続・人間老いやすく、学成りがたし: #文学
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2023/05/28

「銀河鉄道の夜」は、いろいろな読み方ができて、読むたびにいろいろな発見ができる作品だと思います。

 5月25日の朝日新聞デジタルに、「「銀河鉄道の夜」再注目 賢治没後90年、映画公開で御朱印も人気に」という記事が出ています。

 今年は、宮沢賢治の没後90年です。またこのタイミングで、映画「銀河鉄道の父」が劇場公開されたので、賢治人気が再燃することでしょう。

 記事では、花巻市の鏑八幡神社で、銀河鉄道をモチーフとした切り絵の御朱印が大人気となっていることが紹介されていますが、写真で見る切り絵の御朱印、かなり素敵ですね。これは、賢治ファンはもちろん、そうじゃない人でも欲しいかもしれません。

 「銀河鉄道の夜」は、作品全体を通してとても美しい情景であるとともに、様々なモチーフが盛り込まれているので、各場面ごとにいろいろな読み方ができると思います。また、映画「銀河鉄道の父」を見てからだと、また違う読み方ができるでしょう。

 個人的に「銀河鉄道の夜」に完全にやられている人なので😅欲を言えば、「銀河鉄道の夜」の、はかなくも美しい情景を完全映画化して欲しいですねぇ。今の技術ならできるような気がするのですが、ただどんな作品もそうですが、読む人一人ひとりのなかで、「銀河鉄道の夜」がそれぞれの解釈による、頭のなかでの映像化があるはずなので、いざ映画になった「銀河鉄道の夜」を見たら、何か違うと思ってしまう可能性は否めませんね😓

2023/03/27

国文学研究資料館が、中原中也記念館所蔵の「中原中也自筆資料」をデジタル化し、公開しました。

 国文学研究資料館が、「近代書誌・近代画像データベース」で、「中原中也記念館所蔵の「中原中也自筆資料」のデジタル画像を公開しました」というプレスリリースを、3月20日に出しています。

 詩稿・書簡・ノートなど、2023 年に発見が報道された『朝の歌』の新出草稿を含む502点が公開されています。

 中原中也といえば、教科書でおなじみの人物で、近代日本語詩史上の傑作とされる『在りし日の歌』などがありますね。その意味では、今回このようにデジタル化されておかげで、学校の授業で利用できますし、中原中也の生の文字を見れることは大変素晴らしいことです。

 なお、上記プレスリリースには、「原稿:朝の歌(第二次形態 1)」の画像とリンク先が出ていますので、ここから簡単に新発見資料を見ることができます。

2023/03/24

奈良県立万葉文化館で、万葉集関連情報検索システム「万葉百科」が公開されました。

 『万葉集』全20巻の漢字本文、読み下し文、現代語訳などのテキストデータをはじめ、人物名や詠まれた動植物、地名など万葉の時代に関する情報をデータベース化した万葉集関連情報検索システム「万葉百科」が公開されました。

 キーワード検索、歌番号検索、巻1から順に見れる巻番号検索、時代や部立(雑歌・相聞・挽歌)などを組み合わせた万葉集詳細検索など、さまざまな情報を横断して簡単に検索することできて、『万葉集』のテキストデータだけでなく、奈良県立万葉文化館の美術品・古典籍・図書の所蔵情報や、全国の万葉歌碑の情報などもあわせて収録されています。

 特定の目的を持って利用するのではなく、なんとなく万葉集ってどんな感じなのか見てみようという向きには、巻番号検索で、順番に見てみると良いと思います(例えば、巻1-1の一番最初に出てくる雄略天皇の歌の検索結果はこんな感じです)。そうすると、歌碑の存在や、その歌のキーワードになる言葉、関連する美術品を確認できるので、いろいろ勉強になります。高校の古典の授業や歴史の授業なんかで利用できそうですね。

2023/01/14

国文学研究資料館が、電子展示室「書物で見る 日本古典文学史」を公開しています。

 国文学研究資料館展示室で定期的に開催している通常展示「書物で見る 日本古典文学史」が、電子展示室として公開されています。

 上代から明治初期までの文学を、書物(古典籍)によってたどるもので、どの時代も歴史の教科書で名前を見るものが多く出ています。

上代-奈良時代以前の文学:古事記、日本書紀、豊後国風土記、懐風藻、万葉集

中古-平安時代初期の文学:文華秀麗集、句題和歌(大江千里集)、

             東遊歌図・風俗、竹取物語、日本霊異記

中古-平安時代中期・後期の文学:本朝文粋、古今和歌集、和歌九品、蜻蛉日記、

                伊勢物語、菅家文草、京極御息所歌合、

                土佐日記、枕草子、源氏物語

中古-院政期の文学:新撰朗詠集、散木奇歌集、とりかへばや物語、今昔物語集、

          金葉和歌集、俊頼髄脳、今鏡、江談抄

中世-鎌倉・南北朝時代の文学:新古今和歌集、宴曲集、平治物語絵巻、増鏡、

               方丈記、近代秀歌、住吉物語、平家物語、

               十六夜日記、徒然草

中世-室町・安土桃山時代の文学:正徹物語、宗安小歌集、浦島太郎、義経記、

                道成寺縁起、新撰菟玖波集、文正草子、

                十二類絵巻、曾我物語、舟弁慶

近世-江戸前期の文学:草山集、後水尾院御集、勢語臆断、大坂独吟集、

           おくのほそ道、古学先生詩文集、挙白集、紅梅千句、

           笈の小文、去来抄

近世-江戸中期の文学:唐詩選国字解、冷泉為村卿百首和歌、源氏物語玉の小櫛、

           古今狂歌袋、誹風柳多留、作詩志彀、六帖詠草、

           寐惚先生文集、新花つみ、傾城禁短気

近世-江戸後期の文学:如亭山人藁、山陽詩鈔、志濃夫廼舎歌集、昔話稲妻表紙、

           南総里見八犬伝、黄葉夕陽村舎詩、桂園一枝、おらが春、

           椿説弓張月、東海道中膝栗毛

近代-明治時代初期の文学:牛店雑談 安愚楽鍋、斉武名士 経国美談、

             怪談 牡丹燈籠、埋木廼花、明治十家絶句、

             新体詩抄 初編

 初めて見る書籍もありますが、教科書で名前だけ見たことがある書籍の、写真とは言え現物を見ると、なんとなく親しみがわいてきますね。

2022/10/18

東京大学附属図書館の特別展示会「テエベス百門の断面図――歿後100年記念 森鷗外旧蔵書展」、電子展示サイトで見れます!

  2022年は森鷗外の歿後100年にあたるとのことで、東京大学総合図書館で、当館が所蔵する「鷗外文庫」の展示会、「テエベス百門の断面図――歿後100年記念 森鷗外旧蔵書展」が、10月13日から開催されています(11月28日まで)。

 学外の人間でも無料で見れて、かつ事前予約不要とのことですが、この展示会、電子展示サイトが用意されていて、なんと展示会場にある資料を全て閲覧できるのはもちろん、様々な「鷗外文庫」資料を見ることができます。また、「鷗外文庫」の書籍に挟まっており、近年偶然発見された自筆の未発表原稿も、この電子展示サイトで見ることができますので、大変便利ですよね。

 また、「テエベス百門の断面図 歿後100年記念 森鷗外旧蔵書展ウェブサイト」もあって、展示会の詳細はこちらのサイトで確認できるので、直接行ける場合には、こちらが便利ですが、地方住みの人間にとっては、上記の電子展示サイトは大変ありがたいです。これから、他のいろいろな展示会でも、同様の試みをしてくれるといいなぁ😁

2022/03/23

広島大学図書館、「広島大学図書館デジタルアーカイブ」を公開

  広島大学図書館が、「広島大学図書館デジタルアーカイブ」を公開しました。

 現在コンテンツは、同館が公開していた「奈良絵本 室町時代物語」しかありませんが、「奈良絵本」とは室町時代後期から江戸時代前期頃まで製作されていた絵入り彩色写本で、かなりの数が制作されましたので、意外とあちこちに残っています。素朴、古雅な挿絵が好事家の間でいつしか「奈良絵」の名で呼びならわされ、そうした挿絵をもつ本が「奈良絵本」と呼ばれるのですが、制作の実際は奈良に限られていたわけではなく、なぜ「奈良」の地名が冠せられたのかは未詳で、その由来の解明はなされないまま今日に及んでいるものです。

 また「室町時代物語」とは、一般的には「御伽草子」の名前で親しまれているもので、ほかに中世小説、近古小説、室町時代小説、室町物語などの用語もあります。

 コンテンツは今後も増えていくことと思われますので、何が出てくるのか楽しみです。

2022/02/04

静岡時代の渋江保に新事実!

 1月30日の朝日DIGITAL静岡版に「「渋江抽斎」協力の渋江保に新事実、郷土史家ら「注目を」という記事が出ていました。

 渋江保は、森鷗外の代表作「渋江抽斎」の主人公渋江抽斎の実子で、鷗外に資料を提供した人物として知られていますが、静岡県とのかかわりの深い人物です。というのは、渋江保は師範学校を卒業した1875年、浜松瞬養学校(浜松北高の前身)に赴任し、その後浜松師範学校の教頭となり、79年10月まで浜松にいました。その後静岡を離れましたが、85年健康を害して、周智郡領家村(のち犬居村、旧春野町、現在の浜松市天竜区春野町)に転居しました。その後静岡に転居して静岡英学校(のち静岡英語専門学校)、静岡高等英華学校、静岡文武館、渋江塾で英語教育にかかわっています。教え子には山路愛山や松本亀次郎がいます。また「東海暁鐘新報」の主筆として、前島豊太郎や中江兆民の影響を受けて活躍しています。

 記事の新事実とは領家村時代の話であり、当時未婚だったはずの保が「渋江モン」という女性と地元有識者の勉強会に出ていた新聞記事を発見したというものです。この時期の新聞ですので、「静岡大務新聞」であり、85年5月15日づけ「静岡大務新聞」には「領家村の栗田輝永氏の邸内へ先頃より英学研究所なるものを設け」とあり、渋江保の名前はできてきませんが、『嶽陽名士傳全』の「栗田輝永君之傳」同じ内容の箇所には渋江の名前が見られます。記事に出てくる山本勉氏の論文(「静岡黎明期の英語教育と渋江保」)によると、ここに出てくる渋江は渋江保であるとのことですので、記事に出てくる「地元有記者の勉強会」は、領家村の名望家であり、県会議員を務めた栗田輝永に関係がある可能性があり、そこで「渋江モン」という、渋江保と関係がありそうな女性の名前が出てきているわけです。この時の渋江は一般的には「病気療養」とされていますが、山路愛山の『独立評論』に渋江が書いた文章によると、「明治十八年頃精神過労のため毎日新聞を止め」、領家村で静養していたとあるので、仕事のストレスから新聞を止めただけとも思われますので、本来の英語教育者として、また自由民権運動の啓蒙家として活動することは当然ある話ですし、女性も身近にいた可能性はあるでしょう。「渋江モン」という女性がどういう人物なのか、この時期ですので資料はあまり多くないと思われますが、何かわかるとおもしろいですね。

 山本氏が記事の中で言っているように、渋江保はもっと注目されてもいい人物であるということに強く共感します。渋江保本人の著作はたくさんあるのですが、評伝とかはまだないと思いますので、ぜひ欲しいですね。

2022/01/31

京都の嵯峨野高校っておもしろいですね。源氏物語を和菓子で表現するなんて!

 昨日1月30日の朝日新聞DIGITALに、「源氏物語の12人が和菓子に 六条御息所の情念、赤いあんこで表現」と題する記事が出ていました。

 京都府立嵯峨野高校には、京都こすもす科という専門学科があり、その自然科学系統・人間科学系統と普通科に「アカデミックラボ」という人文科学、社会科学、国際関係・英語、自然科学の4つの領域から興味関心に応じて希望するラボを選択する授業があり、その中の「京・平安文化論ラボ」に参加する高校2年生が、源氏物語の登場人物を1人ずつ選び、性格や特徴を研究していく形で進めていく中で、物語をイメージした和菓子をデザインして、地元の和菓子製造会社「鶴屋長生」で形にしてもらったとのことです。

 和菓子のデザインのクオリティの高さ、センスの良さは、そもそも京都で和菓子になじみがあるからということもあるでしょうが、発想力の豊かなセンスのある生徒さんたちなのでしょう。

 ただなによりも、それを表現できる授業があるってことが素晴らしいですね。いわゆる探究活動ということなわけですが、このようなことができる若者が増えてくれることはとても素晴らしいことで、未来の日本にとって重要な財産です。いちおうこの4月から新しい学習指導要領が始まって、これに類する動きが全国的に展開されていくはずなのですが…。先生の方がこのような活動を経験していない人が多いと思われますので、どうやって授業をすれば良いのかと悩みそうですね。

2022/01/18

熱海市立図書館で、坪内逍遥の企画展が開催されています。 

  1月4日から、熱海市立図書館で、企画展示『「坪さんの書棚」~坪内逍遥蔵書コレクション展~』が開催されています。毎年命日にあたる2月28日の逍遥忌に合わせて、2月27日までです。

 なぜ、熱海で坪内逍遥?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、熱海市立図書館の創立は、坪内逍遥が当時の熱海町に3,000冊を超える蔵書を寄贈したことが始まりだからなのです。熱海市立図書館の歴史は、「広報あたみ」(2015年4月号~2016年3月号に掲載されているのですが(こちらから見れます)、大正天皇御大典記念事業として熱海町が図書館建設を立案した際に、熱海に別荘を構え、交流のあった坪内逍遥に協力を依頼したことがきっかけで作られた、静岡県で現存する最古の図書館が、熱海市立図書館なのです。

 展示に関して、1月17日付け東京新聞TOKYOWebや中日新聞Webにも記事が出ており、「命日を前にもう一度、図書館の創立にも関わった逍遥のことを知ってもらえたら」との同館の担当者のコメントがありますが、熱海市立図書館と坪内逍遥との関係は、案外知られていないのではと思いますので、今回の展示は大変勉強になります。

2021/11/25

東京大学総合図書館の「デジタル源氏物語」「挿絵画像の比較」ページ

  東京大学総合図書館の「デジタル源氏物語」に、「挿絵画像の比較」ページが追加されています。

 「絵入源氏物語の挿絵比較」と「源氏百人一首(パタパタ顔比較)」の2つのページがありますが、「絵入源氏物語の挿絵比較」は、「大本:国文学研究資料館所蔵 」、「小本:国立国会図書館所蔵 」、「横本:国立国会図書館所蔵」 の3つの本の比較になっています。「源氏百人一首(パタパタ顔比較)」は、「大阪府立大学学術情報センター所蔵」本と、 「奈良女子大学学術情報センター所蔵」本の2つの比較になっていますが、2つの本を重ねた状態の画像があり、違いがよくわかるようになっています。

 この「デジタル源氏物語」は、 東京大学総合図書館所蔵『源氏物語』、九州大学文学部所蔵『源氏物語』(古活字版)、個人蔵『源氏物語』(無跋無刊記整版本, 九州大学附属図書館による画像公開)、国文学研究資料館所蔵『湖月抄』の画像が利用されていて、デジタルで画像とテキストを一緒に見ることができるという、大変素晴らしいものです。

 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)開発のくずし字OCRを利用した、複数の写本・版本の全冊画像から該当箇所と思われる画像を横断的に検索できる「AI画像検索」なんてものがあったりして、「源氏物語本文研究プラットフォームを目指して」公開されたものですが、研究じゃなくても、比較的簡単に源氏物語を堪能できますので、学校の教材としても十分に利用できそうですね。

2021/09/15

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)、2021年10月1日に開館予定

  昨日9月14日から、事前予約が始まっています。

 この文学館、村上春樹ライブラリーの通称からしても、ハルキストにとっては待望の資料館でしょうが、建築に興味のある人にとっても、早稲田キャンパス旧4号館が隈研吾氏のリノベーションを経て大きく様変わりした姿が注目に値するのではないでしょうか。

 その意味では、10月1日から開催する展示会、「建築のなかの文学、文学のなかの建築」も興味深いですね。

 また、カフェも気になります。早稲田の学生さんが主体で運営される「オレンジ・キャット」。まだホームページには、メニューやプロダクトは出ていませんが、Twitterで情報が流されていますので、メニューの情報とかは出てくるでしょう。

 10月1日は、現状で行けば緊急事態宣言明けの予定ですが、関東近県の方は予約しておいて、行く準備をしておいても良いでしょうね。静岡からですと、まだ10月はちょっと躊躇しますが…。