続・人間老いやすく、学成りがたし: 8月 2023

2023/08/31

国立科学博物館の関東大震災100年企画展「震災からのあゆみ―未来へつなげる科学技術―」、オンラインコンテンツだけでも十分良いです。

  9月1日から11月26日までの期間、国立科学博物館で、関東大震災100年企画展「震災からのあゆみ―未来へつなげる科学技術―」が開催されます。

 ホームページでの情報によると、第1会場では第1章「1923年 関東地震とその被害 -関東大震災-」、第2章「関東大震災からの復興-災害に強いまちづくり-」、第3章「100年間の地震・防災研究 -災害に負けない国へ-」、第2会場では「震災に備える」、特設会場「災害を展示する -伝え方の歴史-」などの展示が行われます。

 また第1会場では、国立科学博物館が収蔵する震災当時の写真10点の、カラー化前とカラー化後の写真が展示されます。

 さらに、オンラインコンテンツとして、「デジタルツインでたどる関東大震災直後の航空写真(β)」と、「企業資料から読み解く関東大震災 経済を支えていた企業はそのとき」が用意されています(もう一つは準備中)。航空写真も良いですが、「企業資料から読み解く関東大震災 経済を支えていた企業はそのとき」では、火災が広がっていく様子がわかる資料や帝国データバンク史料館『震災手記』が読めたりしますので、展示会場に直接行けなくても、個人的にはこれらだけでもかなり十分な感じがします(「在京罹災埼玉県人救護団バラックを訪れた渋沢栄一」1923年11月17日のカラー化された写真だけでも、かなりおもしろいです)。

2023/08/30

「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」、確かにあまり期待したものではないですね。

 8月28日、中央教育審議会「質の高い教師の確保特別部会」が、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」を出しました。

 これを受けて「給特法のこれからを考える有志の会」が、記者会見を開き、「「期待していたものではない」などと批判した」とのニュースが、28日の朝日新聞デジタルに出ています。

 具体的に「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」を見てみると、確かにいまさら感が否めない感じで、期待していたようなものはない感じですね。記事にあるように、「3分類」は以前から出ていたのに進んでいないやつですし、何でそれが進んでいないのかもはっきりさせないで、改めてこれを入れるということが、そもそもダメですね。

 ただ、「法改正がいらず、すぐ取り組める項目に絞って提言に盛り込んだ。」とされているので、すぐに取り組んで、変えてください!

2023/08/29

音楽演奏の評価は、耳で聴く音よりも「視覚」が優劣に影響する⁉

 8月26日の朝日新聞デジタルに、「吹コンの評価を決するのは音ではない? 検証:世界を揺るがした研究」という記事が出ています。

 ネタのもとになっているのは、結論として「音楽演奏の評価には、耳で聴く音よりも「視覚」が優劣に影響するとする」とした「Sight over sound in the judgment of music performance」という論文で、この現象は「サイト・オーバー・サウンド効果」と名付けられています。

 演奏の評価にあたっては「音が重要」とするのがもちろんなんですが、過去の音楽コンクールのファイナリスト3人の演奏について、音のみのデータと映像のみのデータで優勝が誰かを判定してもらうと、プロでも映像のみの方が正解率が高く、音と映像でも映像のみの方が良かったという結果が出たという実験結果です。つまり、映像のみが一番結果が良かったということです。

 社会的判断は、視覚情報と聴覚情報の両方に基づいて行われ、聴覚情報が意識的に評価されている場合でも、視覚情報が優位にあるということで、これは正直納得のいく結論ですね。現在はすっかり映像が多い時代ですが、音楽を聴く際にも、ただ音を聞くだけよりも映像付きの方が楽しいですよね。歌手や演奏家のパフォーマスだけではなく、歌っている時の表情だったり、演奏している時の動きだったりが「カッコイイ」ってことはよくあります。

 朝日の記事は吹奏楽の話ですが、この論文を受けて来年あたりから吹奏楽コンクールでのパフォーマンスが変わってくるところが出てくるのでしょうか?あるいは、この論文をもとに研究することで今までとは違ったところが上位に上ってくるという動きはあるのか気になりますね。 

2023/08/28

関東大震災による旧伊東町(現伊東市)の津波被害の映像が収められたフィルムの発見は、大変重要です。

  8月26日の朝日新聞デジタルに、「関東大震災の津波被害とみられる映像フィルム発見 「貴重な資料」」という記事が出ています(他にも関連する記事として、「津波を耐えた松の木は現存 見つかった映像フィルム、生かす道は」、「「万死を冒して」撮った被災地 涙のむ観衆、上映で義援金集めも」があり、どれにも「関東大震災直後の様子を記録したとみられるフィルムが発見された」と題されたフィルムに収められた映像資料の一部が入っている動画がついています)。

 関東大震災の時に、旧伊東町、現在の伊東市で津波被害があったことは記録に残っていますが、それの映像資料があったとは。これは大変貴重で重要な発見です。

 フィルムには倒壊した家屋や、大川橋の上に乗り上げた船、がれきを片付ける人々、津波を受けた「十本松」(そのうちの1本はまだ現存している!)と呼ばれる木も記録されていています(これらのことは、上記の「関東大震災直後の様子を記録したとみられるフィルムが発見された」の動画で見れます)。

 関東大震災というと、どうしても東京や神奈川の火災による被害の話が多いわけですが、東日本大震災を見てもわかるように津波被害というのは非常に大きいわけです。今回その映像資料が見れるようになったということで、研究が一段と進むことが期待されます。

2023/08/27

「日本史用語翻訳グロッサリー・データベース」、勉強に使えます。

  東京大学史料編纂所が、「日本史用語翻訳グロッサリー・データベース」を公開しています。

 「日本史用語翻訳グロッサリー・データベース」とは、外国語で日本史研究を行う際の補助ツールとして、前近代日本史に関する史料用語・研究概念などの外国語訳・説明を集成し、検索可能にしたものです。2023年7月現在、英語約18,000件、フランス語約1,800件、ドイツ語約6,300件が登録されています。

 単純に、日本史用語がどういう訳語になるのかということを調べることができるだけでもおもしろいですが、既存の外国語訳・説明を集成しているため、訳語がいくつかあるので、それらの訳語を読み比べることで、用語の本質的な意味を考えたりすることもできます。これが意外と勉強になります。

 今後もこのデータベースは充実されていくとのことなので、使っていくことで、いろいろな勉強ができますね。

2023/08/26

宇都宮でLRTが開業しましたね。路面電車好きとしては、いつ乗りに行こうか、休みの予定を考えるのに必死です!

  今日8月26日に、第三セクター「宇都宮ライトレール」が運行するJR宇都宮駅東口から芳賀町までの14・6キロを結ぶLRTが開業しました。これに合わせて「LIGHTLINE START!!! 芳賀・宇都宮LRT開業記念サイト」が開設されています。 

 国内で路面電車が新たに開業するのは75年ぶりで、軌道を新設したLRTは全国で初めてです。「次世代を考えた事業」というのが良いですよね。

 車両は(ライトラインって言うみたいですね)今時のものらしく、非常に大きな窓で、低床になっていて、誰にでも優しいものになっているわけですね。色も黒が基調で正面が黄色で曲線なので、なんとなくミツバチみたいな、可愛らしい印象を受けます(感じ方には個人差がありますが…。上記「開業記念サイト」の一番下にライトラインが動いているやつは、より虫っぽい感じでかわいいです)。

 この先しばらくは開業記念のキャンペーンというか、イベントが企画されているようなので、どこかのタイミングで乗りに行けないか、カレンダーを見ながら検討中です。

2023/08/25

「バーチャル名鉄名古屋ステーション」、8月25日から9月3日までの期間限定!ただ、アプリ配信の遅れで公開が遅れていますが…。

  「バーチャル名鉄名古屋ステーション」で、名鉄名古屋駅がメタバース空間上に再現されます。メタバースを使った事業可能性を検証するのが目的だそうですが、鉄道ファンにとっては、そのような崇高な目的はともかく、自宅のパソコンで名鉄名古屋駅が再現されるってだけで、興奮ものです😍

 コンテンツは、「DJブース案内体験」、「"迷駅"ストーリーコレクト」、「名鉄ライブラリ」があります。

 「DJブース案内体験」は、通常は駅係員しか入ることができない運転室(通称:DJブース)に入室し、列車の運行に関するアナウンスをする体験です。あの名鉄名古屋駅の案内アナウンスに挑戦できますよ。

 「"迷駅"ストーリーコレクト」は、行先·種別ごとに乗車位置が異なることから、"迷駅 "と呼ばれることもある名鉄名古屋駅を再現した空間内を探索し、名鉄の駅や電車にまつわる小話(ストーリー)を集める体験です。

 「名鉄ライブラリ」は、バーチャル名鉄名古屋ステーション内にある、名鉄電車や駅に関する写真を展示する空間です。

 これらが無料で体験できます。ただ、現在パソコンへインストールするアプリ配信の遅れで公開が遅れています。公開の情報は、バーチャル名鉄名古屋ステーション(公式アカウント)とホームページで知らされるそうなので、興味のある方はチェックしておいてください。

2023/08/24

言葉って生き物だって、実感させられる話です。「国語辞典から消えた言葉」

 8月20日の朝日新聞デジタルに、「祖父が出した国語辞典から消えた言葉 辞書マニアの孫が読み解いた」という記事が出ています。

 「三省堂国語辞典(三国)」の前身である「明解国語辞典(明国)」が生まれたのが1943年で、その明国の改訂版(52年)から、三国8版(2022年)までに「消えた」言葉から厳選した「三省堂国語辞典から消えたことば辞典」を三省堂編修所との共編著した校閲者、見坊行徳さんのインタビュー記事です。

 「戦後になって、戦争関係の言葉がかなり削られて」、「明国改訂版が出たのが52年で、さらに三国初版の出版が60年。この2版で徹底的に削られている」ということです。

 例として出ている「「ア式蹴球(しゅうきゅう)」「BG」「赤電話」「翔(と)んでる」「MD」」のうち、アソシエーション‐フットボール、つまりサッカーを指す言葉である「ア式蹴球」はわかりませんでしたが、「BG」はたぶんビジネス用語としての「OL」の前に使われていた女性会社員のことを表現する「ビジネス・ガール」かなぁという感じですが、「赤電話」「翔んでる」「MD」は、わかっちゃうなぁ😅

 でも、言葉が生き物だってことがよくわかる話です。非常におもしろいですよね。今、若者言葉として使用されている、既に私には意味がわからない言葉の多くも、辞書にすら載らないで消える言葉も多いのでしょうね。

2023/08/23

「本土決戦」に向けた防空力増強のため、飛行場の建設が急きょ決まったことによる強制的に立ち退きと言えば、静岡県では現在の静浜基地ですが、埼玉県は水上公園なんですね。

  8月18日の朝日新聞デジタルに、「終戦間際に完成した飛行場 動員された住民らの苦労の跡、今は道路に」という記事が出ています。

 埼玉県南埼玉郡新和村・荻島村、現在のさいたま市岩槻区と越谷市に存在していた、昭和19年7月に建設を開始し、昭和20年に竣工するも、ほぼ機能することなく終戦となった通称「越谷陸軍飛行場」、地元では「新和飛行場」(越谷陸軍飛行場から約6.5キロ北の、東岩槻駅近くの稲荷神社に現存する、昭和22年農地開拓事業完成の記念碑建立のために滑走路のコンクリートを再利用して作られた「興農事業完成記念碑」には、「新和飛行場」と刻まれている。)と呼ばれているようです。付近の農家13軒が強制的に立ち退かされ、44年7月に工事が始まり、住民は工事を手伝うよう求められたということです。

 昭和19年と言えば、静岡県では昭和19年1月に建設が開始された「海軍航空隊藤枝基地」ですね。名称は藤枝基地ですが、実際は志太郡静浜村に建設され、この地域の農家も強制的に立ち退きを求められ、反対運動が展開されましたが、結局は同年12月から、彗星、零戦を保有した第131航空隊「芙蓉部隊」の母基地として使用されます。そのせいもあり、戦後は「航空自衛隊静浜基地」として第11飛行教育団等が配置され、航空機のパイロット候補生を対象に、初等練習機による訓練を行っています。航空ファンには「静浜基地航空祭」で名前が」知られているかもしれませんね。

 「越谷陸軍飛行場」は飛行場として機能しないまま終戦となったため、昭和54年(1979)開園した「しらこばと水上公園」(「しらこばと」は埼玉県のシンボルであり、県民の鳥としても親しまれていて、近年では埼玉県のマスコットキャラクター・コバトンとしても人気があります。)となったわけですね。でも、記事にある飛行場跡周辺の1947年と2013年の空撮写真を見ると、飛行場の跡がはっきりわかりますが、今や旧陸軍飛行場だったことは、知る人ぞ知るってところなんでしょうね。80年近く経てばそれも止むを得ませんが、この記事のように何らかの形で、この事実が埋もれないようにすることは大切なことです。

2023/08/22

国内で唯一現存する「ドイツ蓋」、博物館あたりでしっかり保存してください。

 8月15日の「あなたの静岡新聞」に、「マンホール「ドイツ蓋」撤去 浜松市保管へ 国内で唯一現存」という記事が出ています。

 大正から昭和初期ごろに設置されたとみられる浜松市中区に設置されていた「ドイツ蓋」(ドイツ製のマンホールの蓋)が、周辺の道路工事に伴い撤去されたことを紹介する記事なのですが、「国内唯一」の現存するドイツ製のマンホールの蓋が浜松にあるなんて知りませんでした。ということで、何か情報はないかと検索したら、こんなブログがありました(このブログのコメント欄に、「ドイツ蓋」の詳細な考察があります)。

 記事に「市内には少なくとも3カ所に類似のマンホールが設置されていたが、残り二つについては2010年半ばまでに既に撤去されていた。」とありますが、上記のブログの考察と合わせて見るとつじつまが合いますね。

 「当面は下水道工事課で保管する」とありますが、「国内唯一」のものなのですから、来歴等をしっかり調べて、博物館あたりできちんと保管、展示するべきでしょう。

2023/08/21

「佐紀古墳群航空レーザ測量調査速報成果資料集」が、「全国遺跡報告総覧」にアップされています。

 昨日8月20日に速報が出ていた「佐紀古墳群の航空レーザー測量」ですが、今日21日に「全国遺跡報告総覧」に「佐紀古墳群航空レーザ測量調査速報成果資料集」として、アップされています。

 この測量調査自体は、かなり良い資料を提供してくれていますが、このような調査を個人レベルで、おまけに費用をクラウドファンディングで調達して行うって、良いことなのか判断に悩みますね(宮内庁管理下の古墳が対象って意味で)。

 まぁ、今まで行政が主体で行っていたようなことを、クラウドファンディングで広く資金を調達して行うという方向でやっていけば、どこからも文句が出ないので(文句が出るのは大概お金の話で、特定の何かに公金を使うのがどうこういう話が多いので。今回の調査は宮内庁から許可をとってやっているんでしょうし。)、うまく資金が調達できれば、他の調査にも応用できますね。

 博物館の例を考えても、クラウドファンディングという方法で資金を調達して何かをやるという方法は、時代にマッチしているんでしょうね。今後、この資金調達方法が主流になっていくのかなぁ。

2023/08/20

静岡県の新県立中央図書館で、システム構築に関して情報提供依頼(RFI)を実施しています。

 「新静岡県立中央図書館のシステム構築に関する情報提供(RFI)について」という情報が、8月14日に、県教委のホームページで公開されています。

 新県立中央図書館の整備に併せ、図書館システムを新たに構築するため、2022年9月に「新県立中央図書館システム基本構想」を策定して検討を進めているとし、同構想に基づく開発検討をさらに進めるにあたって、事業者等から幅広に参考情報を収集するために、情報提供を依頼しています。

 「情報提供を希望する項目及び内容」、「システム・機能別記載のポイント」は、リンク先にある通りです。

 提出期限は9月15日までですが、やっとRFIまで来ましたね。来年度の今くらいには入札という話になる予定ですので、計画の部分では最後になりますので、必要な情報をしっかりと収集して、良いものにしていって欲しいですね。県立図書館ですから、いろいろ期待されています(自分もその一人です)。完成した暁には、おそらくいろいろな要望が出てくるでしょうから、現状で可能な限り、いろいろな情報を集めた方が良いですね。

2023/08/19

子どもの「体験格差」、大人になっても「体験格差」により、違いがあると思います。

 8月9日の朝日新聞デジタルに、「子どもの「体験格差」、将来にも影響? 専門家、大切なのは「質」」という記事が出ています。

 「音楽やスポーツ、美術鑑賞などの体験活動に参加していない子どもの保護者もまた、幼少期にそうした経験が少なかった」という、世代間で「体験格差」が連鎖していることがわかったとうことですが、自分がやったことが無ければ、その体験がどのような事かもわかりませんし、良いのかそうでもないのかすら十分に判断できない可能性がありますし、そのそも親自身がそのような体験に興味・関心が無い可能性があるので、子どもにも進めるという発想も無いかもしれません。

 親の学歴や経済状況によっても「体験格差」があるというのは、「教育格差」と同じですね。

 記事にあるように、もちろん「質」は大事ですが、そもそもなんでも体験することは、しない場合と比べれば、その大変さ、難しさ、嬉しさ、喜びなど体験したがゆえの感情を理解することできたり、自分の能力にも気づくことができます。

 また、子ども時代の体験格差が、その後の人生にも影響する可能性があります。体験を通した成功や失敗の経験が少なければ、大人になっても何かにチャレンジすることにためらいがあったり、それ以前に何かにチャレンジするということ自体をしなかったりするような気がします。体験しないよりはする方が良いですし、同じ体験ならできれば「質」の良い体験を、ということでしょうか。

2023/08/18

死の危険と隣り合わせでの部活動って、何故やるの?

  8月11日の朝日新聞社説は、「猛暑と部活動 子の安全を守るために」というタイトルです。

 ここ例年の暑さは、昔の暑さとは明らかに違います。非常に危険な暑さです。「熱中症警戒アラート」が頻発するような暑さのなかで、運動をするなんて非常に危険だと誰もが想像できるのに、何故やるんでしょうか?そうまでして部活動をやる理由って何なのでしょうか。「関係者は熱中症の知識を十分身につけ、子どもの安全を第一にした対応をとってほしい。」などと悠長なことを言っているこの社説って、何を考えているのかと思います。

 同じ運動をしている子どもたちでも、家に帰ってからの状況は違うので、前日夜更かしした子どももいるかもしれませんし、エアコンで体調が悪くなっている子どももいるかもしれません。それでも、この暑さでなければ、多少気分が悪いとかで済むかもしれませんが、子どもの安全を守ることを優先するのならば、少なくとも日中に運動はしないとすべきです。

 「大会で良い成績を残して入試でアピールしたい」と言っても、それが将来どの程度のメリットがあるのでしょうか。自分自身は、特に運動が苦手だったわけではありませんでしたが、運動よりも文化的・学問的な方がおもしろくて、運動は体育の授業程度しかやってこなかったですが、それで何かデメリットがあったかどうかはわかりません。あったかもしれませんが、運動しなかったことを後悔するほどでもないので、気が付かないのでしょう。

 別に運動したい人を否定するわけではありません。それに打ち込もうと思う人はそれで良いと思いますが、しかし命の危険があるようななかで練習する必要はないでしょう。そのような練習をしなければ勝てないというのならば、そもそもそれほど上手くないのでしょうから、ある程度見極めが必要です。大人のエゴで、子どもを危険にされるようなことはもってのほかです。

2023/08/17

国立博物館は、その国のアイデンティティじゃないの?

 8月12日の朝日新聞社説は、「博物館の苦境 国は当事者意識を持て」というタイトルで、国立科学博物館が、標本や資料を収集・保管する費用にあてるため、クラウドファンディングで寄付を募り、わずか9時間で目標の1億円に達したことを受けての社説です。

 博物館は、「過去を起点に現在や未来の社会のありようを考える」ための資料を集め、次世代へ引き継ぐ非常に重要な役割を持っているわけで、つまりその国が何たるかを語る材料がそろっている施設ということであるのですが、そのような施設が資金不足ってどういうこと?って感じです。

 わずか9時間で目標の1億円に達し、8月11日までに約6億円が集まっているという事実は、まだ一般国民は捨てたものではないということがわかり、ほっとした感がありましたが、逆に国は何をしているのか?という怒りがこみ上げてきます。

 「日本を代表する博物館が光熱費を工面できず、寄付に頼らざるをえないという帰結を政府はいったいどう考えているのか。」、「6割の館で資料購入にあてる費用が全くないとの調査結果もある。収蔵庫が不足し施設は老朽化が進む。学芸員には専門性が求められるのに、非正規雇用も多い。」、「政府は博物館に観光の中心になれと旗を振るが、最低限の活動もままならないのに、なぜそれが可能なのか。」など、社説にもいろいろ書かれていますが、「国が果たすべき役割について真剣に考えてもらいたい。」というのは、まさにその通りです。

 ただ、ある意味このようなものですら、もはや行政に頼る時代ではないのかもしれません。行政に頼らなければ維持できないとなれば、この先も常に存続が危ぶまれる状況が続く可能性があるわけですから、今回クラウドファンディングという新しい資金の調達方法が見いだせて良かったのかもしれません。

2023/08/16

歴史的な資料として、地域の住民が必要だと考えるものは、住民の手で残す努力をしなければ残せません。

 今日8月16日のあなたの静岡新聞に、「老朽化 消えゆく「戦争遺跡」 静岡・歩兵第34連隊 最後の施設解体」という記事が出ています(Yahooニュースに載っています)。

 今年6月に解体された歩兵第34連隊の「陸軍静岡練兵場訓練講堂」についての記事で、これに関してこのブログでもコメントしましたが、この訓練講堂は、建物の内部に催涙ガスをたき、連隊の兵士が防毒マスク装着を訓練したとの証言が残る、戦時中に兵器として使われた毒ガスに対応する訓練用の施設で、民間の個人所有者が払い下げを受け、近年まで倉庫や住宅として使用していたのですが、建物の老朽化などから所有者が昨年、取り壊しを決めました。しかし、所有者は静岡市に保存の観点から相談をしたのですが、「指定文化財にする基準に達していない」(市文化財課)として、解体前の図面の作成、記録にとどめたとのことです。

 「指定文化財にする基準に達していない」という判断は、そもそもその基準が明確になっていないので何とも言えませんが、本当に残そうと思うならば、基準などどうにでもなるわけですから、保存の対応を取らない言い訳に過ぎません。記事にもあるように、これまでも歩兵第34連隊関連施設の保存が問題になったことがありますが、結局ほとんど残っていません。

 県近代史研究会員の方の「「地域から戦争を見つめるためには実物を残す意義は大きい。市民から資料を受け入れる態勢を作ったり、記録保存をしたりすることが重要で、行政の力が必要になる」という指摘はもっともですが、静岡市の対応やその他の事例を考えると、保存にあたり行政に頼るのは、もはや時代遅れなのではないかと思います。そもそも、よほどのことでない限り行政がお金を出すことは考えられないわけですし、それで無くなってしまって地域の歴史を語るのに困るならば、地域の住民が自分たちの問題として保存に取り組むことが必要なのではないかと思わざるを得ません。ひと昔前だと大事でしたが、いまならばNPOを立ち上げてクラウドファンディングで資金を集めることも可能です。

 よくよく考えると、現在残っている前近代の歴史資料は、特に文字資料は自説の根拠となってくれる説明資料の文書であり、それは必要だったから関係者が保存をしてきたわけです。確かに建物の現物保存は非常に大変ですが、自分たちの歴史を語るうえで大切なものならば、自分たちの手で残す努力をしなければ、何も残すことはできません。行政に頼る文化財の保存はもう終わりにして、活用しながら残す道を探っていく時代なのではないでしょうか。

2023/08/15

戦後の日本の自由は、本当の自由なのか?

 今日8月15日の朝日新聞社説は、「戦後78年 日本と世界 自由を「つかみかえす」とき」というタイトルです。

 「占領下に置かれた日本は社会の自由を取り戻した。」とありますが、これは、本当なのでしょうか?

「『君たちはどう生きるか』の著者、吉野源三郎が当時の実感を回想している。
 「日本人自身が自分の手でこの改革をなしとげたというよりは外からの打撃によって旧(ふる)い勢力が打ち倒されたおかげが大きかったので、そう手放しに喜ぶことはできませんでした」(『職業としての編集者』)」

と、社説にありますが、外からの打撃によって旧い勢力が打倒されて、外からの勢力がそれに入れ替わり、その国のやり方に変わっただけなのではないでしょうか。我々は、日本として本当に自由を手にいれたのでしょうか。

 もし、日本として本当に自由を手に入れたのならば、「米軍統治下におかれた沖縄では、基地のため住民の土地が奪われた。権利が踏みにじられたまま日本復帰後の今に至る。」のは、何故なのでしょうか。自分の国の土地に対する権利が踏みにじられたままなのは、我々が本当の自由を手に入れていないからなのではないでしょうか。

 「この構造を日本社会はどこまで自覚してきただろうか。」というのは、我々が自由だと思っているのは、「アメリカが認める範囲内での自由」だということなのでしょうか。つまり、我々は本当の自由を手にした国家ではないということを指しているのでしょうか。

 ウクライナに対して、「負けて自由を得るという選択肢はない。」と言っていますが、歴史上、「負けて自由を得」た国が、どこにあるのでしょうか。

 「とことん議論する必要がある」のは、「防衛費の増額が内容の吟味も不十分なまま進」み、「貿易や投資にあたっては安全保障への配慮が当然のごとく語られ」、「「学問の自由」を守るため軍事研究に慎重な日本学術会議への政府の圧力が、やまない」のは、「アメリカが認める範囲内での自由」だからだということなのではないでしょうか。

 「敗戦で得た自由を、市民がわがものと受け止め、日々生かしてゆく。」などと社説に書くこと自体が、まさに「政府の責任を問うジャーナリストの役割」を果たしていないと考えられるのです。

2023/08/14

子どもに英語を身に付けさせたいなら、母語として確立される時期まで英語圏に行ってしまった方が良いはず。

 8月7日の朝日新聞デジタルに、「過熱する英語の早期教育、「異常な状態だ」 ある言語学者の警鐘」という記事と、「幼児の英語教育のカギは「漆塗り」 親に必要な心構えとタブーとは」という、英語教育に関する2つの記事が出ています。

 「母語がまだ確立されておらず、自分で母語をコントロールできない子どもに、大人が英語だけの環境を人為的に与えるのはどう考えてもおかしな話です。」という慶応大名誉教授の大津由紀雄さんのコメントは、まさにその通りです。言語は思考のベースになりますから、英語でも日本語でもなんでもいいので、本人が母語として思考のベースになる言語をきちんとマスターしないと、物事を論理的に考えるということができなくなってしまいます。

 「音声やリズムなど、英語らしい音に関しては、聞くのも話すのも幼いうちから英語を始めた方がネイティブに近づ」くことは事実ですが、英語で意思疎通ができて考えを伝えられることを目指すならば、つまり日本語で考えて、それを英語に直して話せるようになるのならば(子どもに英語を身につけさせようと、未就学児を英語主体のプリスクールに通わせたり、英語環境の民間学童保育に小学生を預けたりする親の多くはおそらくこのレベルを意識しているのだと思いますが)、まずは母語をコントロールできるようになって、つまり日本語で物事を論理的に考えることができるようになってからでも、遅くはないはずです。

 もし、ネイティブと同等になることを目指す、つまり母語を英語にしたいのならば、日本にいないで英語圏で生活しないとダメでしょうね。物事を英語で考えて英語で話すためには、英語での思考にならないといけませんから、日本に居ては実現できないでしょう。

 そもそも都市部にいれば英語で会話する場面もあるでしょうが、地方では日常生活において、ほとんどそのような場面はありませんし、おそらく今後もそれは大きくは変わらないでしょう。すべての人が都市で働くわけではありません。ましてやそれほど多くの人が海外へ出ていくわけでもないでしょう。日本に育ち、日本で生きていくのならば、日本語でしっかりと論理的に物事を考えることができる方が、より重要なことです。もしそれを英語で話されければならない機会があったとしたら、通訳を使ったり、翻訳機を使ったりすれば良いだけです。日常生活のなかで英語を使うならばそれほど難しいことを考えなくても良いわけですが、仕事や学問などで英語を使う必要が出てきた際には、英語で話せるかどうかよりは、話しの中身に意味があるかどうかが問題になるわけですから。

2023/08/13

「現存する最大級の被爆建物」という点で、十分に国の重要文化財になりえますから、指定して当然だと思います。

 8月7日の朝日新聞デジタルに、「旧陸軍被服支廠の文化財指定 首相「速やかに審議」最大級の被爆建物」という記事が出ています。

 広島市南区にある、現存する最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」について、広島県側が建物の活用策を定めることを前提に、求めに応じて国の重要文化財への指定に向けた審議を進める方針となったとのことですが、建物の活用案はともかくとして、重要文化財の価値は十分あると思います。この建物は1914年に使用が開始されていますので、来年の100年記念として指定して良いのではないでしょうか。

 全部で4棟あるわけですが、これらの建物はとにかく大きくて、県所有の第1~3号棟は91m×25m×15m、国所有の第4号棟は105m×25m×15mもあります。鉄筋コンクリート造とレンガ造が複合していて、これだけで重要文化財としての価値がありますが、この建物はさらに被爆直後に、被爆者の臨時救護所として使用されたという非常に重要な役割を果たしています。

 原爆を体験した人たちが少なくなってきているなかで、代わりに被ばく体験を訴えることができる建造物は、しっかりと保存し、原爆の恐ろしさ、戦争の悲惨さを伝える役割を担わせるようにすべきでしょう。

2023/08/12

3月に登録有形文化財に答申された沼津市内最古の民家「海瀬家住宅主屋」が、クラウドファンディングをやります。

 8月7日の朝日新聞デジタル静岡版に、「160年超の古民家、修繕に支援募る 25歳当主「後世に残したい」」という記事が出ています。

 沼津市西浦河内にある市内最古の民家「海瀬家住宅主屋」が、大規模修繕を行うためにクラウドファンディングを開始するとのことで、7月23日には一日限定で初めて一般公開されました。

「海瀬家住宅主屋」は3月に登録有形文化財に答申されており(そのことはこのブログでも紹介していますが)、現在準備中なのですが、「建物の傷みが進み、特に約100坪ある大きな屋根は雨漏りするようになった(もともとのかやぶき屋根を、1929年ごろに瓦にふき替えたため急勾配で、瓦がずれて隙間が生じているのが原因らしい)。」とのことで、大規模修繕を行う必要があるとのことです。

 そこで、25歳の若き当主の「家を守っていきたい」という思いが、親戚の方との思いと1つになって、一般社団法人「仲屋」を立ち上げ、22日にクラウドファンディングをスタートするとのことです。修繕費を見積もってもらったところ、約1600万円以上かかるということで、まずは目標は500万円だとのことですが、国立科学博物館のようにはいかなくとも、何とかうまくいって欲しいですね。

2023/08/11

日本では文化的な専門職は、その必要性を行政が強く認識していないので、設置が難しいわけです。

  「学校図書館問題研究会」第38回全国大会が、大阪私学会館で8月5~7日に開催され、大会アピールが採択されました。今年のアピールは、「「専門・専任・正規」の学校司書の配置と学校図書館の充実を求めるアピール」です。

 アピール文にもあるように、今年2023 年は、すべての学校に学校図書館の設置を定めた学校図書館法公布から70 周年で、1997 年に司書教諭の配置に関わる「改正」があり、2014 年には学校司書が法律に位置づけられましたが、学校図書館と職員を取り巻く環境は変わっていません。

 我が国において文化的な専門職は、学校司書に限らず、その必要性が十分に認識されているとは思えません。図書館司書しかり、公文書館専門職員(アーキビスト)しかり、近年は学芸員ですら非常勤というところも多くなってきています。あるいは教育の専門職である教員も近年いろいろな問題が指摘されていることを考えると、似たようなものかもしれませんね。

 専門職を設置するということは、その業務しか行わない人材を採用するということですから、ゼネラリストを重視する我が国で、スペシャリストは取り扱いにくい存在なんだろうと思います。特に行政においては(学校司書や図書館司書、アーキビスト、学芸員など、基本的には職場が行政であることが多いですから)、同じ人件費でいろいろなことをする行政職に比べて、特定の業務しかしないため(それゆえ専門職なのですが)、コスパが悪いわけです。いろいろな部署を異動しながら出世するゼネラリストに対して、スペシャリストは異動も狭く、どれだけ職務上の知識や能力が身に着いたかどうかの判断も難しく(というか、人事課は行政職ですから、専門職の専門性の判断は難しいわけで)、出世のタイミングやポジションも困るわけです。もちろん専門職は出世とかそのようなことを望まない人も多いですが、かといって年齢があがるにしたがって給料は上がってくれないと困るわけで、行政内に位置する場合、行政職からすれば、取り扱いにくいわけです。それがすべての原因とは思いませんが、行政においてはある程度専門的に業務をこなす必要がある部署もあり、そこに異動すればそれなりの知識を身に付けて、外からみればそれなりに専門的な業務をこなしているわけで、そんな状況からすれば、その業務のみを一生専門にこなす人材を置く必要があるのか?となるんだろうと思います。しかし、世界を見れば一目瞭然で、専門職は必要なわけです。ただ、日本はガラパゴスな国なので、(特に行政で)それがなかなか通用しないところが、専門的な仕事をしている人間からすると、モヤモヤするわけです。

2023/08/10

静岡県の総人口、減少数が全国で三番目の多いって、まずくないですか?

 8月7日の中日新聞デジタル静岡版に、「静岡県内の人口2万4602人減 前年比、全国3番目の多さ」という記事が出ています。

 総務省が、令和5年1月1日現在の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」を発表しましたが、総人口は3,633,773人で、全国の都道府県で十番目に数が多いのですが、減少数は、前年から24,602人減(マイナス0.67%)で、北海道(43,774人減)、兵庫県(28,738人減)に次いで、全国で三番目に減少数が多いということですが、これってまずくないですか?

 浜松市は792,704人で人口の多い市区として16番目ですが(ただこれは外国人人口が26,748人ということで、日本人だけならば765,956人で、新潟市に逆転されて17番目です)、一方静岡市は683,739人で、人口減少の多い市区の4番目(5,340人減)です。浜松市は外国人人口が多いとは言え80万人に近い数字ですが、静岡市は相変わらず70万人を切っています。静岡市の減少、何とかならないですかね?やはり県庁所在地として、せめて70万人に回復するといいなぁというのが実感です。

2023/08/09

「一般と専門家との間にある大きなギャップ」って、いろいろありますよね。

 8月5日の朝日新聞デジタルに出ている「ナチスは「良いこと」もした? 逆張り主張に応答、研究者の危機感」の記事ですが、最近はネットの匿名性によって、中途半端な知識をもとに、いろいろな議論をしている人たちを時折見かけます。

 『検証 ナチスは『良いこと』もしたのか?』、読みましたが、これぞ歴史の専門家の仕事と言えるブックレットで、多角的に非常に詳細な検証を行い、豊富な参考文献も巻末に載せられていて、歴史研究の見本のような本です。

 歴史において、「逆張り」の主張とは非常に多いですが、それを専門家が1つ1つ向き合って論証していくというのはかなり珍しいですし、多くの専門家は、一般との認識にギャップがあることを前提としている部分があるように思いますので、あまり対応しないこと多いわけですが、今回のブックレットはそれを丁寧にやっているという点で、大変貴重な文献になりますね。

 ただ、「一般と専門家との間にある大きなギャップを埋める必要がある、と危機感を感じた」というのは、いちおう私も端くれに居る人なので、それを感じることはありますし、埋めることを試みているつもりですが、現実はなかなかうまくいきません。原則的にそのことについて常に考えている人間と、時折何かに触発されてそのことを話題にする人間とでは、日ごろの意識が違いますし、その差は簡単には埋められない、本来はそのようにあきらめるつもりはなくとも、現実その差を埋める努力は、かなり無謀に思えるのが事実です。その意味でも、本書は大変有意義な一冊です。

2023/08/08

教員の奨学金返還の減免、進めるべきですね。

 8月4日の朝日新聞デジタルに、「教員の奨学金減免へ 文科省、概算要求方針 人手不足解消に」という記事が出ています。

 文科省が教員不足を解消のため、教員の奨学金返還を減免を行う必要経費を、来年度予算案の概算要求に盛り込む方針だということです。

 現在、奨学金が少子化の原因の1つである可能性が指摘されるなかで、子どもを相手とする教員の奨学金減免が行われることは良いことだと思います。子どもが減っても、教員のある程度の数と質を確保することは必要なわけで、教員の待遇改善の1つとすることで、多少なりとも教員を目指す若者が増えてくれることを期待したいわけです。

 日本育英会(現日本学生支援機構)が、03年度まで、無利子の奨学金を借りた人を対象に、教員などの職に一定期間ついた場合、奨学金の減免を行っていた制度を廃止した理由は、「採用試験の倍率の上昇などから人材確保の役割が薄れてきていること」や、「公平性」の観点を挙げているようですが、「教員の待遇改善」と意味で採り入れれば、「公平性」という観点は必要なくなるわけですし、「人材確保の役割」ということならば、今はまさにそれを果たすために奨学金の減免を行うべき時期でしょう。対象者や減免のための条件などの大枠は、今月内に固めるとのことですので、期待したいです。

2023/08/07

東京都千代田区立麴町中学校の話は、映画の上映に水を差す話ですね。

 映画「夢みる校長先生~子どもファーストな公立学校の作り方」の上映が今月、各地の劇場で始まることが話題になっているようですが、8月3日の朝日新聞デジタルに、「「定期試験なし」の千代田区・麴町中、改革転換を検討 保護者に波紋」という記事が出ています。

 麴町中学校は、2014年に就任した工藤勇一校長により、宿題や定期試験、固定した学級担任制などを廃止し、制服(標準服)や体操着も「着用自由」で一部私服も導入するなどの改革を実行して注目されました。

 20年3月の工藤氏退任後、後任が今年3月まで務め、同4月に現校長が就き、今年7月にあった区内の小学5、6年生と保護者向けの学校説明会で、「まだ決定ではない」としつつ、定期試験の実施、学級担任制の導入、指定の制服・体操着の着用などを進める方向で検討していることを明らかしたとのことです。方針転換の理由は、「生徒の学力向上や生活指導強化の必要性、地域からの要望」などとのことですが、教員って近隣市区町村を異動するので、どうしても自分の勤務経験校や近隣他校と比べがちで、それまであたりまえだったことが無いということに違和感を感じるんでしょうね。そもそも定期試験や宿題などのある学校生活で、うまくやってきた人たちが教員になるのでしょうから、自分が経験してきたことを否定するような動きには、反発心があったんでしょうね。

 でも、現在の麹町中は「生徒の学力向上や生活指導強化の必要性」があるような状況なのでしょうか。地域からの要望って、どこの誰からの要望なんでしょうか。地域と言っても、普通の人はそんなこと言うわけありませんから、可能性としては区の教育委員会や区議会議員あたりかもしれませんが、もしそうだとしたら、やっかいですね。どこか一つが目立つようになると、それを抑え込もうとする動きがあるのは世の常ですが、これだけ教育を変える必要性が叫ばれているのに、それを元に戻そうとするなんて…。

2023/08/06

「被爆78年の課題」、政府はどこまで考えているのか、かなり疑問ですね。

  今日8月6日は、広島に原爆が投下された日です。それゆえ、今日の朝日新聞社説は、「被爆78年の課題 脅しに屈せず核廃絶めざせ」です。

 『バービー』公式アカウントの問題があったばかりですし、G7広島サミットでの成果を強調した政府ですが、広島の松井一実市長により「核抑止論からの脱却を促す」平和宣言が読み上げられたのに対して、どこまで真剣に考えているのか、かなり疑問に感じます。

 G7広島サミットでの「広島ビジョン」は、核抑止論を肯定する立場だったわけで、今日の平和宣言は「核抑止論は破綻している」と正反対の立場なわけで、廃絶への行動を求める広島・長崎の間との意識の溝をどうするのでしょうか。核兵器禁止条約への署名・批准を求め、11月の同条約締約国会議にオブザーバー参加するよう訴える声に、どのように対応するのでしょうか。

 核の悲惨さを知る日本の経験というものを、どう思っているのでしょうか。本当ならば、世界に向けてもっと大きい声で訴える権利があるはずなのですが、今度政府はどのような方向に向かうつもりなのか、残念ながらかなり期待薄な気がしますが、果たして11月に向けて、どのような動きをするでしょうか。

2023/08/05

出版の電子化、進むと利用には便利ですが、保存という観点では難しいです。

  8月4日の朝日新聞社説は、「本を読む権利 切なる声にこたえたい」というタイトルです。

 先月芥川賞に決まった市川沙央さんが、芥川賞の会見で述べた「ちょっと生意気なことを言いますけれど、各出版社、学術界でなかなか電子化が進んでいません。障害者対応をもっと真剣に早く取り組んでいただきたいと思っています」を受けての社説です。

 電子書籍は、紙の本のような重さがなく、文字を拡大して読める利点があったり、画面の自動読み上げ機能を使って本を「聞く」ことも可能だったりとメリットがあり、市川沙央さんがいうように、障害のある人にとっては「本を読む権利」が満たされるわけで、大変良いことです。

 社説には、電子化は中小の出版社では追加コストなどがあるとし、手間がかかることや流出への懸念が背景にあるとしていますが、現在は本を作る際は、ほとんどDTPですから、基本的にはデジタルデータで作成するわけです。したがって中小でもコストがかさむどころか、昔に比べれば安くなっているはずです。もちろん、最初からデジタルデータで作成しているので、手間がかかるわけもありません。確かにデジタルデータなので、流出は懸念されますが、それさえ十分な対策をとれば、やたらと流出することも多くないと考えられます(まったく流出しないということはおそらくないですが)。

 むしろ問題になりそうなのは、保存の観点です。紙の本のようにデジタルデータの入ったメディアをその辺にほっておけば、数年後にはおそらく読むことはできないでしょう。保存メディアの媒体自体の保存年限や、保存メディアそのものが旧式になることによる読み取る機械が無くなってしまう可能性、またデジタルデータを読みこむためのソフトが古くなってしまうとかで、結局読めなくなる可能性が高いわけです。今時フロッピーディスクなんて一般にないでしょ?図書館は困りますが、出版社にとれば、むしろ最新版に買い直ししてくれる可能性が高まるので、悪いことではないはずです。

 「従来の商慣行はバリアフリーの要請を退ける理由にはならないはずだ。出版界にはより積極的な行動を求めたい。」としている朝日新聞さん、自分のところは電子化、進めているの?

2023/08/04

歴史的価値は、時代によって変わりますから、登呂遺跡だって、見方を変えれば、今でも十分価値があります。

 8月3日の朝日新聞デジタル静岡版に、「教科書から消えた登呂遺跡 発見80年、弥生時代の象徴だったのに」という記事が出ています。

 かつては弥生時代を象徴する遺跡として、登呂遺跡はほどんどの教科書に出ていて、中高年は必ず学校で習ったと思いますが、今や弥生時代の遺跡としては吉野ケ里遺跡の方が有名で、今の中学校の教科書本文で登呂遺跡を記述しているのは1社しかないということです。

 確かに弥生時代を象徴するような遺跡は、吉野ヶ里遺跡の他にも卑弥呼の墓だと言われる箸墓古墳のある纒向遺跡なども知られているわけですが、しかし現在でも、弥生時代の集落遺跡で「国の特別史跡」に指定されている遺跡は登呂遺跡・吉野ヶ里遺跡・原の辻遺跡(長崎県壱岐市)の3つだけですから、弥生時代の三大遺跡と言えば、登呂遺跡も入るわけです(そうは言っても、弥生時代と言えば吉野ヶ里遺跡が圧勝ですね。原の辻遺跡は、ほとんど知られていないでしょうね)。

 ただ登呂遺跡の歴史的価値で評価が変わらないのは、「戦後間もない1947年(昭和22年)に、考古学・人類学・地質学など各分野の学者が加わった日本で初めての総合的な発掘調査が行われた遺跡」という点でしょう。また、「「弥生時代といえば水田稲作」というイメージが定着する契機となったことに加え、この登呂遺跡の発掘調査をきっかけに日本考古学協会が発足されるなど、戦後の日本考古学の出発点となった日本考古学の金字塔」という点も、時代が変わっても登呂遺跡の持つ価値であることには変わりありません。

 つまり登呂遺跡の価値は、戦後復興期の文化のところでは、他の追従を許さぬ確固たる地位を占めているわけで、教科書を記述する際に、戦後復興期をもう少し詳細に書くことになれば、必ず載ってくる存在だと考えます。

2023/08/03

夏休みには、「一日体験入学」とか「学校説明会」とか、高校でもやります。

  8月2日の朝日新聞デジタル静岡版に、「新設の演劇専攻で一日体験入学 清水南高」という記事が出ています。

 中高一貫の県立清水南高・同中等部で1日に「一日体験入学」があり、高校芸術科に来春新設される演劇専攻でも体験授業があり、中学3年生10人が参加したとのことです。

 演劇専攻は、県内の高校で初めて設置されるもので、1年生で週11時間の実技があり、3年間で43単位の専門教育を受けられるということで、かなり演劇に関していろいろと学べるようです。

 個人的に、高校時代に演劇部だったので(いちおうその後も何らかかかわっています)、それを学校で専門的にやれるってのは、かなり興味があります。時々、普通の授業に演劇的要素を入れてやってみたいと思うことはありますが、そんな気が全然ない生徒ではしらけてしまうのがオチなので、やってみたことはありません。ただ、あてられてドギマギしながら答えるような生徒を見ていると、演劇的な考え方を知っていれば全然違うだろうにと思うことはよくありますし、たまたま演劇部の子を指した時には、やはりその違いを感じます。

 学校教育に、簡単な演劇的な指導を入れて、すべての生徒が少しかじって見ても良いのではないかと思いつづけているのですが、来年からの清水南高校の様子が気になります。

2023/08/02

「全国学力調査」の算数、数学も残念な感じですね。

 「全国学力調査」の小6の算数、中3の数学も、けっこう残念な感じです。

 小6の算数で、幅の等しいテープを直線で切ってつくった二つの三角形の面積についての問題の正答率が21.1%です。これは、正答を選択するだけでなく、理由を記述させる問題で、「テープの幅がそのまま二つの三角形の高さになり、底辺も等しいため「面積は等しい」というのが正解だが、「高さが書かれていないため比べられない」とする誤答が16.8%」ということですから、順序だてて考えることができていないような気がしますね。

 「テープを二つ折りの三角形に切り取り、広げて新たな三角形をつくる問題では、正三角形をつくる際に切り取る時の角度を何度にすればいいかという問題で、「60度」という誤答が33.2%と3人に1人にのぼり、二つ折りを広げて60度にするため、正解は半分の「30度」だが、正答率は25.3%と、誤答である「60度」の割合を下回った」というのも、頭のなかでイメージができていないんじゃないかという感じがします。

 中3数学での、空間における平面が一つに決まる条件についての問題正答率が31.1%で、同一直線上にない3点で平面が決定されるというのが正解だが、「一つの直線上にある3点を含む平面は一つに決まる」との誤答が35.1%に上ったという。

 「あることが決まるとあることが一意的に決まるという見方・考え方」で、いわゆる数学的な見方・考え方の問題なのですが、小6の算数も同じで、基本的な数学的な見方・考え方が十分できていないということなわけです。これらができないと上の学校に行っても困るのでどうにかしないといけないのですが、ただ、こういうのってやり方次第でどうにでも教えられる機会があるような気がします。今までの学習にこだわらないで、もっと自由な学び方を実践していけば、どこかで必ず出会うはずだと思うのですが…。

 今って、これまでの学び方とはある意味逆の方向に向かっているので、やろうと思えばできるような気がします。あとは、教える側がどれだけ今までの教育から自由になれるかにつきると思います(今までの学校教育のなかで、そこそこできた人達が先生になっているということを思えば、これが一番のポイントかも)。

2023/08/01

「全国学力調査」の結果の、英語の「話す」テストで、6割の生徒が0点って、どういうことでしょう?

 7月31日、小6と中3を対象とする今年度の全国学力調査の結果を公表されました。

 英語と数学で問題ありの結果ですが、英語の「話す」テストで、6割の生徒が0点って、どういうこと?平均正答率は12.4%で、特に正答率が低かったのは、「環境問題についてのプレゼンテーションを聞き、話し手の意見に対する自分の考えとその理由を伝えるという問題で、具体的には「プラスチック製のレジ袋を売るのをやめるべきだ」と主張する発表を聞き、それに対する自分の考えと理由を述べるというものなのですが、これが4.2%っていうんですから、驚きです。

 もちろん、日本国内に居れば、英語で考えを表現する機会はあまりないので、できないのは仕方がないと言えますが、ただ英語ってコミュニケーションのための道具ですから、基本は会話ですよね。それができないってことは、今までの読み書きの英語ではダメだということで変えたはずなのに、ちゃんとできていないわけで、何かが間違っている?コロナのせいにしないで、原因をちゃんと確かめないと、やっている意味がないってことになります。