8月4日の朝日新聞社説は、「本を読む権利 切なる声にこたえたい」というタイトルです。
先月芥川賞に決まった市川沙央さんが、芥川賞の会見で述べた「ちょっと生意気なことを言いますけれど、各出版社、学術界でなかなか電子化が進んでいません。障害者対応をもっと真剣に早く取り組んでいただきたいと思っています」を受けての社説です。
電子書籍は、紙の本のような重さがなく、文字を拡大して読める利点があったり、画面の自動読み上げ機能を使って本を「聞く」ことも可能だったりとメリットがあり、市川沙央さんがいうように、障害のある人にとっては「本を読む権利」が満たされるわけで、大変良いことです。
社説には、電子化は中小の出版社では追加コストなどがあるとし、手間がかかることや流出への懸念が背景にあるとしていますが、現在は本を作る際は、ほとんどDTPですから、基本的にはデジタルデータで作成するわけです。したがって中小でもコストがかさむどころか、昔に比べれば安くなっているはずです。もちろん、最初からデジタルデータで作成しているので、手間がかかるわけもありません。確かにデジタルデータなので、流出は懸念されますが、それさえ十分な対策をとれば、やたらと流出することも多くないと考えられます(まったく流出しないということはおそらくないですが)。
むしろ問題になりそうなのは、保存の観点です。紙の本のようにデジタルデータの入ったメディアをその辺にほっておけば、数年後にはおそらく読むことはできないでしょう。保存メディアの媒体自体の保存年限や、保存メディアそのものが旧式になることによる読み取る機械が無くなってしまう可能性、またデジタルデータを読みこむためのソフトが古くなってしまうとかで、結局読めなくなる可能性が高いわけです。今時フロッピーディスクなんて一般にないでしょ?図書館は困りますが、出版社にとれば、むしろ最新版に買い直ししてくれる可能性が高まるので、悪いことではないはずです。
「従来の商慣行はバリアフリーの要請を退ける理由にはならないはずだ。出版界にはより積極的な行動を求めたい。」としている朝日新聞さん、自分のところは電子化、進めているの?
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