6月29日の朝日新聞デジタルに、「厚いグラスで飲んだ緑茶は甘い?苦い? 舌だけではない味覚の複雑さ」という記事が出ています。
昔からお酒を飲む際に、特にビールはグラスによって味わいが変わるという話はあったように思います。ビールは、泡が命ですので、その泡がうまく立ってビールの液体部分を蓋をしてくれることで、炭酸が抜けにくくなり、またその泡が唇にあたる具合によってまた風味が変わるみたいな話があり、特にビールにこだわりがある個人や飲食店ではグラスにこだわることがあるように思いますが、それは経験上の話でした。
それが、今回中央大学の有賀敦紀教授と松下光司教授が、北海道大学大学院生の市村風花さん,東京大学の元木康介講師との共同研究において,飲料を飲むときのグラスの厚みが緑茶の味に影響を与えることを、科学的に証明し、”Food and Humanity”Volume 1, December 2023,Pages 180-187に、 ”The tactile thickness of the lip and weight of a glass can modulate sensory perception of tea beverage” として掲載されました(中央大学のプレスリリースはこちら。ジャーナルの論文を読まなくても、このプレスリリースで内容はほぼわかります)。
実験は緑茶で行われ、厚いグラスで飲んだ緑茶は薄いグラスで飲んだ緑茶よりも甘く、薄いグラスで飲んだ緑茶は厚いグラスで飲んだ緑茶よりも苦く評価され」るという結果になったということです。また、「グラスの重さも重要な要因であることがわか」り、「厚みと重さが自然な組み合わせであったとき、緑茶の味覚評価はグラスの厚みの影響を受けることがわか」ったということです。このことから、「レストラン、カフェ、居酒屋などのサービス企業は、自らが望むような甘味や苦味の体験をしてもらうためには,適切な厚みのグラスを選択する必要性」があり、また環境への配慮を目的としたプラスチックストローの削減にふれて、「プラスチックストローと紙製ストローでは唇における触覚が異なるため、消費者は同じ飲料であってもこれまでとは異なる味覚を知覚している可能性」があることから、「環境配慮型のストローがもたらす味覚の変化を調べることの重要性を指摘しており、これに関する今後の研究が期待されます」と述べられています。
新聞の記事によると、研究のきっかけは、居酒屋に飲みに行った時に「「ビールってグラスが薄い方がおいしく感じる気がしない?」という話で盛り上がった。」ということですから、居酒屋での経験値もまんざらではないわけですが、それをきちんと科学的に立証しようとするあたりが、やはり研究者は違いますね。
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