続・人間老いやすく、学成りがたし

2021/08/15

戦後76年、開戦80年

 今日8月15日は、「終戦記念日」「終戦の日」とされていますが、正式には「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とし(これが正式に決まったのは1982年4月13日の閣議決定)、全国戦没者追悼式を開催しているわけですが、実際にはこの日にまた各地で戦闘が続いており戦死されている方もいますので、現実な意味での「終戦の日」ではないことは知られていると思います。では実際76年前の今日何があったかといえば、

①正午からラジオで放送された玉音放送により、前日に決まったポツダム宣言受諾及び日本の降伏が国民に公表された。

②帝国政府が軍に武装放棄と連合軍への投降命令を発し、連合国もそれを受け戦闘を止めた。

で、15日の朝には、陸軍軍人により玉音放送の録音音源の強奪とクーデター未遂事件が皇居を舞台に発生し、森赳近衛師団長が殺害されるという宮城事件が起こったことも有名です。

 その戦後76年、開戦80年もたった今年、先日終わったばかりのオリンピックへの政府の対応は、まさに日本が戦争に突入した当時のイメージと重なるものだととらえられたわけですが、そのオリンピックが終わって、体制崩壊が始まったといえるのが、12日の東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議での「制御不能な状況」「自分の身は自分で守る」などの発言です。

 これに反応してツイートした、神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏のTwitterがデイリースポーツに取り上げられ、話題になっています。

https://twitter.com/levinassien/status/1425788679545516041

 この内田氏のツイートは、まさに今回のコロナ対策は、戦争と同じであるということを指摘しています。

 コロナは2週間くらい間が空いてその数が統計に出てくるとされていますので、現在の数字は、戦争の時と同じくメディアがあおり、オリンピックというイベントに国民が浮足立った結果です。改めて日本という国はこういう国であり、日本人とはこういう国民性を持っているということを再認識させられたわけですが、残念ながら現在は崩壊の始まりで、政府はまだ醜態をさらけ出すでしょうし、コロナもまだ数が増える可能性が高いと思います。

 

2021/08/14

戦争と農業とのかかわりを授業でやっている農業高校があるんですね!

  8月11日のYahooニュースに、日本農業新聞が農業高校を対象に行った、満蒙開拓や学徒援農など、戦争と農業者や食との関わりについて学んでいるかを問うアンケートについての記事が出ていました。

 会員校375校のうち117校から回答を得た結果、戦争と農業者や食との関わりを学ぶ機会を設けていたのは、12%に当たる14校その内容に関して複数回答による回答は、「当時の農作業のやり方」が8校、「配給制などの食料事情」が5校、「食生活」が3校、「満蒙開拓」が2校、「学徒援農」が1校ということなのですが、最も多い「当時の農業のやり方」って何なんでしょうか?農作物によっても違うでしょうし、地域によっても違うでしょうし、8校での内容が全くバラバラなんでしょうか?ちょっと気になりますね。1校だけ学徒援農を教えているのは、送り出した側の地域なのか、受け入れた北海道側なのか、ただ資料が少ない分野なのに、それを教えているのは大変すばらしいことです。

 学ぶ機会がない理由についても複数回答で、「実施する時間がない」が42%、「授業で触れる・修学旅行で十分」が34%、「詳しい教諭がいない」が31%となっていますが、学ぶ機会がないといっておきながら、授業で触れるってどういうことなんでしょう?修学旅行でそれにかかわるような場所に行くってことなんでしょうか?ちょっとこれに関しては、よく分からない回答ですね。ただ、「詳しい教諭がいないが31%」ってのは、少し残念です。高校なんですから、もう少し先生にがんばっていただきたいですね。

 また、これらのことを学ぶ意義を感じるかとの問いに67%が「感じる」と回答し、今後機会があれば学ぶ機会を設けたいかとの問いには49%が「いいえ」と回答したとなっているのも、ちょっと矛盾しています。意義を感じるのに、機会を設けないって、どういうことなんでしょうか。意義を感じるのならば、ちゃんと機会を設ければ良いのではないのでしょうか。ただ、おそらく先ほど出ていた分かる先生がいないというのが、もしかしたら一番大きいかもしれませんね。この分野を指導できる先生がいれば、何を指導すれば良いかもわかるでしょうが、逆にいなければ、何を教えれば良いのか分からないので、当然教えないということになるでしょうから。しかし、逆に詳しい先生がいれば31%は教える可能性があるということですから、農業高校にいらっしゃる先生は、ぜひ勉強していただければと思います。

 今年で戦後76年、直接の体験者から教えを受けることはほとんど不可能です。しかし、日本の歴史上、重要な出来事だと思いますので、教育者が自ら学んで、それを次の世代に伝えることが大切だと思います。幸い、少し探せば、いろいろと学べる教材はありますから。我々は、過去からしか学ぶことはできません。歴史から学ぶことは我々にとって、未来を生きる大切な手段であり、唯一の方法なのです。


2021/08/13

『子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究 報告書』

  国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センターが、2019年 2 月中旬に全国の 20~60 代の男女 5,000 名(各年代男女 500 名ずつ)を対象に、インターネット調査で実施した読書活動の調査をまとめた報告書が公表されています。

 「読書活動の実態と経年変化について明らかにしつつ(第 2 章、第 3 章)、情報環境の変化や過去読書活動が、現在の意識・非認知能力(第 4 章)や認知機能(第 5 章)に与える影響を検証し、子どもの読書活動の推進に資する結果を得る(第 6 章)ことを目的」として行われ、「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究報告書」としてまとめられました。

 概要で、調査結果のポイントを見ると、

① 子どもの頃の読書量が多い人は、意識・非認知能力と認知機能が高い傾向がある。
② 興味・関心にあわせた読書経験が多い人ほど、小中高を通した読書量が多い傾向にある。
③ 年代に関係なく、本(紙媒体)を読まない人が増えている(平成 25 年と平成 30 年を比較して)。
④ 一方で、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスを使った読書は増えている。
⑤ 読書のツールに関係なく、読書している人はしていない人よりも意識・非認知能力が高い傾向があるが、本(紙媒体)で読書している人の意識・非認知能力は最も高い傾向がある。

 読書も、一種の脳の訓練ってことなのでしょうね。やはり絶対的な量が多い方が良いということらしいです。興味・関心のある本を1冊読み始めれば、芋づる式に次々と読むことになるので、結果的に多くなるのも納得です。子どもの頃は、乱読していくうちに、自分の興味・関心がどこにあるのかがわかるようになるので、下手なルールは作らない方が良いわけですね。
 また、年々本を読まなくなっているという調査は他にもあるので、その通りなのでしょう。電車に乗れば、以前は文庫本などを読んでいる人がチラホラいましたが、最近はスマホを見ている人がほとんどですね。中には電子書籍で読書している人もいるということですが、個人的には紙媒体が良いのでそうしているのですが、それが意外と良いということらしいです。
 とにかく、結論的には、子どもの頃から紙媒体の本を、たくさん読んだ方が良いらしいということです。以前は、朝読書を取り入れている学校が多かったと思うのですが、最近はどうなんでしょうか。GIGAスクール構想で、子どもたちが1人1台端末を持つようになって、電子書籍が増えることが期待されている一方、学校では紙媒体も大切ということで、うまく併用していくことが必要だというわけです。

2021/08/12

なぜ、今社会教育?

  8月3日に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見は、大臣から2点、1つは文化芸術関係者に対するワクチン接種と留学予定者ワクチン接種支援事業の対象者拡大の話でしたが、もう1つは社会教育士制度の話でした。

 会見でも大臣が言っていますが、令和2年度からスタートしている社会教育士制度ですが、今までの社会教育主事の見直しの結果、生まれた資格です。

 会見で言っているように、社会教育士特設サイトが作られているのですが、見直しの議論の時からそうだったんですが、何で、今こんなことをしているのか、よくわからないんですよね。平成29年から議論がされていたのですが、その時の資料を見ても、そもそも何で社会教育主事を見直して新しくするのかが、例えば社会教育を活性化するためだとか、学校で先生が大変だから、その一部を社会教育に担わせるために、社会教育主事を新しくするのだとかといった根本部分の目的に関する説明が(私が見落としているだけだとは思えないのですが)、いっさい無いのです。

 ですから、社会教育士を作って、文科省が何をするのか、しようとしているのかも、見えないので、それをPRして、何になるのかと思ってしまったので、コメントしてしまいました。「社会教育士応援大使」に任命される村井美樹さんに文句があるわけではありません。むしろ、鉄分多めが好きなタレントさんですので、そこには好感を持っていますので。

 結局、社会教育士を作ったところで、特別に何かをするわけでもないので、だから特に話題にならないので、みんな知らないからPRが必要になるんです。これに関しては記者からの質問も何もないということからも、記者も興味がないのか、それほど気にしていないわけです。

 「#教師のバトン」で、あれだけいろいろな声があったのですから、「学校で先生が大変だから、その一部を社会教育に担わせるために、社会教育士制度を活用する」ということにすれば良いのにと思うのですが、そうはしないんですかねぇ❓

2021/08/11

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第I作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について

  昨日8月10日の報道ステーションでも報じられていましたが、IPCC第54回総会及び同パネルWG1第14回会合が、令和3年7月26日(月)から同年8月6日(金)にかけてオンラインで開催され、平成25年の第5次評価報告書(AR5)WG1報告書以来8年ぶりとなる、R6/WG1報告書のSPMが承認されるとともに、同報告書の本体や付録等が受諾され、報告書のSPMを8月9日の日本時間の17時に公表されました。報告書(AR6 Climate Change 2021: The Physical Science Basis)を読みたい場合は、環境省のホームページに外部リングが貼ってあります。

 SPMとは、「IPCC AR6/WG1報告書の政策決定者向け要約」のことで、その概要に、毎日新聞やBBCほかで取り上げられ、注目されているのが、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。」という表現が明記された点です。前回の2013年の第5次報告書では、「人間活動である可能性が極めて高い(95%以上)」とされていたのが、さらにもっとはっきりと人間の影響であることが記されたわけです。

 まぁ、何を今さら感はありますが、それでも以前はまだオブラートをかけたような表現にできていたわけですが、いよいよそんな悠長なことは言っていられない状況に追い込まれたということです。

 「将来ありうる気候」として、「世界平均気温は、本報告書で考慮した全ての排出シナリオにおいて、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える。」とされています。

 環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんはTwitterで、以下のようなコメントをしていますが、特に2つ目のツイートは、どう考えましょうか?

https://twitter.com/GretaThunberg/status/1424647410526130181

https://twitter.com/GretaThunberg/status/1424786109859565580?s=20


2021/08/10

東京外語大の無料学習サイト

  Yahooニュースで、東京外語大の無料学習サイトがすごいらしいという記事を見たので、言語学習が苦手なくせに、興味本位で見てみた、この三連休でしたが、確かに充実しています。

 正しくは、「TUFS言語モジュール」というらしいのですが、「東京外国語大学大学院の21世紀COEプログラム「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」の研究成果を活かして開発した,新しいインターネット上の言語教材」なんだそうです。

 英語、ドイツ語、中国語など27の言語について、発音や会話、文法などの教材があるわけですが、パキスタンの国語であるウルドゥー語やラオス語なんていう、ちょっと馴染みの無い言葉などがあったり、また、日本人にとってあまり違いがわからないペルシア語やアラビア語などもあります。

 正直言って、よく分からないですが、いろいろいじっていると、分からないなりに、おもしろかったりしますので、ちゃんと言葉を勉強している人にとっては、相当使えるものなんだろうということは想像できます。

 結構遊べますので、ブックマークに追加してしまいました。

2021/08/09

東京都水道歴史館デジタルアーカイブ、サービス開始

  8月4日に、東京都水道歴史館で、「東京都水道歴史館デジタルアーカイブ」が公開されています。

 そもそも、東京都水道歴史館なんてのがあったんですね。文京区の東京都水道局本郷庁舎内に開設されているようですが、知らなかったです。

 ホームページには、館内のストリートビューがあって、疑似見学ができて、これだけでもかなり良い感じなのですが、今回デジタルアーカイブができたわけで、これは素晴らしいことです。

 今回公開となった東京都水道歴史館デジタルアーカイブでは、水道に関する資料約750点が公開されていて、東京都指定有形文化財である「上水記(じょうすいき)」や多摩川の水を取水して玉川上水に導水するための施設である羽村取水堰の日々の管理や業務記録などを綴った「羽村日誌」、羽村取水堰の工事や管理記録を綴った「羽村文書」、江戸市中の上水の樋線を地図に示した上水樋線図ほか上水・水道絵図、水道に関連する写真を集めた「近代水道写真館」などを見ることができます。

 個人的には、「羽村日誌」や「羽村文書」、「近代水道写真館」が興味深いですね。特に「羽村日誌」は、明治2年~5年、明治13年~大正13年(明治14年、32年、41年、42年欠)分があり、取水に関する情報や業務記録だけでなく、東京からもたらされる情報や多摩地域の様子を伝える内容も記されているので、当時の様子を知ることができて、とてもおもしろいですね。ダウンロードできないのは残念ですが、ページの読み込みも早いですし、もちろん拡大・縮小もできるので、ネット上でもストレスなく見ることができます。


2021/08/08

組上絵・立版古って、ちょっとしたインテリアになりますね。

 東京学芸大学附属図書館が、令和3年度電子展示「おもちゃ絵・絵双六で遊ぼう」を公開してます。

 「おもちゃ絵」とは、「子供の手遊びのために描かれた色鮮やかな浮世絵である錦絵(にしきえ)のことで」、「江戸時代後期から近代にかけて多数制作・出版され」たものです。

 組上絵(くみあげえ)立版古(たてばんこ)は、「様々な立体模型を作るために描かれた絵」で、「紙細工で立体的な模型を製作するもの」であり、「建物や風景、芝居の場面などを切り抜いてミニチュア模型を作って遊ぶことができます」が、「現在までに完璧な1枚物として残っている資料は数が少なく、とても貴重な資料」のようです。

 こちらのページから、

龍宮餝立燈籠 ( りゅうぐうかざりたてどうろう )
古戦場陣取餝立 ( こせんじょうじんとりかざりたて )
頼朝公冨士野牧狩餝立 ( よりともこうふじのまきがりかざりたて )
餝立武者揃 ( かざりたてむしゃぞろえ )

の4つが、リポジトリへ飛んで、ダウンロードできるようになっていて、作り方も載っています。この4つの組上絵、組み立てなくても絵として飾っておいても渋い感じでカッコいいですね。組み立てれば、インテリアとして飾っておいても素敵なのではないでしょうか。

 第1弾ということなので、今後も増えていくようです。今後どんなものがアップされるのか、楽しみです。

2021/08/07

これは「トーチカ」ではありません。

  今日8月7日の中日新聞に、「戦争遺構、平和願う 御前崎の旧陸軍「トーチカ」に説明板」という見出し記事が出ていました。

 御前崎市池新田に現存する、旧東京第一陸軍造兵廠遠江射場発射指令所兼被害所(観的所)を、地元の方たちが整備して、保存しようとされているというものですが、記事にある「トーチカ」の表現が気になったので、少しコメントしておきます。

 池新田の遺構は、記事にもある通り、大砲などの発射実験で着弾した砲弾の威力を観測するための施設で、トーチカではありません。本来のトーチカとは、鉄筋コンクリート製で、「一般に円形や方形などの単純な外形で、全長が数メートルから十数メートル程度、銃眼となる開口部を除いて壁でよく保護された防御施設」で、「正面を向いた銃眼以外にはほとんど穴が空いて」おらず、むしろ「視察観測が不能となる死角が多く生じる」ものですから、池新田にあるものとは、形状も使用目的も全く違います。

 ただ、全国各地で戦争遺構が無くなっているのが現実です。このようなコンクリート製の建物はなんだかわからなければ、正直言ってただ邪魔になるだけですから、それを保存し、戦争遺構として残していこうということは、とても大切なことです。今回のこともとても良いことだと思いますし、もしかすると地元では「トーチカ」と呼びならわしているのかもしれませんが、仮にそうだとしても、後世に伝えようとするのならばなおさら、説明看板には正確な情報を記載していただきたい。

2021/08/06

静岡市立中央図書館、リニューアルオープン!

  昨日8月5日、やっと、静岡市立中央図書館リニューアルオープンしました。昨年の10月1日からなんで、9カ月ぶりです。

 私の目的は、2階の調査資料室なんですが、何せここにしかない資料があるんで。使えない時に限って、必要になったりするんですよね。内容を確認しながら使用するので、借りだすよりは調査資料室で利用した方が効率も良いので。

 ちなみに、1階の城北公園側のところがだいぶ変わりましたね。あと、飲み物を持ち込めるスペースができました。まぁ、私の場合には、調べ物をするために行くので、そもそも飲み物とかは厳禁なんですが、小さいお子さんを連れたお母さんやお父さんにとっては、良いでしょうね。

 ホームページに、中央図書館のリニューアルポイントの紹介チラシが貼ってありましたので(現地にも同じチラシがありましたが)、参考までにリンクを貼っておきます。

2021/08/05

NDLのWeb NDL Authoritiesガイド

 7月30日、国立国会図書館(NDL)が、「典拠データを使った資料検索:Web NDL Authoritiesガイド」を公開しています。

 典拠データとは、「資料の検索の手がかりとなる著者名やキーワードなどを整理してまとめたデータ」のことですが、「典拠データとそれに関連する書誌データの集合を作ることで、検索キーワードのゆれ(例:「ギリシャ」と「ギリシア」)による検索もれや検索ノイズ(意図しない検索結果)のない、資料の的確な検索が可能」なわけです。

 Web NDL Authoritiesでは、「資料を検索できるだけでなく、ダウンロード、RSS配信、SPARQL検索などの機能を使って典拠データを取得することもできます」し、「取得した典拠データは、データベースやアプリに取り込んで活用することができます」ので、めちゃ便利なわけです。

 どこがって?、思った方は、何でもいいので、検索してみてください。いろいろと検索すればするほど、Web NDL Authoritiesの便利さがわかると思います。司書の勉強をしている人にとっても、Web NDL Authoritiesの使い方を知ることは、良い勉強になると思います。

 私などは、ほぼ毎日何らかの文献を検索していますので、もうすでにヘビーユーザーではあるのですが、この機能について、詳細なガイドが公開されたことは、大変すばらしいことだと思います。皆さんも、ぜひこのガイドに沿って、Web NDL Authoritiesを使ってみてください。

2021/08/04

edomi、見ました?

  7月29日に、人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)が、「edomi - 江戸をみる/みせるデータポータル」を公開しました。

 分野別(トラベル、 ショッピング、 マップ、 グルメ、 政治、 経済、 災害、 学習) に整理されている江戸時代の資料(和本)が、デジタルデータ化(ダウンロードできるのはJPEGファイル)してあって、現在はトラベルとショッピングだけですが、拡大、縮小が自由にできて、見放題です。

 本来は「現代ユーザ視点でのデータ構造化」を目的に取り組まれているプロジェクトとのことですが、同時に「AIくずし字OCR」の研究にも取り組まれているとのことです。AIでくずし字と言えば、カラーヌワット・タリンさんですね。彼女は確か、ここの人だったはずです。タイから日本に留学してきて、ただ読むのさえ難しい古文書を、さらにもっと難しい研究に取り組まれていると知って(いつ知ったんだっけ?)、感心したのですが、とりあえず難しいことは専門家に任せて、歴史マニアはその成果だけを利用させてもらって、楽しみましょう!

 個人的には、とにかく綺麗な和本ばかりで(まぁ、そりゃそうでしょう)、それも無料で
(とにかく、タダには弱い人です)、見放題なので、こんなに良い暇つぶしはありません。

 これから、残りの分野のデータも増えていくわけですから、これはたまりませんね。

2021/08/03

山川出版社から、『あたらしいお金の教科書』発売!

  2022年度から高校の家庭科で、「持続可能な消費生活・環境」のために、(1) 生活における経済の計画、(2) 消費行動と意思決定 といった学習指導要領のテーマあたりで、資産形成に関する授業が行われることになります。従来から、公民で政治・経済とか消費者教育とか言った感じで行われていましたが、公民ですとどうしても経済学的な話になってしまいがちですが、家庭科ならば、日常生活との結びつきの中で、リアルな問題として取り扱うことが出来そうです。ただ、それって、どうやってやるんだろうって思っていましたら、あの山川出版社から、教科書が出ました。7月30日に発売となった、『あたらしいお金の教科書 ありがとうをはこぶお金、やさしさがめぐる社会がそれです。

 著者の新井和宏氏は、鎌倉投信創業者・取締役で、横浜国立大学経営学部の非常勤講師をされていて、元々はファンドマネージャーとして活躍されていたようです。
 また、発行元の山川出版社と言えば、言わずと知れた歴史教科書で信用のおける出版社ですので、とりあえず、この教科書なら間違いはないだろうと勝手に思っています。そもそも、学校の先生方で、資産形成なんて勉強したことがないという方が多いでしょうから、まずはこのような書籍をベースにしてみるのが良いのではないかと思います。私はいちおうFPを持っているので、理屈はわかりますから、たぶん教えることはできるのですが、理屈がわかるのと実践とは別なので、資産形成はなかなか思うようにはいきません。ただ、若いうちからこういうことを知っていれば、資産を運用することに対するハードルが、それほど高くないようになると思います。私も若いころに少しでもこういうことを学ぶ機会があれば、今頃もう少し手持ちの資産があったかも……(何せ、貯金が第一の昭和世代にとっては、運用って最初はハードルが高いんですよね)。


2021/08/02

令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について

  7月29日に、文科省が令和2年度の「学校図書館の現状に関する調査」の結果を公表しています。詳細は、「令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について」で見ることができます。

 「令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について」のページに、2.調査結果の主なポイントとして、以下の3つがあげられています。

(1)「学校司書」を配置している学校の割合は、小・中・高等学校でそれぞれ68.8%、64.1%、63.0%であり、小・中学校は前回より増加したが、高等学校は減少。
(2)学校図書館図書標準を達成している学校の割合は小・中学校でそれぞれ71.2%、61.1%であり増加しているものの、その割合はいまだ十分ではない状況。
(3)学校に新聞を配備している学校の割合は、小・中・高等学校でそれぞれ56.9%、56.8%、95.1%であり、前回より増加。

 (1)は人的整備状況についてのことですが、学校司書とは、全国学校図書館協議会では「学校図書館の運営を担う専門職員です。学校図書館法ではすべての学校に「置くよう努めなければならない」と規定されています(第六条)。」と定義されています。
 一番多い小学校でも7割に満たず、それも増加した結果であるというのは…。さらに、高校では減少しているということですが、前回の調査は平成28年で、その時が小58.8%、中58.0%、高66.6%です。確かに小学校では10%も多くなっていますので、前進したと言えますが、それでもって感じがします。小学校段階できちんと図書館の利用方法や、図書の検索、また調べ学習における図書の利用の仕方などを身つけることができれば、その後がとても良いものになっていくと思います。その意味で、学校司書による指導が小学校段階できちんと行われることが期待されるわけですが、実際上記の数字は実は学校司書さんが数校を掛け持ちした結果だったりするので(私の地元の小学校では、学校司書さんが2~3校を掛け持ちしてます)、現実的にはその活動が子どもたちに反映されることを期待するのは、厳しい状況です。小学校こそ、学校司書さんが腰を落ち着けて子どもたちと接してくださるとありがたいのですが。まぁ、一番苦しい思いをしているのは、学校司書さんたちだと思いますが。

 (2)は物的整備状況についてのことですが、学校図書館図書標準とは、文科省が平成5年3月に定めた、学校図書館に整備すべき蔵書の標準を示したものですが、学級の数に応じて蔵書冊数が示されています(リンク先参照)。文科省が示している数字に、まだ足りないというのは、それを実現できるようにしていない文科省の責任なのではないでしょうか。また、書籍数だけでなく、本当ならば電子書籍や映像資料などももっと増やしたいところですが、そちらもまだまだのようです。

 (3)の新聞は、近年盛んになりつつある(と思われる)NIE(Newspaper in Education「教育に新聞を」)の活動に利用できるので配備されていると大変良いのですが、小中学校は少ないですね。さすがに高校は小論文などに利用できることもあり、かなり高い数字です。小中学校でも、調べ学習にも使えますし、小中学校こそNIEでおもしろい授業展開ができるのではないかと個人的には思っているので、もっと小中学校に新聞が配置されることを期待したいです。

3.今後の対応
(1)学校司書、図書及び新聞については、「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づき、地方財政措置が講じられており、引き続き、計画的な整備を進める。
(2)学校図書館を活用した授業改善や読書活動の推進のための学校司書の配置等による効果的な取組事例の横展開などを行う。
(3)学校においては、校長のリーダーシップの下、「学校図書館ガイドライン」を参考に学校図書館の適切な運営や利活用など学校図書館の充実を促していく。

 なんだかんだ言っても、結局予算の問題ですよね。もっと予算さえ回せれば、当然人も配置できますし、書籍や新聞なども増やすことができるわけですから。
 以前から指摘していますが、とにかく日本は教育にお金をかけていません。しかし、子どもたちが将来のこの国を背負っていくわけで、大人たちにとってもメリットがあるのですから、そこにお金をかけるのは当たり前だと思うのですが。今の政治は、本当に目先のことしか見ていないのですが、教育にお金をかけることは未来への投資なのです。むしろ何故そこに使わないのか、理解できません。長期的に考えていかないと、日本はじり貧になっていくだけです。もっと日本の将来を考える行動をとらなければならないのです。
 

2021/08/01

第89回公文書管理委員会報告

  7月26日に開催された第89回公文書管理委員会ですが、メインのテーマは「デジタルを活用した確実かつ効率的な公文書管理」です。

 配布資料のうち、WGによる「デジタル時代の公文書管理について」という資料から、個人的に気になった点をあげておきます。

P7:<行政文書ファイルに同一年度内の行政文書しかまとめない運用の見直し>

○ 積み上げ型や循環型(繰り返し型)の実務を踏まえれば、相互に密接に関連する行政文書 を、その作成・取得日が4月1日の前か後かというだけで、別の行政文書ファイルにまとめる、あるいは、別のフォルダに格納するということは、業務の遂行、事後の文書の検索、経緯の跡付け・検証の利便性など、様々な観点から支障が大きいと考える。
 ○ このため、相互に密接な関連を有する文書について、年度を越えて一つの行政文書ファイルにまとめられるようにすべきであり、本年度(令和3年度)から作成している文書を含めて対応ができるよう、速やかに実現すべきである。一方で、長期にわたって一つの行政文書ファイルにまとめる恣意的な運用が行われるのは適切ではなく、2年度を超えないこととすることが適当である。

 今までは、原則年度単位で文書ファイルが作られていたわけですが、それを変更するということです。現状において、単年度で終了する業務はあまり無いと思います。あるいは、その年度の業務はいちおう当該度内で終了するけれど、次年度も同じ業務があるってことが多いと思いますので、その意味では現実的な変更ですし、その年限も2年度を超えないようにとしている点は評価できます。ただし、同じ文書ファイルのまとめという問題に関して、次の点は注意しなければなりません。

P9:<行政文書ファイルのまとまり>
○ 行政文書ファイルのまとまりをどのようにするかも検討課題となる。行政文書の管理の効率性と検索可能性を踏まえれば、行政文書ファイルについては、年度別や政策決定など、大括りでまとめることが一つの合理的な方法と考えられる。
○ 一方で、一つの業務のまとまりの中で保存期間や移管・廃棄が異なる場合や、段階で分ける場合もある。その場合に、どのように行政文書ファイルを構成するのかなど、行政事務の効率性、RS確認・廃棄協議の適切・効率的な実施の観点等から検討が必要であり、全省庁統一的な運用を見据えて、速やかかつ実務的な検討が求められる。

 2つ目の○のような保存期間や移管・廃棄が異なる場合のまとめ方は、きちんとしたルールを定めておかないと、分からなくなるだけでなく、恣意的な運用が行われる危険性があります。

P10~11:4.保存(長期保存)に必要な措置
○ 長期保存用のフォーマットへの変換や文書のライフサイクルの進行管理が適切に行われるよう、外部記録媒体に保存するのではなく、サーバ内(クラウドの保存領域内)で保存することが望ましい。(特定秘密文書や極秘文書を除く。)
 なお、紙媒体で管理される文書や、業務システム内で管理されるデータ(行政文書)は、書の保存・管理のためのシステムの外に置かれることとなる。これらの文書について、どのように行政文書のライフサイクルの管理を効率的に行うかも、検討が必要である。

 P11の2つ目の○の、なお書きですが、しばらくは紙・データ併用で運用され、徐々にデータが主になるようにしていくわけですが、それでも紙は残るはずですので、それが恣意的に運用されないように気を付けなければならないでしょう。

P12:<国立公文書館等に移管する30年保存文書の保存期間の見直し>
○ 法律、条約、政令、予算、閣議決定等については、公文書管理法施行令により、保存期間は30年であり、満了時には移管されることになっているが、デジタルの文書を行政機関において長期に保存することについては、リスクがあるとの指摘もあり、より早期に国立公文書館等に移管しつつ、行政機関において必要な場合には、継続して保存しておくことが考えられる。
○ 具体的には、30年で移管することとなっている文書の保存期間を20年に短縮し、早期に移管し、国民の利用に供することが考えられる(秘密文書を除く。)。

 保存期間の見直しというタイトルですが、実際は文書の公開年限の問題で、現状は「30年ルール」、つまり「30年経った文書を公開する」という方針で行われているわけですが、これを短縮しようというわけです。現在イギリスなどで、このような動きがあるわけですが、それに歩調を合わせるということですね。これに関しては、現状の30年でも出せない文書というものは当然あるわけですが、それ以外はできるだけ早く公開しようとするというのは良いことだと思います。

P12:<情報公開請求に伴う保存期間の延長と移管について>
○ 国立公文書館等に移管すれば、多くの国民が利用の機会を得られるが、現行制度では、情公開法に基づく開示請求が続いた場合には、保存期間を延長し続け、その間移管ができなくなっているが、発想を変えることで、両制度の調和を図ることが考えられる。具体的には、デジタルであれば複製が容易であるため、情報公開請求があった場合には、複製で対応しつつ、移管の手続を進められるようにすることが考えられる。また、外務省から外交史料館に文書を移管する場合も、こうした対応が可能と考えられる。

 情報公開法が施行されたことで、それまで見れていた文書が見れなくなったという経験をした方が多いでしょう。上記の考え方で、それが解消されるとは思えません。情報公開のルールに馴染んでしまった行政が、そう簡単に発想を変えることができるとも思えませんが、何らかの検討をしようという点は評価しても良いでしょう。
 また、複製、つまり写しでの対応というのが、この後出てくる原本、正本という問題に関して、若干気になります。

P15:1つ目の○の中の、2つ目の黒ポツ
・検討段階で当面の間のみ保存しておく文書を入れておくフォルダには、1年未満保存のメタデータを付与し、1年を経過する前のタイミングで、削除するか、1年以上保存の適切な行政文書ファイル内で継続保存するかを選択するようにする。

 これも、恣意的な運用がなされないか、若干気になりますし、「1年を経過する前のタイミング」って、つまり年度末ってことですが、そのタイミングで文書の保存、削除の判断をする時間があるかどうか。自分的には、その時期にはこんなことやっている暇は無いですが。

P17
○ RSが廃棄と確定された文書について、保存期間満了日の約1年半前になれば、該当文書について廃棄か延長かの選択を行うことが求められる。廃棄を選択した場合には、システム内で廃棄協議の事前審査を行う手続に移る。

 1年半前って、ずいぶん中途半端な時期ですし、年度途中のタイミングで、以前の文書のことまでやっている時間があるのでしょうか?

P18
○ 一方、OCRで読み取った場合は、データとして扱えるものの、文字の読み取り誤りが生じ得るものであり、元の文書との同一性が担保されない(担当者が転記した文書と同じ)。OCRで読み取った上で、元の紙媒体の文書を廃棄することとしてよいかは、業務・文書の性質・内容や、元の文書との同一性の確認の必要性とそのための方策(例:重要な数字部分を読み合わせる、半年間は紙を保存しておく)等を踏まえて、各行政機関において判断すべきものである。

 日本語OCRはまだまだ十分ではありませんから、それに関する配慮がなされているのは評価できますが、元の紙媒体文書の廃棄の判断は各行政機関でやるのではなく、統一ルールが望ましいですね。

P19~20:<正本・原本について>

 これに関しては、この資料での取り扱いが十分ではないので、「資料3-3 デジタル時代の公文書管理について(参考資料)」P40を見てみますと、以下のようになっています。

○ デジタルについては複製が容易である。「原本」そのものを管理しようとする場合にコストがかかる場合もあり、特定が困難な場合がある。他の法令の規定により「原本」が必要であれば、適切に管理する必要があるものの、公⽂書管理法が求める意思決定や事務・事業の合理的な跡付け・検証という観点からは、「正本」で⾜りるという考えでよい。
○ ⼀⽅で、「正本」が権限ある⾏政機関で管理されている⽂書とすれば、公⽂書管理については、各⾏政機関の⻑の下で、各⽂書管理者が⼀義的な責任を有しているため、正本を管理するという概念はトートロジーであり、どの電⼦媒体が正本かを特定する必要性もない。
○ なお、⾏政⽂書の保存期間、扱い等を考える上で、「写し」(⽂書の主管部局が管理している⾏政⽂書の複製物)という概念は有⽤であり、その反対概念として「正本」(⽂書の主管部局が管理している⾏政⽂書)という⽤語を⽤いることはあり得る。

 これで大丈夫なんでしょうか?原本性の問題は、裁判等で証拠資料として用いる際に問題となるわけで、かつてマイクロフィルムも原本性が問題となったことがありましたが(これはマイクロフィルムに原本性があるとの判断が明確になったことで、マイクロフィルムが行政に広まったということがあります)、現状においてデジタルデータの原本性は、はっきりしていないと思います。
 また、「公⽂書管理については、各⾏政機関の⻑の下で、各⽂書管理者が⼀義的な責任を有しているため、正本を管理するという概念はトートロジー」って、そうじゃないから、森友・加計問題や桜の会の問題などが起こり、今日かつてないほど公文書が注目を集めることになったのではないのでしょうか?

 「デジタルを活用した確実かつ効率的な公文書管理」は、今後数年間かけて進んでいくわけですが、今回の報告を見る限り、上記以外にも、かなり危うい問題が潜んでるように感じます。行政の概念って、一般国民の感覚とやや違う部分があるので、今後もこの問題には注目していく必要があります。