続・人間老いやすく、学成りがたし: 7月 2023

2023/07/31

「学校教員統計調査」の令和4年度中間報告が公表されました。

 7月28日の朝日新聞デジタルに、「精神的な不調で離職の教員、過去最多に 働き方改革急務 文科省調査」という記事が出ています。「学校教員統計調査」の令和4年度中間報告が公表となり、精神疾患を理由に離職する小中高校の教員が過去最多を更新したことが分かったことを伝える記事です。

 中間報告の一番最初に「教員の平均年齢」が出ています。

①公立幼稚園:41.4歳、 ②公立小学校:42.1歳、 

③公立中学校:43.0歳、 ④公立高等学校:46.2歳

 軒並み40歳台なのは、どうなんでしょう。高校生はある程度大人で、教員が激しい動きを必要とすることはほとんどないのですが、40歳台も半ばを過ぎると気力も体力も衰えてきますから、その年齢が平均っていうのは良くない気がします。幼稚園や小学校のように子どもの動きが激しいところで、41~42歳が平均ってのは、やはり問題でしょう。これらの時代は、教員も一緒に活動してナンボのような気がしますから、平均年齢はもっと若い方が理想的でしょう。中学校だって、もっと若いに越したことはありません。ただ、多少救いなのは、「公立小学校及び公立中学校では前回調査時より30歳未満の比率が上昇(どちらも1ポイントほども上昇ですが)」している、という点でしょうか。

 こんななかで、「定年者を除いた離職者のうち、精神疾患が理由で離職したのは、小学校が7.8%にあたる583人(前回比117人増)、中学校が6.5%にあたる288人(同36人増)、高校が3.2%にあたる181人(同27人増)。いずれも、09年度の離職者から精神疾患を理由とするケースを調べるようになって以降、数も割合も最多」だというのです。「離職者や休職者が増えて人手不足が加速し、子どもの学びに影響が出ることも懸念されている」と指摘するだけではすまない状況になっているわけです。

 もう現状の学校制度は限界です。実害が出る前に(もうすでに出ているかもしれませんが)、新しい学校制度に切り替えるべきです。

2023/07/30

鉄道ファンって、メカメカしい感じなのが好きなんですよね。

  7月27日の朝日新聞デジタルに、「幸せの黄色い…見られる確率がレアな「作業車」 名鉄で9月からGO」という記事が出ています。

 名古屋鉄道で、保線作業にあたる新型の車両「マルチプルタイタンパー」、略称マルタイが導入され、9月から運用を始めるとのことです。車体は黄色だそうで、ドクターイエローを始め、最近は黄色い車体が人気なんですかね。

 このマルタイ、オーストリアの保線機械メーカー「プラッサー&トイラー」製の「線路のゆがみを直すための作業車」です。「ディーゼルエンジンで自走し、全長22メートル、幅2・8メートル、高さ4メートル。下部の装置で線路をつかんで持ち上げ、敷かれた砕石(バラスト)を突き固める」。一晩で人力では100メートルのところを、マルタイなら1キロはこなせるということですが、値段は非公表ですが「数億円」とか。

 営業運転時間外の夜中に作業し、「稼働日数はともに約150日。愛知、岐阜にまたがる名鉄の営業路線のうち、瀬戸線を除く424キロへ出動するのは年1回程度で、一般の目に触れる機会は少な」く、「運行計画は公にしていないが、夜中のマルタイの作業中、周囲にカメラを持った「ファン」が現れることは珍しくないという」ことで、どこで調べてくるのか、さすが鉄ちゃんですね。安全だけはしっかり守りましょう!

2023/07/29

新たな「国土形成計画(全国計画)」及び 「国土利用計画(全国計画)」が閣議決定されました。

  7月28日に、新たな「国土形成計画(全国計画)」及び 「国土利用計画(全国計画)」が閣議決定されました。2015年以来、8年ぶりの策定です。

 2050年を見据えて、「人口減少に直面する中、10万人を目安にして、デジタルとリアルが融合した「地域生活圏」の構想」を打ち出した「国土形成計画」です。

 新型コロナ禍で、一瞬だけこの計画で打ち出されている「地域生活圏」構想の方向に行くのか?と思わせられましたが、5類へ移行し、元の生活へ戻すという流れの中で、見事にその期待は裏切られ、もとの一極集中に戻りつつありますが、今回の計画は、その一瞬実現するかに思えた幻を、そのまままとめたという感じでしょうか。

 あるいは、人口減少で地方での暮らしの存続が危機的にあるなかで、それを無理やり維持するための算段として、デジタルを利用して様々なサービスの充実を図ろうというものなのか、といった感じです。

 どのみち、計画に描かれるような「地方の豊かな暮らし」と呼べるようなものは実現しません。今の生活を維持するとすれば、ぎりぎり崩壊しない程度を維持するのがやっとというのが関の山でしょう。

2023/07/28

「朝鮮戦争休戦70年」、正直言って、我々日本人はよくわかっていない。

 「朝鮮戦争(1950~53)の休戦協定が結ばれてから、7月27日で70年。」

 多くの日本人にとっては、朝鮮戦争が勃発したゆえに「特需」と呼ばれる好景気になったということだけが分かっているだけで(それをわかっている人も、それほど多くないが)、朝鮮戦争の実態や日本のかかわりをよく知らない人がほとんどでしょう(かく言う自分も、概略はわかりますが、細かい部分についてはいまいちって感じです)。

 7月27日の朝日新聞デジタルの「日本に無差別爆撃の出撃基地だった自覚はあるか 朝鮮戦争休戦70年」にあるように、「日本の米軍基地から、朝鮮半島を無差別爆撃する米軍機が出撃し、日本は軍需物資の生産・輸送などの拠点にもな」り、「企業が、兵器や軍需物資の生産・修理を行い」、「日本人が輸送や看護などに動員され、在日米軍基地では日本人従業員も働いてい」たからこそ、「特需」になったわけで、それは朝鮮半島の人々の多くの犠牲のうえに成り立つものなわけです。アメリカの手下として「日本は、実質的に朝鮮戦争に参戦した」と言えるでしょう。

 現在の日本の形は、朝鮮戦争が原因で成立したわけですから、まずは朝鮮戦争のことを知るべきでしょう。

2023/07/27

「イシクラゲ」って、最強の生物なの?世の中、見た目によらないです。

 7月25日の朝日新聞デジタルで、「「えっアレが?」 クマムシ級にものすごく耐えるヤツは足元にいた」という記事が出ています。

 「最強の生物」としてはクマムシが有名ですが、クマムシと双璧を成す「最強生物」が「イシクラゲ」なんだそうです。

 「イシクラゲ」って、庭とかでよく見る海藻みたいな緑色のヤツで、晴れていればパリパリのコブみたいな感じですけど、雨が降ると水分を吸ってブニョブニョになって、スベるアレでらしいです。

 「パリパリになった状態でも、休眠状態として生きて」、「パリパリだと、100度を超える高温やマイナス100度以下の低温、たいていの生物が死ぬ強い紫外線や放射線にも耐える」という、とんでもなくスゴイやつなんだそうですが、とてもそうには見えないです。世の中、だんだん見た目じゃわからないものが多くなってきました。

2023/07/26

「図書館で不登校を防ぎたい」、このコンセプト、良いです。

 7月25日の朝日新聞デジタルに、「高校生が考えた「図書館で不登校を防ぐ」 教室は息苦しいときもある」という記事が出ています。

 神奈川県藤沢市の湘南工科大学付属高校の新しい図書館、さすが私学、ものすごく立派です。ただポイントはそこではなく、「図書館で不登校を防ぎたい」というコンセプトです。

愛称の「HABITAT(生息地)」も、意味ありで良いです。

 学校図書館は、従来より、児童生徒の「読書センター」機能及び「学習・情報センター」機能という2つの柱を持つものととらえられています。新しい学習指導要領となったことで、「学習・情報センター」としての機能がより注目され、「自発的、主体的な学習活動を支援するとともに、情報の収集・選択・活用能力を育成して、教育課程の展開に寄与する「学習・情報センター」としての機能を果たす」ことが期待されています。つまり、「個人の関心に基づく探究」をする上で重要な役割を果たす存在なわけで、そこが教室以外の居場所となれば、「個人の関心に基づく探究」がより進む可能性があるわけです。

 教室は、30~40人が一緒にいるわけですから、どうしても自分自身が自分と他の人を比べてしまう、あるいは他の人と自分を他の人に比べられてしまうわけですが、図書館は基本単独人同士ですから、そもそも誰かと比べるという場ではないから気楽です。そういう場所って、とても大切です。

 湘南工科大学付属高校の新しい図書館は、それによって「不登校を防ぐ」場所と位置付けられているわけですね。

2023/07/25

小学校が先行していますが、中学、高校は追いついていないので、よけいに矛盾する。

 7月23日の朝日新聞デジタルに、「授業が変わった 取り組む内容、子どもが決める GIGA構想3年目」という記事が出ています。

 一斉授業を減らし、一人一台端末を活用して、個別の学びを実践している小学校の事例を紹介する記事です。このような動きは端末の整備が先行した小学校で進んでいて、実践自体もなかなかおもしろいものになっていますが、中学校へ行くとどうなるでしょうか?なかには小学校同様にかなり様々な実践をしている中学校もありますが、小学校での学びが活かされる授業が、どれほどの中学校で実践できているでしょうか。同様に高校はどうでしょうか。あるいは高校受験でこのようなものが反映されている受験があるでしょうか。

 もちろん、新しい学習指導要領が進んで、高校でも従来とかなり違う科目が行われ、観点別評価も導入されてきていますが、いわゆる普通高校では相変わらず一斉授業が多いのではないでしょうか。そもそも大学入試が、科目は変われど、インプットしたものを、いかに正確にアウトプットするかの形式の試験スタイルは変わっていないので、小学校で個別の学びをやってきても、中学、高校とあがるにしたがって、以前のスタイルの授業が多くならざるを得ないというのが現実なのではないかと思います。

 「学ぶことは本来楽しいはず」、「学校は本来楽しい場所のはず」を取り戻そうと小学校がかんばっていても、上に上がるほど矛盾していくのって、やりきれないですね。やはり、一度現在の学校制度をゼロにして、作り直す必要があろうと思います。

2023/07/24

東京都内の公立小学生のうち、2022年度に都内の私立中学校に進学したのは19.3%。意外に少ない印象。

 7月21日の朝日新聞デジタルに、「公立中高一貫校、誰のため? 世帯年収、難関化…教育社会学者の視点」という記事が出ています。

 東京都内の公立小学生のうち、2022年度に都内の私立中学校に進学したのは19.3%公立中高一貫校に進学した子は1.7%同校を受験した子に広げても7.5%ということで、意外と少ないなぁというのが個人的印象です。

 公立中高一貫校に進学した子が少ないのは、都内の区市町村立の中学が601校に対して、公立中高一貫校は11校とかなり少ないからですが、私立中学校は東京都に187校あり、中学校のおよそ4校に1校が私立校という割合になるので、もっと多いかと思いましたが、おそらく神奈川県や埼玉県、千葉県などの小学生が東京都に来るので、この程度になるのでしょう。

 高校受験の影響を受けずにゆとりある学校生活を送れることや、6年間をかけての計画的な指導を受けられることなどが、中高一貫教育の利点とされますが、少し前に比べてかなり学校での教育の在り方が変わってきている現在、従来利点とされてきたことがそのまま利点と言えるかどうかわかりませんが、実際に進学している数が2割なのは、やはりお金がかかるのが理由です。「文部科学省による21年度の全国調査では、中学でかかるお金(学校教育費、給食費、学校外活動費の合計)の平均は、公立は年約53万円、私立は約143万円で、私立は公立の2.7倍」ですし、それ以前に中学受験をするということは塾に通うということなので、家庭が塾代を負担できるかどうかが、最初の関門なわけです。

 私立にしろ公立にしろ中高一貫校に入って、その後の進学実績はどうなのか、私立の中高一貫校はそれなりの実績はあるでしょうが、公立の中高一貫校は数が少ないからか、あまりその実績は一般的ではないですが、実際はどうなんでしょう?そもそも中学受験して入ろうという意識が高い子どもが受けるわけですし、地方の人間からすれば、東京都というだけで地の利がある分、進学実績は高いだろうと想像しますが、確かに公立であることの意義が弱くなっているような気がしますね。

2023/07/23

インドのカレー文化が東南アジアに入ったのは約2千年前!

 7月21日付けの「Science」のNEWSに、”Curry may have landed in Southeast Asia 2000 years ago,Spices found on stone tools shed light on ancient global trade network”という記事が出ています(22日付けの朝日新聞デジタルでも「2千年前にカレーが渡来か ベトナム古代遺跡の調理器具にスパイス」とあります)。この記事の元論文は、”Earliest curry in Southeast Asia and the global spice trade 2000 years ago” SCIENCE ADVANCES 21 Jul 2023 Vol 9, Issue 29です(「Science」NEWSでも、十分わかりますが、より詳細な内容を知りたい際には、上記の論文リンクで確認してください)。

 西暦1世紀から7世紀まで存在した扶南王国の主要港であったOc Eo(オークエオ)遺跡から発見されたfooted grinding slab、現在のインドでも見られるスパイスをひくためのすり台、footedですからそれに脚がついた石器に付着した植物の痕跡のなかに、ターメリック、クローブ、シナモン、ナツメグ、ショウガなどのスパイスが発見されたということです。

 これらのスパイスは、まさに「カレー」の材料なわけですが、さらにココナッツの痕跡も確認されており、このことはOc Eoで使用されるスパイスがココナッツミルクでとろみをつけられていたことを示唆しており、これは現代の東南アジアのカレーに特徴的な手法であることから、今日使用されているカレーのレシピは、古代から大きく変わっていないことがわかったわけです。

2023/07/22

「頭痛ーる(ずつーる)」、これって良いかも。

 7月21日の朝日新聞デジタルに、「雨が降ると頭が痛くなる? 迷信ではない「気象病」 アプリが人気」という記事が出ています。

  昔から、「雨が降ると頭が痛くなる」という話がありますが、そのような「気象病」の発症を予測できるアプリが出ていてます。その気象病予測ができるアプリ「頭痛ーる(ずつーる)」が、とても人気を集めているということです(リンク先はパソコン用ですが、スマホ用アプリもあります)。正直知らなかったのですが、リンク先にもあるように、「頭痛ーる」は10周年なんだそうです。

 自分が「気象病」かどうかがわかる簡単なセルフチェックのあるのですが、以前から天気が崩れる前などに時々頭痛がしたり、やや頭がすっきりしない時があったのですが、チェックしたら、「気象病の可能性が高いです」と出てしまいました😭

 そんなわけで、アプリを入れてみました。

 「気象病」のアプリなので、もちろんお天気アプリとして使えますし、「気象病」の知識について、いろいろ出ています。記事には「「頭が痛いのに、『頭痛ーる』によると気象病ではなさそうだ」という人が病院に行き、他の病気を発見した」事例もあるようです。オジサンなんで今年の暑さは結構来ていますし😵、痛いのはつらいので、これからしばらく使って様子を見たいと思います。 

2023/07/21

「Web OYA-bunko」が大リニューアル!

  「大宅壮一文庫」の記事検索システムが、大規模にリニューアルされました。

 ①テスト版として公開していた冊子版「大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録」の1987年以前のデータが統合され、1888年~現在までの約140年分の約732万件のデータが一括検索できるようになりました。

 ②レスポンシブデザインを採用したことで、パソコン対応が前提だったものが、スマホ&タブレット操作に完全対応し、デザインも一新されて見やすくなりました。

 ③ユーザインターフェイスを全面的にリニューアルし、複数の人物・職業を一括検索できるようになりました。

 リニューアルを記念して、7月24日(月)から期間限定ワンコイン(500円)検索し放題キャンペーン」を開始します。これは個人賛助会員未加入者も利用できます。雑誌の検索では「大宅壮一文庫」に勝るものはありませんし、オンライン受付記事複写サービスで記事コピーの取り寄せも可能ですから、このキャンペーンで試してみて、良ければ個人賛助会員になるってのもアリです。

2023/07/20

千葉市立加曽利貝塚博物館で、スマートグラスを利用した情報表示ガイダンスシステムに関する実証実験が行われます。

  明日7月21日に、日本最大級の貝塚を有する千葉市立加曽利貝塚博物館で、メガネ型の情報端末“スマートグラス”を利用した情報表示ガイダンスシステムに関する実証実験が実施されます。

 この実験は、大日本印刷株式会社(DNP)がスマートグラスの内蔵カメラで撮影する画像情報から利用者の位置情報を算出するVPS(Visual Positioning System)技術や、リアルとバーチャルが相互に影響し合う空間等を構築するMR(Mixed Reality:複合現実)技術を活用して行うものです。この情報表示ガイダンスシステムにより、実際の博物館内で鑑賞する人の位置に合わせて、貝塚の断面や竪穴住居の柱、土器等の情報を重ねて、スマートグラスで立体的に表示する“場所に応じたMR”のサービスが提供されるそうです。

<情報表示ガイダンスシステムの実証実験のポイント>

1.所定の位置で自動的に解説等のコンテンツを表示

 スマートグラスの内蔵カメラで取得した展示物等の画像によって利用者の位置を特定するため、これまで必要だった位置特定用のマーカー等の設置が不要です。スマートグラスをかけて所定の場所で展示物を観ると、該当する解説コンテンツ等が速やかにスマートグラスに表示されます。今回の実証実験では、加曽利貝塚博物館内の貝層断面の展示を観ると、周囲に掘られた調査区の様子がMRで表示され、発掘当時の現場にタイムスリップできます。

2.現実の世界とCG等のコンテンツを違和感なく配置

 バーチャルに表示するCG等の解説コンテンツを、スマートグラスを通したリアルな空間上の最適な位置に、高い精度で配置できます。そのため、解説コンテンツ等が現実世界と一体化しているような自然な表示が可能になり、利用者の直観的な理解や満足度の向上につながります。今回の実証実験では、「加曽利E式土器」展示ケースの前で4点の土器の3次元(3D)CGをMRで表示します。実物の展示では観ることができない土器の裏側などを好きな角度から鑑賞できます。また、「大形建物跡」の展示の前では、MRで床に表示する竪穴住居跡の上に柱を再現することで、建物の大きさなどをわかりやすく伝えます。

 この実証実験をふまえて、今後は博物館・美術館に加え、企業や自治体等のショールームでの製品・サービスや施設・観光スポット等の紹介等にも展開していくとのことです。

2023/07/19

男女の分業についての固定観念をくつがえしてくれる発見は、いかに我々がジェンダーバイアスにとらわれているかを示してくれます。

  7月16日の朝日新聞デジタルに、「「男が狩り」「女は採集」は誤解? 9千年前のペルーに女性ハンター」という記事が出ています。

 「米カリフォルニア大の研究チームは2020年、ペルーのアンデス高地の約9千年前の遺跡で、ハンターと見られる10代後半の女性の遺体が見つかったと発表」、それを受けて、同チームが「アメリカ大陸の近い時代の遺跡から見つかった400人以上の記録を改めて分析したところ、狩猟具とともに埋葬された27人のうち、4割にあたる11人が女性だったことを突き止めた」との論文を、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載したことを紹介するものです。

 狩猟採集社会における男女の分業については、1960年代にカナダや米国の人類学者らが出版した論文集「Man the Hunter(狩猟者である男性)」などをきっかけに支持されるようになり、各地に残る現代の狩猟採集社会の研究も進み、この主張に沿った男女の分業を示す報告が増えましたが、一方で狩りをする女性は例外的な存在と考えられてきました。しかし、”Female hunters of the early Americas”と題するこの論文によると、「学者たちは、私たちの種の進化の過去において、現代のジェンダー行動がどの程度存在していたのかを理解することに長い間取り組んできました。多くの研究は、現代のジェンダー概念が過去のジェンダー概念を反映していないことが多いという主張を支持しています」、「初期の狩猟採集民が経験した生態学的条件は、女性と男性の両方が幅広く参加する大物狩猟経済に有利に働いていたであろうことが示唆されています」、「アメリカ大陸の初期の女性が大物狩猟者であったことを明らかにしています」とされています。

 現代においても男性よりも運動神経の優れた女性は多くいますし、特に当時のような狩猟の能力が重要視される時代においては、男性だろうと女性だろうと、狩りがうまい人間が狩猟を行うことで食料が確保されたわけですから、当たり前なはずなのですが、現代のジェンダーバイアスにとらわれていると、こういう事実も見逃す、もしくは否定することになってしまいがちですので、このような発見は我々にとって非常に良い情報です。

2023/07/18

「街の昔の日常や人々の暮らしが知りたい」という希望に答えるレファレンス、良いと思います。

 7月15日の朝日新聞デジタルに、「図書館で「思い出」検索 司書は気づいた「後に知りたいと思うこと」という記事が出ています。大阪市立図書館のホームページの「思い出のこしプロジェクト」を紹介するものです。

 「街の昔の日常や人々の暮らしが知りたい」というレファレンスをたびたび受けたことから考え出されたものなのだそうですが、名所の記録や成り立ちなどの行政資料は多く存在しますが、子どもの頃に遊んだ空き地や公園など、見慣れたまちの風景も、何年かすると面影もないくらい変わってしまうというのは事実で、田舎でも変わらないようでいて、どこか変わっていくものです。それを調べようとすると、案外と難しいというのは納得ですね。

 そのような地域に関する情報を集約するのに、図書館はうってつけです(公文書館でも良いのですけど、まだまだ全国津々浦々にあるというものではないので)。

 このような取り組みは非常におもしろいですし、重要なことだと思います。先日静岡県の新しい中央図書館の話題を取り上げましたが(こちらです)、9階にできる県史の資料等を集約した場所こそ、このような地域情報を集めて、「ココに来れば、昔の静岡のことが何でもわかる」という場所になってもらいたいなぁと思います。

2023/07/17

朝日新聞の連載「偽りの帝国 満州アヘンマネーを追う」がおもしろいです。

 朝日新聞で「偽りの帝国 満州アヘンマネーを追う」と題した全5回の連載が掲載中です。

 満州国のアヘン問題を題材にした「週刊ヤングマガジン」(講談社)に連載中の「満州アヘンスクワッド」や、故山田豪一さんの未定稿を、旧友の森久男・愛知大学名誉教授が2021年に「続・満洲国の阿片専売」(汲古書院刊)として刊行されて注目されています。

 この連載の7月11日付け第1回に、コメントプラスで編集委員自身のコメントが読めるようになっています。それによると、この連載は「続・満洲国の阿片専売」の刊行がきっかけで取材を始めることになったとのことですが、「取材をすればするほど、眼前の闇が広く深くなっていくのを感じるばかりでした。解明しなければならないことはまだまだまだ多いと痛感しています。」とコメントしています。確かに満州国のアヘン問題はわかっていないことが多く、故山田豪一さん、よくぞ「満洲国の阿片専売-わが満蒙の特殊権益の研究」を刊行し、「続・満洲国の阿片専売」が刊行できるほどの未定稿ができたものです。

 プレミアムA「満州 アヘンでできた“理想郷”」も必見です。こちらでは、「満州を知る10のワード」、「カラー化写真ギャラリー」、「参考文献・クレジット」が確認できます(特集としては、本来こっちがメイン?のような気がしますが…)。

2023/07/16

犀ケ崖古戦場で、4年ぶりの遠州大念仏!

  昨日7月15日は、遠州の夏の風物詩「遠州大念仏」でした。その由来は、三方ヶ原の戦いの中の犀ヶ崖で亡くなった人の霊を弔うためと言われていますから、「どうする家康」が放送されている今年は、先日三方ヶ原の戦いも放映されたので、犀ケ崖古戦場での4年ぶりの披露とうことで、大勢の見物客が訪れました。

 NHKの静岡 NEWS WEBでは、7月16日付けで「三方ヶ原の戦いで亡くなった人の霊を弔う「遠州大念仏」」として、ニュース動画が添付されていますので、「遠州大念仏」ってどんな感じ?という方は見てみてください。

 「遠州大念仏」についての詳細は、遠州大念仏保存会のホームページに詳しく出ていますので、興味のある方はどうぞ。

2023/07/15

くずし字資料の自動テキスト化や現代語訳、英訳が実現しつつあります。

 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)が、「つくし」プロジェクトのウェブページを公開しました。

 くずし字資料の大規模テキスト化に基づき、全文検索技術の開発や大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)へ展開し、人工知能(AI)ツールを開発・利用しつつ、くずし字資料の自動テキスト化や現代日本語や英語翻訳などが実現しつつあります。

 『絵本江戸桜』に対して、AIを用いた自動テキスト化/翻訳の実験が行われ、その結果を見ることができます。「AIくずし字認識」はAIで自動生成したものであって、人間による確認や修正は行っていないため、多少おかしな部分がありますが、「現代文翻訳」と「英語翻訳」はいい線いっていると思います。そうは言っても「AIくずし字認識」も、おかしな部分は明確にわかるので、そこだけ注意すれば、使えるのではなないでしょうか。

 AIくずし字認識アプリである「みを」が出た際には、夢かとも思いましたが、まさか自動テキスト化や現代語訳、英訳までできる世の中になるとは…。昔のマンガの話が、少しずつ現実化してきています。

2023/07/14

「動画でみる資料保存」、いろいろ役にたつので、見ておくと良いです。

 日本図書館協会(JLA)のウェブサイトに、「動画でみる資料保存」のページを開設されています。

 もとは、「全国図書館大会2020(第106回全国図書館大会和歌山大会)の資料保存分科会における発表動画」ですが、

○概説:図書館における資料保存とは(眞野節雄)

○資料の取扱い(一般書―洋装本)(田崎淳子)

○資料の取扱い(和本―和装本)(新井浩文)

○資料の取扱い(視聴覚資料)(児玉優子)

○カビ対策(神原陽子)

○災害対策・水損資料への対処(佐々木紫乃)

○簡易な保存容器(川原淳子)

○資料修理(基本的な考え方と技術)(眞野節雄)

と、資料保存に関する知識は一通りそろっているので、見ておくと、大変勉強になります。

 この動画の文字資料は、これです。

2023/07/13

何で、全部がUDフォントにならないの?

 7月7日の朝日新聞デジタルに、「「読みやすい」UDフォントを導入 共通テストで新たな配慮」という記事が出ています。

 来年1月に実施する大学入学共通テストで、配慮が認められた受験生に対し、一部の問題冊子の書体を基本的にユニバーサルデザイン(UD)フォントにするとしたことを紹介する記事です。

 UDフォントは、読み書きに困難がある人でも読みやすいように、字を読みやすくして誤読を減らせるように開発されたフォントで、確かに読みやすいです(詳細はこちら)。

 ただ、ユニバーサルデザインなんですから、基本的には誰もが読みやすいわけで、読み書きに困難がある人だけはなくて、すべての受験生にとって読みやすいものの方が良いに決まっているのに、どうしてすべての問題や解答用紙の文字をUDフォントにしないんでしょうか?

2023/07/12

学ぶ意欲があって大学に行く人って、そんなに多くないと思うんだけど…。

  7月11日の朝日新聞の社説は、「奨学金改革 一歩前進も課題は山積」というタイトルです。

 その社説の一番最初に、「学ぶ意欲があれば、誰でも大学で学ぶことができるようにするのが望ましい。」として、「政府が、「給付型」奨学金を受け取れる人や、授業料減免の対象になる人を広げる方針を閣議決定」したということが述べられていますが、「学ぶ意欲があって大学に行く人」って、どれくらいいるんだろう?生徒はもちろん、保護者の多くは、「学びたいから進学する」のではなく、大学に進学することが「就職のための手段」だと、とらえている向きが多いのではないだろうか。これは現実として、高卒で就ける職業が限られているからであり、大卒になることで職業の選択幅が広がることが原因なわけです。

 もちろん「学びたい」ことがあるから進学する、という学生がまったくいないとは言わないが、高校生を見ている限り、学校がそのような指導をしているからなおさらなのだが、将来の仕事のことを考えて進路を決めている、例えばいまだにある「文理選択」の際にも(文理に分かれるのも、大学入試のためだけで、実際に学問をやり始めたら、いろいろな知識が必要で、文系でも数学や理科が分かった方が良い場面が多いし、その逆もしかり)、どんな仕事に就きたいかを考えながら、入試で文系科目メインで受験するのか、理系科目メインで受験するのか、受験で理系科目が必要な分野なのに、数学が苦手だからと言って文系に行ってしまうと将来希望する職業に就けなくなる云々、などの指導が行われて、その結果として大学に進学するという感じなわけです。

 中学や高校で習った授業、例えば歴史がおもしろくてもっと学びたいとか、小さなころから虫が好きなので虫の研究をしたいとかを理由として、大学に進学しようとする話はあまり聞いたことがないです(かく言う自分は、歴史を勉強したくて進学しためずらしい部類で、そのおかげで学生時代は満喫した時間を過ごしましたが、就職のこととかあまり頭になかったので、いざ卒業となった頃になって慌てましたが、もちろんちゃんと就職できず、某自治体史編纂の非常勤に入れてもらった次第です)。

 奨学金も返済時になると重くのしかかってくるわけで、その返済の重さが結婚の遅れや非婚につながり、少子化の一因にもなっていると言われていますから、奨学金を借りやすくするよりは、高等教育を無償化するとか、大学に行かなくても就職の選択肢が多い世の中にするとかの議論が、本来は必要なのではないかと思います。

2023/07/11

新県立図書館の基本設計が示されましたが、何故書庫が城郭のイメージなんでしょう?

 7月6日の静岡新聞に、「新県立中央図書館 書庫可視化、交流空間も 静岡県教委が設計案 9階建て、国内最大級80万冊閲覧」という記事が出ています(7月7日の中日新聞デジタル静岡版にも、「新県立図書館の基本設計 蔵書最大200万冊、書庫は「城郭」」というタイトルで、新県立図書館の基本設計の公表についての記事があります)。

 基本設計に関しては以前から出されていますが、今回「新県立中央図書館整備基本設計概要版」および「書庫」のイメージ図が出ていて、その不思議な外観と、中日にもあるように書庫が「城郭」をイメージしているという図を見て、「ナニコレ?」って感じです。

 延べ床面積は1万9,800方メートル。蔵書可能数は約200万冊、公立図書館では国内最大級の80万冊の公開書庫と、中身はちゃんしているのですが、そのイメージ図があまりにも違和感がありすぎです。

 「九階には県の地域資料を集めた閲覧室を設け」と、中日の記事にもあるように、ここは「静岡県歴史文化情報センター」が多少パワーアップして静岡県の歴史的資料を閲覧できる場所になるようです。

 「2027年度後半に開館予定」ということなので、あと丸4年先ってことですね。まだ少し先ですが、それまでにも少しずつ情報が出てくるでしょうから、注視していきたいと思います。

2023/07/10

『地球の歩き方』がおもしろくなっていますね。

 7月5日の朝日新聞デジタルに、「北九州市版「地球の歩き方」来年発売 ディープな町歩きのバイブルに」という記事が出ています。

 「地球の歩き方」といえば、海外旅行には必須のガイドブックですので、どうしても海外版のことばかり考えてしまいますが、国内版がおもしろくなっていますね。国内シリーズは、2020年秋から刊行されているとのことですが、来年2月に「北九州市版」が出版されることになったということです。
 「九州では初めて、「市」単位では全国初」ということですが、福岡や長崎とかなら市単独ってのもなんとなくわかる気がしますが、何故「北九州」?って感じもしますし、「北九州」ってだけで、なんかディープなイメージです。でも、それゆえにおもしろそうです。単純に読み物としておもしろいような気がしますので、出たら買います!

 「地球の歩き方」のホームページを見ると、県版もなかなかおもしろそうですね。東京オリンピックを前に「東京版」が出たというのはわかりますし、北海道、沖縄、京都も納得ですが、東京多摩地域とか埼玉、千葉ってのもなかなかです。県版も注目したいですが、やはり「北九州」市版の後、何市が出るか、それが楽しみです。

2023/07/09

静岡県が「公文書管理条例案」を、来年の県議会2月定例会に提出するそうです。

  7月6日の中日新聞デジタル静岡に、「静岡県、公文書管理で新条例案提出へ」という記事が出ています。

 静岡県は現在公文書の管理を、条例ではなく規則で行っています。もちろん規則でもきちんと管理できればよいのですが、庁内の都合でどうにでも変えられる規則よりも、議会で可決される条例による管理の方が、よりオープンであることから、他の都県でも「公文書管理条例」にするところが多くなっています。

 記事には、「2021年に熱海市で発生した大規模土石流を巡り、県が、県の行政対応を検証する第三者委の議事録などの公文書を残していなかった問題を受けて、管理方法の見直しに着手する」とありますが、同じ記事に「県は19年度から、有識者でつくる検討委で新条例制定に向けての議論を始めていた」とあるのは矛盾していますね。

 公文書の管理は、普段はほとんど注目されませんが、国での公文書をめぐる各問題の時もそうだったように、何かあった際には一気に注目され、問題視されるケースがほとんどです。静岡県も、たまたま熱海市の問題があったことで公文書が注目されたため、「それを機に見直しをする」ということにしているだけで、実際には庁内ではそれ以前から公文書の管理に関して問題を感じていたため、19年度から検討をしていたということです。

 それにしても時間がかかっていますね、情報公開条例の時には一気に行きましたが。静岡県の公文書管理規則は、情報公開条例をよりどころとしています。現在は各機関ごとバラバラの知事部局以外の公文書管理の規程も、知事部局と同じようなものですが、今度の条例案では「これまで知事部局や県教委など各機関で定めていた公文書の管理方法を統一」ということです。県の各機関の管理方法が統一されることは大変良いことですが、各機関とはどこまでは入っているんでしょうか?情報公開条例では、知事部局をはじめ、県教委、選管、人事委員会などの各委員会、県警、公立法人、三公社と、ほとんどすべての機関が対象になっています。情報公開条例と同じように、県のすべての機関が対象になっていることが理想的ですが…。

 また、「所属長判断だった保存期限が切れた文書の廃棄は、文書課への報告と有識者でつくる外部の審査会の意見を受けて判断する」とあります。公文書の廃棄に関して外部の審査会の判断を仰ぐって、県の公文書なんですから、本来は外部に頼るのではなく県にアーキビストをおいて、県の責任でやるべきなのです。外部に頼りっぱなしでは、日常的に公文書を扱う県職員の公文書に関する能力が向上しないですし、そういうところを自分たちの責任できちっとやらないと、何かの際に、県民から疑いの目を向けられるような事案が発生しかねないのにって思うと、今回もどこまで本気になってやるんだろうって思ってしまいますね。

2023/07/08

「グラスの厚さが変わると、飲み物の味が変わる」が、科学的に立証されました。

 6月29日の朝日新聞デジタルに、「厚いグラスで飲んだ緑茶は甘い?苦い? 舌だけではない味覚の複雑さ」という記事が出ています。

 昔からお酒を飲む際に、特にビールはグラスによって味わいが変わるという話はあったように思います。ビールは、泡が命ですので、その泡がうまく立ってビールの液体部分を蓋をしてくれることで、炭酸が抜けにくくなり、またその泡が唇にあたる具合によってまた風味が変わるみたいな話があり、特にビールにこだわりがある個人や飲食店ではグラスにこだわることがあるように思いますが、それは経験上の話でした。

 それが、今回中央大学の有賀敦紀教授と松下光司教授が、北海道大学大学院生の市村風花さん,東京大学の元木康介講師との共同研究において,飲料を飲むときのグラスの厚みが緑茶の味に影響を与えることを、科学的に証明し、”Food and Humanity”Volume 1, December 2023,Pages 180-187に、 ”The tactile thickness of the lip and weight of a glass can modulate sensory perception of tea beverage” として掲載されました(中央大学のプレスリリースはこちら。ジャーナルの論文を読まなくても、このプレスリリースで内容はほぼわかります)。

 実験は緑茶で行われ、厚いグラスで飲んだ緑茶は薄いグラスで飲んだ緑茶よりも甘く、薄いグラスで飲んだ緑茶は厚いグラスで飲んだ緑茶よりも苦く評価され」るという結果になったということです。また、「グラスの重さも重要な要因であることがわか」り、「厚みと重さが自然な組み合わせであったとき、緑茶の味覚評価はグラスの厚みの影響を受けることがわか」ったということです。このことから、「レストラン、カフェ、居酒屋などのサービス企業は、自らが望むような甘味や苦味の体験をしてもらうためには,適切な厚みのグラスを選択する必要性」があり、また環境への配慮を目的としたプラスチックストローの削減にふれて、「プラスチックストローと紙製ストローでは唇における触覚が異なるため、消費者は同じ飲料であってもこれまでとは異なる味覚を知覚している可能性」があることから、「環境配慮型のストローがもたらす味覚の変化を調べることの重要性を指摘しており、これに関する今後の研究が期待されます」と述べられています。

 新聞の記事によると、研究のきっかけは、居酒屋に飲みに行った時に「「ビールってグラスが薄い方がおいしく感じる気がしない?」という話で盛り上がった。」ということですから、居酒屋での経験値もまんざらではないわけですが、それをきちんと科学的に立証しようとするあたりが、やはり研究者は違いますね。

2023/07/07

日本語の生成AIを開発するってことが、とても大事なことです。

 7月4日に、国立研究開発法人情報通信研究機構から「日本語に特化した大規模言語モデル(生成AI)を試作~日本語のWebデータのみで学習した400億パラメータの生成系大規模言語モデルを開発~」との発表がありました。

 「ChatGTP」を始め、「生成AI」に開発は海外が先行していますが、日本語でも答えてくれるとは言え、日本人にしてみれば学習用データが英語に偏ったものよりは、やはり日本語に特化したものの方が圧倒的に良いはずです。明治の日本が欧米に追い付けたのも、外国語を日本語に訳して、日本語でいろいろなことを考えられるようになったからです(何と言っても「philosophy」を「哲学」と訳したくらいですから、当時の知識人の素晴らしさは半端ではありません。その点では最近は外国語をそのまま使っていて、場合によっては意味が十分分からない状況でも、なんとなくそれっぽく使用している例も見られますが、本当はそれではダメです)。そのような意味で言えば、「日本語に特化した大規模言語モデル」をつくるということは、今後諸外国と渡り合っていくためには重要なことだと思います。

 今後は、「学習用のテキストについて、日本語を中心として更に大規模化していきます。また、現在、GPT-3と同規模の1,790億パラメータのモデルの事前学習に取り組んでおり、適切な学習の設定等を探索していく予定です。さらに、より大規模な事前学習用データ、大規模な言語モデルの構築に際し、既に述べたポジティブ、ネガティブの両方の要素に関して改善を図るとともに、WISDOM X、MICSUS等既存のアプリケーションやシステムの高度化等に取り組む予定です。加えて、NICTでは、まだ誰も考えておらず、Web等にも書かれていない、具体的で「尖った」将来シナリオや仮説をテキストとして生成し、対話システムによるブレインストーミング等で活用するための研究を実施してきましたが、このような研究においても今回開発した日本語大規模言語モデル等を活用していく予定です」と、大変頼もしい内容までも計画されているようです。

2023/07/06

花粉症と果物アレルギーって、どういう関係なんだろう?

  7月3日の朝日新聞デジタルに、「食物アレルギーの子、なぜ増加? 目立つ果物類 花粉症との関連も」という記事が出ています。

 食物アレルギーがある児童生徒が、2013年の前回調査時から約12万人増えて約52万7千人になっているということなのですが、鶏卵が約13万6千人(25・8%)で最も多く、果物類が約13万1千人(25・0%)、甲殻類が約7万8千人(14・9%)、木の実類が約6万5千人(12・4%)ということで木の実類や果物類のアレルギーが増えているというのは、何が原因なんでしょうか?

 記事にも出ているように、これだけ食物アレルギーの子どもが多いと、学校給食が大変ですね。花粉症と食物アレルギーの関連が証明されている果物として、リンゴ、モモ、キウイ、スイカなどがあるそうですが、リンゴなんて一番給食に出しやすいだろうと思うのですが…。サラダやドレッシングにナッツがまぶされていること自体がしゃれていますが、それがダメっていうのも、寂しいですね。

 花粉症と果物アレルギーとの関係って、どういう点で関連するんでしょうか?花粉症が果物アレルギーを引き起こす要因となるのならば、国策としての植林事業がある意味失敗だったということですよね。

 鶏卵が食べられないと、いろいろな加工品もダメということになるので、食べられるものが少なくなってしまいますし、牛乳や乳製品もそうですよね。

 果物や木の実などは、栄養の面でも大事なのに。これってどうにかならないんでしょうか?

2023/07/05

夏休みの各種作文コンクールで、子どもが「生成AI」を使ったら、じっくり読んでも分からないだろうなぁ。

 7月1日の朝日新聞デジタルに、「小中高生のコンクールで相次ぐ「生成AI禁止」 使用どうチェック」という記事が出ています。

 夏休みに小中高生が取り組む作文などの各種コンクールの要項などが学校現場にたくさん届いていると思いますが、そのなかで生成AIの使用を禁止する動きが相次いでいるということを紹介しています。

 実際自分でもChatGPTを使って見ましたが、書かせる内容にもよりますが、「変だ!」と感じる文章ができあがってくることは、ほとんどありません。多少、「あれ?」と思うものもありますが、実際に生徒に書かせてもおかしな文章はよくあるので、むしろそれよりも出来が良かったりします。そこから言えば、確かにコンクールで「生成AI」を使われても、分からないだろうと思います(生徒によっては、普段のその子の文章よりもよく書けていて、「アヤシイ」と思う場合はあるかもしれませんが、疑わしいと思うか、今回はがんばったんだなぁと思うかの判断は難しいですね)。

 「自分で考えて書いてもらうのが趣旨」だからと言って、「禁止」というルールにしておいても使われてしまう可能性もありますし、あくまでも子どもたちの良心を信じるしかないわけで、それを疑うのならば、「生成AI使用禁止」をうたうより、方向性がはっきりするまでの間、コンクール自体をやめた方が良いのではないかと思います。そもそも今までも誰かが手伝うということもあったわけで、それが過去に受賞作品になっていなかったのかどうかは分からないわけですから(親が手伝った作品が、都道府県レベルで賞をとってしまったという事例が、親戚の中にはいるのですが…)、コンクールを開催する以上、リスクは避けられないですよね。昨日の文科省のガイドラインでは、対応できないですね。

2023/07/04

「暫定的なガイドライン」って、これでは現場はどうすれば良いのか分からない…。

  今日7月4日、文科省から「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が公表されました。

 「暫定的なガイドライン」って、タイトルからしてなんだかなぁって感じですね。まぁ、夏休み前に出そうということで、あまり十分に時間がとれなかったというのはわかりますが、学校現場としては、どうすれば良いのか、よくわからない内容です。結局は各学校での判断ということなのでしょうね。

 「「生成AIを近い将来使いこなすための力を意識的に育てる姿勢は重要」とし、生成AIにすべてを委ねるのではなく、自分の判断や考えが重要であることを子どもたちに理解させることが必要だ」と強調していますが、だいだいは楽なほうに流れますよね。

 7月4日づけの朝日新聞デジタルに、「授業に生成AI、手探りの学校現場 「使ったことない」戸惑う教員も」という記事が出ていて、「チャットGPTの仕組みや適切な使い方などを教えたうえで実践に移り、出た回答をそのまま成果物としないことや、回答に誤りがないか確認して自分の言葉でまとめる重要性についても指導」している授業をやられている先生が紹介されていますが、教員がそう言っても、現実はどうでしょうか。教員が言うとおりにやる生徒もいるでしょうけど、もちろんそうじゃない生徒もいてます。このような指導内容ですと、いわゆるできる生徒は教員の指導に従うでしょうが、やや学力の低い生徒は(こういう子たちこそ、本当はちゃんとやってもらいたいにもかかわらず)、出た回答をそのまま成果物とし、回答に誤りがないか確認しない可能性が高いでしょうね。

 今度、ガイドラインはブラッシュアップされていく予定ですが、「生成AI」の使い方で、学力に差が出てくるようになる気がします。つまり、「出た回答をそのまま成果物とせず、回答に誤りがないか確認して自分の言葉でまとめる」ことができる生徒は学力が高い生徒で、それができない、またはやらない生徒は学力が低いというふうになるんじゃないかなぁ。

2023/07/03

窖窯から平窯へと窯の構造が移り変わる時期がわかる、おもしろい事例ですね。瓦生産者の苦労が想像されます。

 6月29日の朝日新聞デジタルに、「宮殿の瓦、試行錯誤しながら生産? 奈良・藤原宮跡そばで新たな窯跡」という記事が出ています。

 藤原宮跡で使われた瓦の窯跡が、宮のすぐ南にある日高山瓦窯で新たに窖窯2基と、平窯とみられる1基の計3基が見つかったということです。

 窖窯は、藤原宮の造営以前からあった瓦を焼く焼成部の空間が傾斜している古いタイプであるのに対して、平窯は空間が平らで熱効率が高く、れんがを使って築かれています。

 藤原宮は、当時寺院でしか使っていなかった瓦を、初めて宮殿で使用したことで知られる。ただ、約200万枚とも言われる量の瓦が短期間に必要だったことから、奈良盆地の内外に瓦窯がつくられました。日高山瓦窯もその一つで、都の造営が始まった初期の680年代ごろ、宮の南門からわずか300メートルほどの丘陵で操業し、宮を囲む大垣などの瓦を中心に生産し、短期間で役目を終えたとみられている窯跡です。

 短期間で大量の瓦を生産しなければならないなかで、旧型の窖窯と最新式の平窯を複数つくって、試行錯誤しながら生産していたであろうことが想像され、とてもおもしろい成果です。7月1日に現地説明会の予定でしたが、雨、平気だったのでしょうか。

2023/07/02

浜松市が、徳川記念財団の所蔵品を展示する施設を作る⁉

 6月27日の各紙の県内版に、浜松市の大河ドラマ館跡地に徳川記念財団の所蔵品を展示する施設を計画するとの報道が出ています。

 「どうする家康」がかなり盛り上がっていますので、その延長線上で今回の話題になったのではないかと勝手に想像しますが、浜松市には既に浜松市博物館がありますし、12市町村が合併しているので浜松市博物館分館として他にも多くの資料館があるのですが、さらに新しくつくろうということです。

 文化財を重視しているのは大変ありがたいことですが、徳川記念財団の所蔵品って、かなり重要なものもあるので、大河ドラマ館をリニューアルした程度ではダメですから、かなりちゃんとした展示施設をつくる必要があります。そうなると、また新しい箱物…ということになるので、批判する向きもあるでしょう。また、博物館での所蔵品の紛失問題があっただけに、これでまた新しいものをつくって大丈夫か?って思ってしまいます。箱物をつくるなら、それをきちんと管理するために人も増やす必要があると思うのですが、そこまでのことを考えるとかなり???ですね。

 また、せっかく重要な文化財を保存展示する箱物をつくるのならば、今のご時世、公文書の保存も考えてほしいですね。浜松市は中央図書館の郷土資料室がかなり充実していましたので(図書館リニューアル後は、「調査支援室」という名称になりましたが)、これをベースに公文書館類似施設くらいにはなれるのではないかと思うのですが。

2023/07/01

2040年以降の社会を見据えた「教育振興基本計画」は、「人への投資」がポイントでは?

  6月16日に、新たな「教育振興基本計画」が閣議決定されました。

 「教育振興基本計画(本文)」を読むと、いろいろと書かれていますが、少子化・人口減少が著しく、将来にわたって財政や社会保障などの社会制度を持続可能なものとし、現在の経済水準を維持しつつ、活力あふれる社会を実現していくためには、とにかくに不可欠なのは「人」の力であり、「人への投資」が最も重要なポイントなのではないでしょうか。

 今まで、特に戦後の日本は、ベビーブームによる段階の世代の数の多さが、高度成長と相まって、うまく発展できたので、はっきり言って「人への投資」は不十分であったと思います。しかし、明らかな人口減少ななかで、未来を担う若者に十分な投資をしなければ、彼らが社会の担い手になった時、次を生み出す力が不足しているようでは、我が国は衰退する一方です。例え小さくても自立してやっている国は、北欧のように存在しますが、それを見ると「人への投資」がしっかり行われていることが大きいのではないかと思われます。

 「将来を展望したとき、教育こそが社会をけん引する駆動力の中核を担う営みであり、一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展に向けて極めて重要な役割を有している」と考えるならば、「教育への投資」をもって、「人への投資」が行われる必要があります。

 「公教育の再生」は重要であり、我が国がここまで来れたのも教育の力が大きいと考えられますが、ここで「公教育の再生」させる際には今までの学校教育は忘れることが肝心です。すでに「主体的・対話的で深い学び」の視点から、「探究学習」を中心とした新しい教育が取り組まれ始めています。「探究学習」の狙いはこれからの社会にとって必要な、大変意味のある学習なのですが、今までの教育をやりつつ、「探究」に取り組むことは、教員にとっても、児童・生徒にとっても負担が大きいため、現在においてはすべての教員がそれを実践できるわけではなく、そのためすべての児童・生徒がそれを享受できるわけではないので、今までの教育を捨てて、アメリカのような、「探究学習」を中心とした学校教育を作りだすための改革を進めていく必要があろうと思います。

 「教育振興基本計画」をよく読むと、ところどころにそのような方向へ向かいたいと読める部分があるのですが、八方美人的な文章が多く、やや散らばっている感は否めませんが、教育の成果はすぐに出るものではないため、もっと明確に方向性を打ち出したものが必要でしょう。もっと的を絞った実施計画案を作っていく必要があるだろうと思います。