続・人間老いやすく、学成りがたし: #公文書館
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2023/04/08

滋賀県立公文書館の「公文書館所蔵資料を用いた学習指導案集」、すごく参考になります。史料を替えれば、他の地域でも使えそう。

  昨年9月に滋賀県が誕生して150年を迎えた記念事業として、県内小中学校・高等学校の協力を得て作成した「公文書館所蔵資料を用いた学習指導案集」が、2023年3月31日刊行の滋賀県立公文書館情報紙『滋賀のアーカイブズ』の第13号として刊行されています。

 ただ、これには先行するものがあり、2022年3月31日付けの『滋賀のアーカイブズ』第12号には、「『歴史公文書が語る湖国』を用いた授業指導案」が掲載されていて、いわばこちらが「県政150周年記念特集」その1という感じのようです。また、これらは滋賀県立公文書館の学校連携事業とされていて、公文書館ホームページの学校連携のところにもアップされています。

 さらに、実はこの事業にも先行するものがあり、それが『歴史公文書が語る湖国』という、滋賀県立公文書館所蔵の特定歴史公文書等を利用した書籍です。さらにこの書籍は、明治150年特別展「湖国から見た明治維新」がきっかけで作成されたということですから、自分のところにある宝をとことん利用しているわけなのです(このあたりの詳細については、こちらに出ていました)。これはすごいですよ!

 静岡県でも、過去に『静岡県史』で集めた史料を活用する意味で、『資料に学ぶ静岡県の歴史』という小冊子や、「授業の種」という『図説静岡県史』の画像資料をもとに作成した補助教材が作成されていますが(ともに、「静岡県歴史文化情報センター」のホームページにアップされています)、滋賀県立公文書館の規模ではないですね(滋賀県は専門の方がじっくり取り組まれているのに対して、静岡のは教員が片手間でやっているので、レベルの差が断然違います。やるなら、ちゃんと滋賀県みたいにやらないと)。

 滋賀県の学習指導案、静岡の史料に替えれば、利用できそうな気がします(まぁ、静岡県は近現代史料をきちんと集めていないので、替えられる史料があるかどうか分からないですけど)。

2022/12/20

米国国立公文書館で、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関連する1万3,173件の記録が公開されました。

  米国国立公文書館(NARA)で、1992年に制定された「JFK暗殺記録収集法」に則り、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関連する1万3,173件の記録を公開しました(NARAのプレスリリースはこちら)。

 この発表は、バイデン大統領による「Memorandum on Certifications Regarding Disclosure of Information in Certain Records Related to the Assassination of President John F. Kennedy」によるものです。

 1992年11月に国立公文書館によって設立された「ジョンF.ケネディ暗殺記録コレクション」は、約500万ページで構成されていて、1990年代後半からアクセス制限なしに公開されています。今回のリリースにより、コレクション内のレコードの97%以上が利用可能になりました。

 これだけの資料が収集され、公開されているとは、さすがにNARAですね。ケネディの暗殺については多くの人がいまだに関心を持っているので、この公開は望むべきものですが、それにしてもこれだけ多くの資料があるにもかかわらず、ケネディ暗殺の本当のところが良くわからないのは何故なんでしょう?まだ本当のことが明るみになるには、時間が早いということでしょうか。

2022/08/24

アメリカの国立公文書館で、沿岸測地測量船の500以上の航海日誌をデジタル化し公開しています。

 NARAで、海図作成のために、アメリカの海岸線調査を行っていた7隻の沿岸測地測量船の、1874年から1942年までの航海日誌が、500件以上公開されています。

 航海日誌ですから、船の位置、船の動き、気象条件、およびその日の調査活動の説明が毎日記録されています。気圧計の読み取り値、水温と気温、風向と風力を含む気象データは、当時の状況を知るために重要なデータです。

 また、船の航海士と乗組員が、名前、階級、乗船日および出航日別に記載されていて、ファミリーヒストリーを調べるために使える情報です。

 これ以外の情報に関しても、歴史家が見れば歴史研究に使えることはもちろんですし、それ以外の分野を専門にしている人が見れば、他にもいろいろと読み取れる情報があると思いますので、このような資料がデジタル化されて公開されることは大変有意義なことですね。

2022/08/16

「地方公共団体における公文書管理の取組調査」の結果が公開されています。

  7月28日開催の第97回公文書管理委員会配布資料として、「地方公共団体における公文書管理の取組調査」の結果が公開されています。

 2022年4月1日時点の公文書管理のための条例、歴史公文書の保存に関する取扱い、歴史公文書の保管施設が調査されています。公文書管理のための条例等はすべての都道府県、市区町村は97%で制定されていること、歴史公文書に関するルールがある市区町村は47%、歴史公文書の保存期間が永久となっているのは45の都道府県、46%の市区町村、公文書法第5条に該当する公文書館を設置している都道府県は28団体、市区町村は32団体でした。

 公文書管理のための条例等はすべての都道府県にあるとしていますが、これは「等」が問題で、規則、要項、要領なども含まれるため100%なのですが(ただそれでも市町村が100%ではないことは問題ですが)、近年の状況を考えればここはやはり「等」を取って、「公文書管理のための条例」の制定状況を調査すべきでしょう。同じように歴史公文書に関するルールも、「ルール」という言い方ではなく、せめて「条例等」、ゆくゆくは「条例」の制定状況調査になって欲しいものです。

 「様々な取り組み事例」のうち、沼津市が、「学識経験者による指針、判断等に基づき、市史編さん等に必要がある⽂書を歴史公⽂書として選別を⾏っている」というのは初耳ですが、昨年まではこのような話は聞いたことがなかったので、今年度から始まったのかもしれませんが、このような取り組みを行っているのは大変良いことですね。

2022/08/09

日本歴史学協会が、内閣総理大臣と衆議院・参議院議長宛に「公文書館法の専門職員に係る附則2の撤廃を求める要望書」を提出しました。

  日本歴史学協会が、「公文書館法の専門職員に係る附則2の撤廃を求める要望書」を、内閣総理大臣と衆議院・参議院議長宛に提出し、その要望書を公開しています。

 要望書にもあるとおり、附則2は、1988年6月の「公文書館法の解釈の要旨」で、「本項は、現在、専門職員を養成する体制が整備されていないことなどにより、その確保が容易ではないために設けられた特例規定である」と説明されていますが、特に地方自治体は、この規定を根拠にして専門職を採用しないわけで、この規定が存在する限り、国立公文書館が「認定アーキビスト」の資格を作ったり、各大学でアーキビストの資格のためのコースを設置したりして専門職員を養成する体制が整備され専門職員の確保が可能となったとしても、地方自治体は専門職を採用しなくても良いので、採用しないのです。

 有識者と呼ばれている多くの方々が、今後はAIが発達していくので、専門的知識を持った人材が必要とされていくという話をされていますが、現状を見る限りそれがいつ来るのか、本当にそういう時代が来るのか、半信半疑というのが現実であるゆえ、特に行政では専門職が正式に置かれることが多くないのです。

 しかし、本当にそういう時代が来てから、あわてて設置するのでは、明らかに対応が後手に回るわけです。私から言わせれば、現状の日本は既に後手に回っている、先進国とはいいがたくなっていると思うのですが、ひいき目に見て何とか先進国の一員であると言えるうちに、様々な準備をしておく必要があり、公文書館の専門職員も、そのような一つであると思います。

2022/06/22

東京大学経済学図書館・経済学部資料室が、「経済学部資料室支援プロジェクト 〜貴重な資料を次世代に〜」を開設!

  東京大学経済学図書館・経済学部資料室が、デジタルアーカイブ化や歴史資料の収集・保管を担う専門職であるアーキビストの教育・育成の基盤構築のためのプロジェクトである、「経済学部資料室支援プロジェクト 〜貴重な資料を次世代に〜」を東京大学基金で開設しました。

  経済学部資料室には、1920年、新渡戸稲造がイギリス滞在中に古書店で購入したアダム・スミスの旧蔵書のうち約300冊からなる有名な「アダム・スミス文庫」があります。デジタル化を含む資料保存には、1ページあたり約100円かかるということで、ワンコインの寄付が「アダム・スミス文庫」の資料の保存・修復・デジタル化につながるということです。

 また、文書管理・保存のプロフェッショナル「アーキビスト」を育成し、その役割をもっと知ってもらい、企業史料協議会をはじめとする各種関連団体と協働し、アーキビスト育成プログラムの確立に貢献していくということです。

 アーキビストに関しては、国立公文書館が令和2年度より開始した「認証アーキビスト」があるのですが、「学芸員や司書は国家資格であるのに対し、アーキビストには資格もありません」としていますから、国立公文書館の資格ではダメだということなのでしょう。個人的に国立公文書館の「認証アーキビスト」にはやや不信感を持っていますので、経済学部資料室のように完全に資格がないとは言いませんが、経済学部資料室の趣旨には同意します。大阪大学や島根大学などでもアーキビストの養成コースが出来てきていますが、ここに東京大学に加わることになるということなわけですが、東京大学で養成を始めれば、たぶん認知度もあがりますし、人気も出ることが期待されます。

2022/04/09

金沢市公文書館が、令和4年4月17日に開館予定です。

 石川県金沢市に公文書館ができます。

 金沢城にほど近い玉川公園に、新設される金沢市立中央小学校、玉川こども図書館と併設される形で、金沢市公文書館が建設されました。この玉川公園には、郷土に関する資料を中心に収集・保存する「保存館」としての役割も担っている金沢市立玉川図書館や、前田氏・前田育徳会などから寄贈を受けた10万点あまりの近世史料(「加越能文庫」など)の保存、修復を行う近世史料館もある一大文化ゾーンですが、ここに新たに公文書館が加わることで、最強の歴史資料地帯になるわけです(そんななかに小学校が置かれるというのも珍しい感じがしますが、歴史資料の英才教育の学校になるのでしょうか😁)。

 石川県や金沢市はいままでこのような動きがほとんどなかったのですが、ここ数年でいっきに公文書館の設立にまで持ってきました。この勢いを持続して、歴史公文書の公開も進めていってくれるといいなぁと思います。

2022/03/31

長崎県立長崎図書館郷土資料センターが開館しました。

 3月27日に、長崎県立長崎図書館郷土資料センターが開館しました。

 県立長崎図書館跡地に建設された県立長崎図書館郷土資料センターは、県内の郷土資料約19万冊をはじめ、長崎県公文書コーナーという形で、長崎県が作成又は取得した公文書で県行政及び県民生活の推移が歴史的に跡付けられるなど、歴史的文化的価値を有すると認められる文書のうち、保存期間が経過し現用でなくなった歴史的文書約2,000冊や、行政資料が閲覧できるので、公文書館的機能も有していることになります。

 明治時代以後の長崎県庁に保管されていた行政文書の多くは、現在は長崎歴史文化博物館に移して保管されていますが、それ以外の県および市町村で作成された行政資料で、郷土資料センターで所蔵している主な近現代の行政資料には、

・長崎県統計書
・長崎県職員録(原簿)
・長崎県警察統計
・長崎県学事年報
・長崎県公報
・県内各市町(旧市町村)広報誌

などがあるとのことです。

 また、近現代資料のなかで、まとまった資料群としては、 


があります。さらに、新聞資料もかなり充実しています。
 これで、長崎県にも公文書館的組織ができたといっても良いでしょうね。

2022/01/08

長野県のハンセン病患者と家系を調査した台帳が、オークションサイトに出品された問題について

 今日1月8日の共同通信(KYODO)に、「ハンセン病文書の全国調査を検討
台帳ネット出品受け、厚労省」という記事が出ました。

 戦前において、衛生行政は警察部の所管でしたので、警察署がハンセン病患者と家系を調査していたのは、時代性から考えれば当然のことなのですが、それが流出していることが一番の問題です。今や、ネットオークションには様々な文書が出ていますが、今回のような文書を出品するような人は、どう思って出したのでしょうか?ハンセン病の歴史についての知識が無いゆえでしたら、これは国をあげてもっとしっかり教育に取り組まないといけない問題です。仮に出品した側は単純にお金にしようとして出したのだとしても、きちんとした知識を持っている国民が多くて買う人がいなければ、売られることもなくなるのでしょうが、残念ながら、やはり知識がないか、もしくは興味本位で購入する人がいるので、出品されるわけです。

 今回のこの文書、表紙に赤字で「永年保存」と記されているので、本来ならば県できちんと保存されているべきで、長野県ならば、長野県立歴史館で適切に保存・管理されていなければならないものです。
 文書の管理状況の調査をすることはもちろん必要なことですが、少し前に話題になった優生保護関連の文書などもそうなのですが、それがそもそもあるのかないのか、あるならばどこで保存・管理しているのかを把握したうえで、今後どこでどのように保存・管理していくのかも含めて、都道府県がその方針を明確にしていかないと、今後も同じ問題は起こりえるはずです。
 このような文書の問題は、日本が文書主義といいつつも、業務が終われば文書はいらないという認識がいまだに強いなかで、すべての文書を残す必要はないですが、歴史的に意味のある文書はきちんと残す必要があるという認識が不十分な状態を改善していくために、教育が重要な意味を持つはずだと思います。少なくとも、すべての公務員が「歴史公文書」について認識を持つように、初任者教育でしっかり指導するようにすべきだと思います。

2022/01/07

新潟市文書館が1月8日に開館

  新潟市は、平成19年政令指定都市に移行し、平成20年に制定した「新潟市自治基本条例」、及び「公文書館法」や「公文書管理法」の趣旨を踏まえ、「新・新潟市総合計画」(平成19年4月策定)に基づき、平成22年から審議され25年に制定された「新潟市文書館整備計画」により、平成30年3月に閉校した旧太田小学校の校舎を活用し整備され、明日1月8日にオープンします。

 なぜ他県の公文書館を紹介するのかというと、単にこれにかかわっている人が知り合いだからです😁ここに至るまでかなりいろいろあり、それを逐一聞かされていた者にとって、無事開館に至ったのを喜ぶと同時に、同じ政令市を抱える本県とあまりにも差がつきすぎて、なんとも…😫

 静岡県の場合、県は独立した建物ではないですが、公文書館機能を持った組織として「静岡県公文書センター」があり、歴史公文書の閲覧が可能となっています。県内市町で公文書館を持っているのは磐田市だけです(歴史文書館という名称です)。静岡市にも「静岡市公文書館」という名称の場所はあり、文書の閲覧もそれなりにできるのですが、公文書館法にのっとっていないようで、国立公文書館の「全国公文書館等」の一覧に載っていません(静岡県公文書センターと磐田市歴史文書館は載っています)。浜松市も公文書館はなく、市立中央図書館の郷土資料室や「浜松市文化遺産デジタルアーカイブ」が若干補ってはいますが、十分ではありません。計画があるようなことは聞こえてきますが、はっきりとは見えてきていません。ですから、単純にいいなぁ~と😅

2021/12/27

沖縄県公文書館で、「米国収集空中写真資料」836点が公開されました。

 沖縄県公文書館が、米国国立公文書館から収集した米国収集空中写真資料836点を、リニューアルした「空から見た沖縄」で公開しました。戦中から戦後にかけて米国政府が記録した空中写真です。
 「空から見た沖縄」のページで、キーワードを入れたり、北部、中部、南部、離島などの地区を選ぶと写真と、撮影日や地名・字名、目標物などのメタデータの他、地図で位置を確認できます。写真を利用する場合は、出版物等掲載許可申請は不要とのことです。

 また、今までの「空から見た沖縄」は、「沖縄戦戦術地図」として、当時の写真・地図を現在の地図(Google Maps)上で重ねて見比べることができるようになっています。

 航空写真は若干不鮮明なものもありますが、それでも非常に貴重な資料ですし、情報量がものすごいので、いろいろな発見があると思います。学校教材として、かなり活用できますね。修学旅行で沖縄に行く学校も多いですから、事前学習にも活用できます。

2021/11/15

仙台市が東日本大震災にかかわる公文書を選別

  11月13日の朝日新聞デジタルに、「「震災公文書」一部廃棄へ 仙台市が選別開始、24年から公文書館に」と題した記事が出ています。

 記事よると、当初は「東日本大震災と復興の記録は、すべて歴史的公文書になりうる」としていたとのことですが、全量を残すのは現実的に難しいため、保存する文書と廃棄する文書の選別が、文書法制課と各課の協議により始まっているとのことです。

 今年の1月25日に開催された「第3回 (仮称)仙台市公文書館運営検討会議」で、具体的にどんな公文書を残すのかを示した資料(資料3「東日本大震災に関する文書の選別について」)が提出されていて、それを見ると具体的な文書名が表にまとめられています。また、「留意事項」として、
1 個人情報が主体で、同種のものが大量に存在する文書については、一部を資料として収集したうえで、残りの文書については廃棄する。
2 以下の文書については,収集選別を行わないこととする。
(1)事業の執行に伴い義務的に発生する業務に係るもの
(2)簡易な手続に関するもの

とされています(第3回会議の会議録はこちら。資料3は上記「(仮称)仙台市公文書館運営検討会議」のリンク先から参照してください)。

 何を保存するのかはもちろん難しいのですが、特に何を廃棄するのかの判断は、廃棄してしまえばこの世に存在しなくなるのですから、より一層判断が難しいわけですが、上記「留意事項」に示された廃棄および収集選別しないものの判断は適切だと思います。同種で大量にあるものは、仮に全部残せば、煩雑になり、かえって整理がしづらく、そのすべてが閲覧されることも想像しがたいですので、サンプルがあれば十分だと考えられるからです。また、「事業の執行に伴い義務的に発生する業務に係るもの」というとわかりにくいですが、例えば公金を支出する際の「支出票」のようなものがそれにあたると思われますので、当然残す必要はありません。「簡易な手続きに関するもの」も、簡易な手続きで済むような案件は、おそらく簡易なことですので、当然いらないでしょう。逆にこれらのものが残っていても、将来的に閲覧されることはないでしょう。将来の参考資料となるものを残すわけですから、参考になりそうもないものは残す必要はないわけです。

 そうはいっても、実際現場では、できる限り将来のために役立つ文書を残そうと、非常に悩みながら選別していると想像されます。東北の被災市町村では初の公文書館となる仙台市公文書館ですので、今後も注目していきましょう。

2021/09/29

「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」の公表

  千葉県立図書館の「共通のお知らせ」欄に、今日9月29日に出たのですが、実際の公表は21日でしたが、見落としていました。

 何故、千葉県のことを取り上げるのかというと、千葉県は2017年に歴史公文書の誤廃棄があって(実際の現物廃棄は2016年3月で、公表されたのが2017年4月)、大騒ぎになり、その後専門職員を採用したという経緯があり、つい先日にも公文書館に関するシンポジウムで千葉県の話題があったばかりですし、誤廃棄の問題は他人ごとではなく、いつ他のところで起こってもおかしくない昨今ですから、今回の新しい文書館(図書館との複合館)計画は、関係者にとっては注目されることなのです(誤廃棄の詳細については、宮間 純一「千葉県文書館収蔵公文書の廃棄・移動をめぐる問題に関する報告」『アーカイブズ学研究 』No.26 (2017.6)。

 「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」を見ると、新施設は、県立中央博物館のある県立青葉の森公園内に作られて、まさにMLA連携のスタイルをとるようですね。千葉県に関する文化情報資源が一か所にまとまるというのは、利用者にとっては大変便利ですので良いのですが、最寄駅の京成千原線千葉寺駅から徒歩約20分って、実際の現場を知らないので何とも言えないですが、結構歩きませんか?千葉駅からだと、千葉中央まで歩いて、そこから京成千原線で2駅のようですので、この部分はそれほど遠くはないと思いますが(そもそも広い土地が街の中にあるわけがないですから)。ただ、これは大した問題ではないです。

 一番気になったのが、収容能力で、文書館書庫が50万冊(図書館書庫は205万冊)、面積は公文書書庫が750㎡(集密書架(延長 7,483m)を設置できる前室付の書庫)、古文書書庫が770㎡(集密書架(延長 7,705m)を設置できる前室付の書庫)となっています。現行の文書館の収容能力25万冊に比べれば倍にはなっていますが、これは何年でいっぱいになる計算なんでしょうか。そもそも先の誤廃棄問題は、保管場所の狭隘が発端だと聞いていますので、このスペースではそれほど経たないうちにいっぱいになりそうな気がします。歴史公文書は永久保存のものですし、公文書が発生する限り増え続けます。おそらく公文書のデジタル化を考えて、紙文書は今度増えないとの考えもあるかと思いますが、保存の観点では現状デジタルは完璧ではありません。保存を考えるならば、現状は紙に勝るものはありませんから、本当に紙で残さなくても大丈夫なのかは、まだはっきり分からないのが現状です。

 同じことは図書館にも言えることで、今後電子書籍を増やそうという動きですが、これも紙の本は無くても良いのか。個人的に本を読むのは電子ではダメですね。何が違うのか、科学的な理由はわかりませんが、PDFを含むパソコン等で読む文書は、なかなか頭に入って来ないというか、行を間違えてしまったり、紙の本とは感覚が違うんです。公文書だって、歴史公文書は歴史資料ですから、それを読み込む際には、たぶん紙の方が読みやすいと感じると思います。もしかするとデジタルネイティブならば、平気なのでしょうか?