小中高校へのデジタル教科書の本格導入が、2024年度との発表を受けて、デジタル教科書の利点ばかりを強調する文科省に対して、作家、学者、新聞・出版関係者、学校図書館関係者、超党派の国会議員らによる「活字の学びを考える懇談会」が、その意義を検討した内容をまとめたのが、冊子「いま、なぜ「紙」の教科書なのか」です。
冊子「いま、なぜ「紙」の教科書なのか」での意見は、大半が「「紙」の教科書をメインとし、年齢・能力に応じてデジタル教科書を補助的に活用する」というものです。
個人的にはこの意見に賛成です。デジタルになれば、今までの問題が解決できると思われている風潮に、そもそも疑念を感じています。アナログがデジタルになったからといって、使う人間が適切に使用しなければ、問題は何も解決しません。最近の出来事で言えば、牧之原市の川崎幼稚園での痛ましい事件でも、出席確認をデジタル化していたようですが、適切に使用しなかったことも1つの原因であったようです。あくまでも道具なのですから、デジタルを過信してはいけません。
教科書の話に戻すと、デジタル教科書の情報量の多さは確かに魅力的です。しかし、近年「紙」の教科書をまともに読めない子どもが多いように思います。本文があり、欄外に注があったり、写真や図表があったり、またそれらの説明書きが加わっているという従来型の「紙」の教科書ですら、本文を正しく読み取れず、ましてや欄外の写真や図表、またその説明書きの情報までは読み切れないという場面に出くわしている者としては、デジタル教科書では、明らかに消化不良に陥ると思います。デジタル教科書はかなり工夫されていて、動画を見れたり、複数の資料を確認できたりします。ただし、現在でもデジタル端末で調べながら授業をすれば似たような状況は作れますが、初めからいろいろなものが紐づけされているのは便利ですから、その部分だけを利用して使えば良いのです。デジタルのデメリット、紙のメリットのエビデンスはいろいろ出ていますが、個人的経験でもデジタルですと、視覚へのインパクトだけが強くて、他の感覚への影響が少ないからか、紙よりも記憶の定着があまり良くないような印象があります。
おそらく予定通り、2024年度からデジタル教科書が導入されるでしょうが、「紙」教科書を使用できる余地を残して欲しいということは、強く思います。
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