書
  震災資料
 ③ 保存・活用方法
  歴史資料保全のためのデジタルデータ
  紙製地域資料を遺す技術--手当てとその考え方
  地域に埋没する木製文化遺産
  資料保存の担い手と技術をつなぐ
第Ⅱ部 全国資料ネット総覧
 「資料ネット」活動の広がり
 全国史料ネット研究交流集会
  東北
   特定非営利活動法人 宮城歴史資料保全ネットワーク(宮城資料ネット)
   山形文化遺産防災ネットワーク(山形ネット) 
   ふくしま歴史資料保存ネットワーク(ふくしま史料ネット)
  関東
   茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク(茨城史料ネット) 
   とちぎ歴史資料ネットワーク(とちぎ史料ネット)
   那須資料ネット 
   群馬歴史資料継承ネットワーク(ぐんま史料ネット) 
   千葉歴史・自然資料救済ネットワーク(千葉資料救済ネット) 
   神奈川地域資料保全ネットワーク(神奈川資料ネット) 
   NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴん 
  中部
   新潟歴史資料救済ネットワーク(新潟史料ネット) 
   地域史料保全有志の会(保全の会) 
   信州資料ネット
   東海歴史資料保全ネットワーク(東海資料ネット) 
  近畿
   三重県歴史的・文化的資産保存活用連携ネットワーク(みえ歴史ネット) 
   歴史資料ネットワーク(史料ネット〈神戸史料ネット〉) 
   歴史資料保全ネット・わかやま 
  中国
   山陰歴史資料ネットワーク(山陰史料ネット) 
   岡山史料ネット 
   広島歴史資料ネットワーク(広島史料ネット)
  四国
   歴史資料保全ネットワーク・徳島(徳島史料ネット) 
   愛媛資料ネット 
   高知地域資料保存ネットワーク(高知資料ネット)
  九州
   熊本被災史料レスキューネットワーク(熊本史料ネット)
   宮崎歴史資料ネットワーク(宮崎資料ネット) 
   鹿児島歴史資料防災ネットワーク(鹿児島資料ネット)
おわりに
執筆者一覧
「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業―歴史が結ぶ地域と大学―」のご案内

 PDF/epubで無料公開されたとはいえ、例えば資料の修復のところなどは、本書の該当ページを横に置いて作業したいので、そのような場合は書籍版の方が良いかなぁと思います。書籍版、たぶん買うと思います😁

2022/01/08

長野県のハンセン病患者と家系を調査した台帳が、オークションサイトに出品された問題について

 今日1月8日の共同通信(KYODO)に、「ハンセン病文書の全国調査を検討
台帳ネット出品受け、厚労省」という記事が出ました。

 戦前において、衛生行政は警察部の所管でしたので、警察署がハンセン病患者と家系を調査していたのは、時代性から考えれば当然のことなのですが、それが流出していることが一番の問題です。今や、ネットオークションには様々な文書が出ていますが、今回のような文書を出品するような人は、どう思って出したのでしょうか?ハンセン病の歴史についての知識が無いゆえでしたら、これは国をあげてもっとしっかり教育に取り組まないといけない問題です。仮に出品した側は単純にお金にしようとして出したのだとしても、きちんとした知識を持っている国民が多くて買う人がいなければ、売られることもなくなるのでしょうが、残念ながら、やはり知識がないか、もしくは興味本位で購入する人がいるので、出品されるわけです。

 今回のこの文書、表紙に赤字で「永年保存」と記されているので、本来ならば県できちんと保存されているべきで、長野県ならば、長野県立歴史館で適切に保存・管理されていなければならないものです。
 文書の管理状況の調査をすることはもちろん必要なことですが、少し前に話題になった優生保護関連の文書などもそうなのですが、それがそもそもあるのかないのか、あるならばどこで保存・管理しているのかを把握したうえで、今後どこでどのように保存・管理していくのかも含めて、都道府県がその方針を明確にしていかないと、今後も同じ問題は起こりえるはずです。
 このような文書の問題は、日本が文書主義といいつつも、業務が終われば文書はいらないという認識がいまだに強いなかで、すべての文書を残す必要はないですが、歴史的に意味のある文書はきちんと残す必要があるという認識が不十分な状態を改善していくために、教育が重要な意味を持つはずだと思います。少なくとも、すべての公務員が「歴史公文書」について認識を持つように、初任者教育でしっかり指導するようにすべきだと思います。

2021/12/06

「公文書等の管理に関する法律施行令」等の一部改正案と、「行政文書の管理に関するガイドライン」の改正案についての意見募集

  今日12月6日の朝日新聞DIGITALに、「「公文書等の管理に関する法律施行令」等の一部改正案」と、「「行政文書の管理に関するガイドライン」の改正案」についてのパブコメに関する記事が出ていて、「文書管理の基本を紙媒体から電子媒体に改める」ことに関しての懸念を指摘しています。

 確かに、「「電子媒体による文書の作成・取得」や「電子文書による保存」を基本」とし、「紙で入手した文書も、スキャナーなどでデジタル化したものを「正本」とし、もとの紙は1年未満で廃棄できる」という新しいガイドライン案は問題があります。利便性のみの観点で電子文書中心にしようとしているとしか思えません。そもそも電子文書は、保存性や安定性の点で問題があり、長期保存のためには適宜媒体変換を行い、正副を用意して、1つはまったく違う安全な場所で保存しておく必要があり、そうしなければ長期的に保存できるか分からない、非常に不安定なものなわけです。また、電子文書が裁判などの際の証拠として採用になるのかどうかは裁判所の判断次第で、近年は発信履歴がわかるメールなどが証拠として採用されてはいますが、Wordなどで作成する文書などは作成日などその気になれば簡単に改ざんできるので、果たして証拠として採用になるのか、今のところ明確になってはいないのに…。このようなデジタル化への対応がきちんとできているのかというそもそも論の部分を見ることが重要なのではないかと思うのですが、朝日新聞の記事での懸念の観点は、私が問題視しているのとはやや見方が違っています。某准教授のコメントも、問題視しているポイントがややずれている気がしますが…。

 だいたい、11月9日に受付を開始している「施工令」と、11月20日に受付を開始している「ガイドライン案」のパブコメのことを、締切2日前に報道するって、どういうことでしょう?

2021/11/15

仙台市が東日本大震災にかかわる公文書を選別

  11月13日の朝日新聞デジタルに、「「震災公文書」一部廃棄へ 仙台市が選別開始、24年から公文書館に」と題した記事が出ています。

 記事よると、当初は「東日本大震災と復興の記録は、すべて歴史的公文書になりうる」としていたとのことですが、全量を残すのは現実的に難しいため、保存する文書と廃棄する文書の選別が、文書法制課と各課の協議により始まっているとのことです。

 今年の1月25日に開催された「第3回 (仮称)仙台市公文書館運営検討会議」で、具体的にどんな公文書を残すのかを示した資料(資料3「東日本大震災に関する文書の選別について」)が提出されていて、それを見ると具体的な文書名が表にまとめられています。また、「留意事項」として、
1 個人情報が主体で、同種のものが大量に存在する文書については、一部を資料として収集したうえで、残りの文書については廃棄する。
2 以下の文書については,収集選別を行わないこととする。
(1)事業の執行に伴い義務的に発生する業務に係るもの
(2)簡易な手続に関するもの

とされています(第3回会議の会議録はこちら。資料3は上記「(仮称)仙台市公文書館運営検討会議」のリンク先から参照してください)。

 何を保存するのかはもちろん難しいのですが、特に何を廃棄するのかの判断は、廃棄してしまえばこの世に存在しなくなるのですから、より一層判断が難しいわけですが、上記「留意事項」に示された廃棄および収集選別しないものの判断は適切だと思います。同種で大量にあるものは、仮に全部残せば、煩雑になり、かえって整理がしづらく、そのすべてが閲覧されることも想像しがたいですので、サンプルがあれば十分だと考えられるからです。また、「事業の執行に伴い義務的に発生する業務に係るもの」というとわかりにくいですが、例えば公金を支出する際の「支出票」のようなものがそれにあたると思われますので、当然残す必要はありません。「簡易な手続きに関するもの」も、簡易な手続きで済むような案件は、おそらく簡易なことですので、当然いらないでしょう。逆にこれらのものが残っていても、将来的に閲覧されることはないでしょう。将来の参考資料となるものを残すわけですから、参考になりそうもないものは残す必要はないわけです。

 そうはいっても、実際現場では、できる限り将来のために役立つ文書を残そうと、非常に悩みながら選別していると想像されます。東北の被災市町村では初の公文書館となる仙台市公文書館ですので、今後も注目していきましょう。

2021/09/29

「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」の公表

  千葉県立図書館の「共通のお知らせ」欄に、今日9月29日に出たのですが、実際の公表は21日でしたが、見落としていました。

 何故、千葉県のことを取り上げるのかというと、千葉県は2017年に歴史公文書の誤廃棄があって(実際の現物廃棄は2016年3月で、公表されたのが2017年4月)、大騒ぎになり、その後専門職員を採用したという経緯があり、つい先日にも公文書館に関するシンポジウムで千葉県の話題があったばかりですし、誤廃棄の問題は他人ごとではなく、いつ他のところで起こってもおかしくない昨今ですから、今回の新しい文書館(図書館との複合館)計画は、関係者にとっては注目されることなのです(誤廃棄の詳細については、宮間 純一「千葉県文書館収蔵公文書の廃棄・移動をめぐる問題に関する報告」『アーカイブズ学研究 』No.26 (2017.6)。

 「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」を見ると、新施設は、県立中央博物館のある県立青葉の森公園内に作られて、まさにMLA連携のスタイルをとるようですね。千葉県に関する文化情報資源が一か所にまとまるというのは、利用者にとっては大変便利ですので良いのですが、最寄駅の京成千原線千葉寺駅から徒歩約20分って、実際の現場を知らないので何とも言えないですが、結構歩きませんか?千葉駅からだと、千葉中央まで歩いて、そこから京成千原線で2駅のようですので、この部分はそれほど遠くはないと思いますが(そもそも広い土地が街の中にあるわけがないですから)。ただ、これは大した問題ではないです。

 一番気になったのが、収容能力で、文書館書庫が50万冊(図書館書庫は205万冊)、面積は公文書書庫が750㎡(集密書架(延長 7,483m)を設置できる前室付の書庫)、古文書書庫が770㎡(集密書架(延長 7,705m)を設置できる前室付の書庫)となっています。現行の文書館の収容能力25万冊に比べれば倍にはなっていますが、これは何年でいっぱいになる計算なんでしょうか。そもそも先の誤廃棄問題は、保管場所の狭隘が発端だと聞いていますので、このスペースではそれほど経たないうちにいっぱいになりそうな気がします。歴史公文書は永久保存のものですし、公文書が発生する限り増え続けます。おそらく公文書のデジタル化を考えて、紙文書は今度増えないとの考えもあるかと思いますが、保存の観点では現状デジタルは完璧ではありません。保存を考えるならば、現状は紙に勝るものはありませんから、本当に紙で残さなくても大丈夫なのかは、まだはっきり分からないのが現状です。

 同じことは図書館にも言えることで、今後電子書籍を増やそうという動きですが、これも紙の本は無くても良いのか。個人的に本を読むのは電子ではダメですね。何が違うのか、科学的な理由はわかりませんが、PDFを含むパソコン等で読む文書は、なかなか頭に入って来ないというか、行を間違えてしまったり、紙の本とは感覚が違うんです。公文書だって、歴史公文書は歴史資料ですから、それを読み込む際には、たぶん紙の方が読みやすいと感じると思います。もしかするとデジタルネイティブならば、平気なのでしょうか?