続・人間老いやすく、学成りがたし: 「一般と専門家との間にある大きなギャップ」って、いろいろありますよね。

2023/08/09

「一般と専門家との間にある大きなギャップ」って、いろいろありますよね。

 8月5日の朝日新聞デジタルに出ている「ナチスは「良いこと」もした? 逆張り主張に応答、研究者の危機感」の記事ですが、最近はネットの匿名性によって、中途半端な知識をもとに、いろいろな議論をしている人たちを時折見かけます。

 『検証 ナチスは『良いこと』もしたのか?』、読みましたが、これぞ歴史の専門家の仕事と言えるブックレットで、多角的に非常に詳細な検証を行い、豊富な参考文献も巻末に載せられていて、歴史研究の見本のような本です。

 歴史において、「逆張り」の主張とは非常に多いですが、それを専門家が1つ1つ向き合って論証していくというのはかなり珍しいですし、多くの専門家は、一般との認識にギャップがあることを前提としている部分があるように思いますので、あまり対応しないこと多いわけですが、今回のブックレットはそれを丁寧にやっているという点で、大変貴重な文献になりますね。

 ただ、「一般と専門家との間にある大きなギャップを埋める必要がある、と危機感を感じた」というのは、いちおう私も端くれに居る人なので、それを感じることはありますし、埋めることを試みているつもりですが、現実はなかなかうまくいきません。原則的にそのことについて常に考えている人間と、時折何かに触発されてそのことを話題にする人間とでは、日ごろの意識が違いますし、その差は簡単には埋められない、本来はそのようにあきらめるつもりはなくとも、現実その差を埋める努力は、かなり無謀に思えるのが事実です。その意味でも、本書は大変有意義な一冊です。

0 件のコメント:

コメントを投稿