続・人間老いやすく、学成りがたし

2021/07/15

西日本豪雨災害で文化財や文書等を残す活動をまとめた資料のPDF、無料公開

 2018年7月に発生した西日本豪雨災害で活動した団体・ボランティアチームの活動の記録で、『残す。西日本豪雨災害 私たちは真備に何を残そうとしたのか』という資料ですが、これが無料で公開されました。👏👏👏👏👏

 2021年1月30日に発行されていたもので、被災した公文書、文化財、歴史資料など、とにかくいろいろなものをレスキューして残し、伝えるための関係者の努力が詰まっています。オールカラーページで、具体的にレスキュー方法が写真つきで説明されています。A4版で126ページもありますので、全部読み込むのがかなり大変ですが、大変参考になりますし、これ自体が貴重な記録財産です。

 近年の気象状況ですと、国内すべてが明日は我が身でもおかしくないような状況です。実際に被災しては困りますが、万が一被災してしまった際の対策方法は知っておいて損はありません。各自治体の関係部局の人たちには、ぜひダウンロードして、目を通しておいて欲しいです。

2021/07/14

育児マンガって、教育と無関係?

  以前から話題となってますので、御存じの方も多いと思いますが、東京都立高校の先生が、御自身の育児体験のマンガを出版しようと兼業申請を提出したところ、不許可にされたので、これに対する取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が今日7月14日に行われたとのニュースが朝日新聞に出ていました。

 申請されたのは、「教育に関する」兼業の申請書ではなく「営利企業などに従事する」場合の兼業の申請書で許可できないと判断したと、都は答弁書で指摘しており、これが仮に「教育に関する」兼業の申請であっても、「育児の経験を漫画で表す執筆業務は、教育に関する事業には当たらない」と指摘し、「教育に関する」兼業の申請でも認められないとしているとのことですが、「育児マンガ」って教育とは無関係ですか??

 小学生向けとかで、歴史マンガとか、理科関係のマンガとかいろいろありますよね。自分もそうでしたが、そこから興味を持って、いろいろな書籍を読むようになったという経験を持っている人って多いんじゃないかと思うのですが。あるいは、子どもに興味を持たせるために、マンガを利用している先生もいらっしゃるんじゃないかと思います。ですから、マンガって教材としてかなり利用できるものですので、マンガであることは問題はないでしょう。

 育児に関しても、かなり前から家庭科は男女とも勉強するようになり、当然育児についても勉強するわけです。その際に、育児マンガって教材として使えるはずですよね。ましてや、この先生、パパ頭さんのマンガをご覧になられたことのある方はお分かりと思いますが、お子さんがウサギ?っぽいキャラクターで描かれていて、大変可愛らしいマンガで、子どもの可愛らしさがすごくよく出ている、たぶん「パパ頭」さんが、本当にきちんと育児をされていて、お子さんのことをよく観察しているからこのようなマンガを書けるんだと思うのですが、個人的に「パパ頭」さんの育児マンガって、十分に教育的だと思います。また、ブログの記事を拝見する限り、先生としてもかなり優秀な方なのではないかと思いますし、生徒さんたちにも人気のある先生なんじゃないかと思うのです。能力があるからこそ、育児マンガとかも書けるのでしょうね。

 こんなご時世ですから、教員を始めとした公務員も、能力があって、副業ができる人はしても良いのではないかと思うのですが。どうも、日本は人材を活用するのがうまくないですね。「出る杭」に見えるのでしょうか?能力があって、それを活かせるところがあるのなら、むしろ積極的にやらせるべきです。この裁判、最後まで目が離せないです(まぁ、おそらく、マスコミも最後まで追うでしょうけど)。

2021/07/13

令和3年版防衛白書

  今年の『防衛白書』が公表されました。

 内容の点では、台湾情勢について明記してあって中国から抗議があったとか、竹島の件で韓国から抗議があったとかニュースで流れていますが、コロナ禍で国民が苦しんでいる中で、防衛力を強化するって、どうなんでしょう。「イージス・アショア」の問題もあったのに。外国がミサイルを増やしたから日本もというのでは、ただのイタチごっこなだけで、お金を回すのはそっちではないと思うのですが。外敵から国民を守るのが防衛ならば、コロナウイルスという外敵に対してとか、近年多発している自然災害に対する対策とかの方がより重要です。ミサイルや戦闘機ではコロナウイルスはやっつけられませんし、大雨には勝てません。コロナウイルスという外敵が国内に侵入し、国民が生命の危機にさらされ、死者が出ているという国難のなか、オリンピックというお祭りを優先するような政府ですから、期待するだけムダなんですけどね。

 表紙の騎馬武者の絵、インパクトありますよね。おまけに墨絵なので、迫力があります。去年なんて、これって防衛白書って?感じのピンクの表紙でしたが、今年の表紙は気合の入り方が違うって感じがするんですけど、何かあるんでしょうか。むしろそっちが不安になります。

2021/07/12

法隆寺金堂がVRですべて見れます!

  7月14日(水)から東京国立博物館の東洋館のミュージアムシアターで、法隆寺の国宝「金堂」のすべてが納められたVR作品「法隆寺 国宝 金堂―聖徳太子のこころ」が上演されます。

 凸版印刷が制作したものですが、法隆寺の金堂は金網が貼られていて、近くに行って見ることができないわけですが、このVR作品では金堂内部に安置されている仏像や壁画を含め、金堂のすべてが高精細にVR化されているようですので、普段見ることができない細部まで、鑑賞できるということだと思います。かなり期待できる作品になっていると思います。

 何故そう言えるのかというと、実は日曜日の7月11日で終わってしまったのですが、「鳥獣戯画 超入門!」というVR作品が、オンラインで見ることができておりまして、これが良かったんですよ。「鳥獣戯画」って、学校の教科書や副教材とかで見たことがあると思うのですが、ウサギやカエルが相撲を取っていたりする絵巻物で、アニメーションのはしり的な感じで、大変コミカルで面白いんですが、VRだとウサギやカエルが動いて、まさにアニメーションなんです。

 「法隆寺 国宝 金堂―聖徳太子のこころ」は、2021年10月10日(日)までで、事前予約が必要のようで、詳細は前述のリンク先で確認してください。緊急事態宣言下で、おまけにオリパラもあって、地方の人間が東京へ行くのは厳しいですが、公開期間中に状況が改善されたら、ぜひ行きたいものです。できれば、「鳥獣戯画 超入門!」みたいに、オンラインで公開してくれないかなぁ。

2021/07/11

朗報!文科省、教員免許更新制廃止へ来年の法改正目指す

  昨日7月10日の21時過ぎに、毎日新聞がスクープした内容ですが、今日、他社からもニュースが配信されているところを見ると、検討しているということは間違いないようですね。

 これは、全国の小中高の先生方にとって、間違いなく朗報ですね。私は更新講習を受けたことが無いのですが、知り合いの先生に聞いたところによると、夏休みに近隣の大学に行って、講義を受けなければならず、希望する授業が必ずしも近隣の大学で開講されているとは限らず、中にはわざわざ他の県にまで行った先生もいるとか。講習費用が3万円かかり、これは自己負担で、さらに当然ながら講習を受ける大学までの交通費は自腹ですから、かなりの金額がかかることになります。「これで10年間仕事ができると考えれば高くない」という声も聞いたことがありますが、やはり多くはかなり痛いと感じるでしょうから、これが無くなるということは、大変良いことでしょう。お金のことだけではなく、時間的負担も精神的負担も無くなるということですから、大変喜ばしいことです。

 講習を担当している大学側の、初期のころの声も聞いたことがありますが、その際には「講習は新たな負担」との声がありました(ある程度年数が経てば形式が整うので、近年は大学側はそれほど負担ではないかもしれませんが)。

 「来年の通常国会に関連法案を提出する」ということのようですので、早ければ、来年度の講習は無くなるかもしれません。少なくとも、再来年度に期限が来る方は講習を受けなくてすむということです。

 更新制を廃止して、従来通り免許が無期限になる代わりに、教育委員会による研修を強化する方向のようですが(その分、教育委員会の研修担当者の負担が増えてしまいますが)、それでも、SNSでは歓迎のコメントが多いように見受けられます。個人的にも、来年になって「更新制が廃止された」というニュースを聞くのが楽しみです。

2021/07/10

各地域に一定程度の大卒者は、やはり必要だった!

  7/8日に公表された「中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会(第3回)」の会議資料の中に、資料の6として「コロナ休校時における教育委員会の 対応―地域差と階層差に注目して」と題した、東京大学大学院教授 中村高康先生・早稲田大学准教授 松岡亮二先生・オックスフォード大学教授 苅谷剛彦先生らによる調査報告資料があります。

 「全都道府県、市区町村教委」、「義務教育学校を含む小学校4,030校、中学校4,006校」、「学校調査対象のうち小学校400校の小学5年生、中学校360校の中学2年生(各学校原則1クラス対象)」、「その児童生徒の保護者」を対象に今年1~3月に調査を行い、「41都道府県と1009市区町村教委」、「小学校3,190校、中学校3,084校」、「小学生9,053件、中学生9,081件(学校数ベースでは小学校373校、中学校335校)」、「小学生保護者8,712件、中学生保護者8,715件」が回答したデータを分析した、速報値ということですが、その結果がかなり興味深いのです。資料の一番最後にまとめられている調査結果は以下の通りです。

• 教育委員会のコロナ休校時の対応には、内容の強弱があり、しかも地域差がある。

• 教育委員会のコロナ休校時の対応には、当該地域の大卒割合が関連している可能性がある。

• その背景には、保護者の教育への関心・関与の階層差・学校差がある可能性が高い。

• 実際、コロナ休校時の保護者の関心・関与には明確な階層差・学校差がある。

➡公立中心の小学校でも、コロナに限らず様々な面で社会経済的格差に留意が必要。(中学校についても、データは同じ傾向なので同様)

➡保護者の関心・関与(ニーズ)に合わせて「できるところからやる」対応は、社会的に恵まれた地域を結果的に優先することになる可能性がある点に留意が必要。

➡地域間・学校間の社会経済的な格差は、教育委員会ガバナンスの議論の前提にすべき。

 ある意味、納得できる結果なのですが、地域によって学力差があることは、自分の少ない教員経験からも実感していました。義務教育ですので、本当はこれではいけないのでしょうが、差があることは事実ですし、その原因の1つに地域の大卒割合が影響している可能性があるということも、おそらく当たっているのだと思います。地域の住民に多様性があることは、その地域がいろいろな可能性を持っているという点では重要ですが、その中に一定程度の大卒者が混ざっていることは必要なことだと言えるのではないかと思います。その意味では、7月8日のブログでも述べたように、一定程度の大卒者が社会に存在している状態にあることは必要ですし、そのためには大学入試に関する検討は大切なのです。また、7月1日のブログに書いたように、今までよりも国による教育への投資が必要になるのです。


2021/07/09

令和3年7月9日の文部科学大臣記者会見について

  今日7月9日の記者会見で、昨日コメントした「大学入試のあり方に関する検討会議による提言」のことが一番最初に話題にのぼりました。このことに関しては、昨日のブログをご覧ください。

 今日コメントするのは、4つ目の話題となった緊急事態宣言下における部活動の大会や修学旅行の実施についてです。夕方のニュースでも取り上げられていたようですが、要約しますと、

中高生の部活動や全国大会などはできる限り予定通り行って欲しい」

部活動の大会や練習は適切な感染防止策を講じたうえで、できる限り続けられるようにしてほしい」

「(県をまたいだ移動に際しては)電車などを使わずに、貸切バスなどでの移動を求めていきたい。そのための財政的な支援も考えたい」

と、言うことなんですが、これは賛否両論ありそうです。

 賛成する意見としては、オリンピックを開催するのだから、「子どもたちのことを考えれば、通常通りの活動は当たり前」ということでしょう。これまで、運動会や文化祭などの活動を制限した学校が多かったと思いますので、普段通りにさせてあげたいという先生方の思いは強いと思います。

 一方、「オリンピックを開催するのだから、部活動くらいやって当然」という皮肉的な意見や、「緊急事態宣言を出しているのに、普通にやれとはどういうことか」といった意見、「#教師のバトン」でも話題の1つになっている「部活動に従事する教員に手当を!」という意見がありそうです。特に今回は、大臣が移動手段に対して財政支援を検討したいと発言しましたので、だったら教員の手当てを出してくれ!!という意見は多いのではないかと思いますが、おそらく部活動手当の増額などは、残念ながら行われないでしょう。何せ、文部科学省は弱小省庁ですので、そこまで力がないでしょう。7月7日のブログで書いたように、部活動は学校から切り離す方向で検討すべきだと思います。

2021/07/08

「大学入試英語成績提供システム」及び大学入学共通テストにおける記述式問題の導入見送りを提言

  今日7月8日、「大学入試のあり方に関する検討会議」(座長:三島良直 国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長、東京工業大学名誉教授・前学長)において、提言が取りまとめられ、公表されました。

 今までにも既に報道に出ていましたが、今回の提言で、英語民間試験活用と記述式問題導入を正式に断念し、各大学の個別入試で推進するよう求めています。

提言には、「大学入学者選抜に求められる原則」 として、

原則①:当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性等の判定 

原則②:受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保(形式的公平性の確保)

原則③:高等学校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施(高大の円滑な接続)

の3つを掲げ、例えば「大学入試英語成績提供システム」の導入に関わっては、

地理的・経済的事情や障害のある受験者への配慮が不十分であるとの指摘や、目的や内容の異なる資格・検定試験を大学入学共通テストの枠組みで活用することへの懸念の指摘があったことは、原則②(受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保)との関係で課題が大きかったと言える。」と述べられ、

また、「大学入試英語成績提供システム」において、「英語資格・検定試験の日程、会場、各大学の活用予定等に関する情報提供に遅れが生じたことなどは、原則③(高校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施)における「入学志願者への教育上の配慮」の観点で課題が大きかった。」とされています。

 どちらにしても、受験生に対する配慮が足りなかったわけですが、大学入試を改革するのならば(必ずしも改革しなければいけないとは思いませんが)、新しい学習指導要領の成果がどのように出るのかも見る必要がありますから、改革が必要か否かの議論をするにも本来はもっと時間をかけるべきです。

 今後、子どもの数が減っていくのですから、ある程度の学力レベルならば入学を認めて、大学に入ってから鍛えるというのも1つの方法だと思います。やはり大学ではないと学べないことも多いですし、一定程度の大卒者が社会に存在しなければ、諸外国との関係が保てない可能性もありますから。

2021/07/07

日本の教員の院卒比率は、世界で最低レベル!

  『ニューズウィーク日本版』のホームページに出ている今日(7/7付け)の記事ですが、これは改めて言われなくても、多くの人はだいたい分かっている話だと思います。確かに、2012年の中央教育審議会の答申で、教員の資格要件を大学院卒に引き上げようという案が示されましたが、当時からこれは難しいだろうという意見が多かったように思います。自分が学校現場にいたころ、高校ですら院卒者は比較的若い人で数人(2~3人?)程度だったように記憶しています。大学院に行って、規定の教職課程を修了すれば専修免許になるわけですが、そもそも専修だろうが、1種だろうが(さすがに最近は2種ってことはほとんどないと思いますが)、教員としてやることに違いがあるわけではないですし、専修免許を取るためには、大学院を修了するために必要な単位以外に授業を余分に取らないといけないわけで、あえて大学院に行って専修免許になる理由が見いだせないのですから、多くの人が進んでそうなろうとは思わないだろうと思います。

 記事では「日本の教員は就職後、膨大な業務に忙殺され、学び続けることができないでいる。」、「学び続けるための条件は「ゆとり」だ。」と言われていますが、違うような気がします。確かに忙しいのは事実でしょうが、教員を教えることに秀でた高度専門職にする、院卒者、専修免許保持者を増やしたいならば、学校自体を学びに特化した場所にするべきなのではないでしょうか。授業以外のものがあるから忙しいといった部分があるように思います。中でも中学、高校では部活動がかなりのウエイトを占めているように感じています。部活動自体が悪いのではなく、学校の中でやる必要はない、教員が面倒を見る必要はないと思います。部活動におけるスポーツや文化・芸術活動で、それをきちんと指導できる教員はごくわずかで、ほとんどは素人ながら、苦労してやっている人が多いのではないかと思います。それよりは、部活動を学校から切り離し、社会スポーツ、社会教育に任せてしまい、プロに指導してもらう方が良いのではないでしょうか。文科省でも検討しているようですが、6月25日に、経済産業省の方で提言が出ています(地域×スポーツクラブ産業研究会の第1次提言)。今後、どういう方向性になるのか、注目していきたいと思います。

2021/07/06

災害現場でドローン大活躍!

  7月3日に発生した熱海の土石流で、大変大きな被害が発生し、またその他静岡県内の多くの地域でも多数の被害が出たことに関しまして、お見舞い申します。

 3日のニュースを見ていて、菅首相が、大雨に関する関係閣僚会議後、記者団に語ったコメントの中に、「気象条件(悪化)のためにヘリやドローンが飛ばせない状況だ。」というものがあったのですが、雨さえ止めば、むしろドローンを使えば状況を把握できるはずだと思っていたのですが、4日のニュースでは、3日夕方に静岡県がドローンで撮影した土石流の発生現場付近の映像が流れていました(「あれっ、菅さんの言っていたことと違うじゃん。都議選のことに気を取られて、初動がダメじゃん」って思いましたよ、もちろん)。

 さらに、今日6日には、ドローンで撮影した映像と地図を1枚に組み合わせた画像が公表されました。これはすごいですね。今はここまでできるんですね。昨今の気象状況を考えれば、日本国内どこでも災害が発生する可能性は高いですし、木の値段が安く利用価値が下がっているため、木を利用する以外の目的で行われる山林開発は全国で行われているわけですから、ドローンを使ったこのような技術は、今後も役に立つと思われますので(本当は災害が起こらず、このようなドローン技術が役立たない方が良いのですが)、初動対応さえ誤らなければ、今までとは違う対策がとれるのではないでしょうか。


2021/07/05

表現者クライテリオン2021年7月号読了

  今まで読んことがなかった雑誌なのですが、前回の2021年5月号で、「[座談会]知識人は「ポリコレ」にどう向き合うべきか――「保守」と「リベラル」の対話を通じて/東浩紀×辻田真佐憲×藤井聡×浜崎洋介」に興味を惹かれて購入したのです。と言うのも、自分はリベラルとは言わないまでも、どちらかと言とそちらに惹かれていたのですが、このコロナ禍における政府や自民党、野党の動きを見るにつけ、リベラルでは力が足りず、保守から何とかしないとダメなんじゃないかと思い始めていたので、東氏や辻田氏を交えて保守の雑誌で行われる座談会って、どんな感じなんだろうと思ったからですが、これが良かったんですよ。何がって、東氏や辻田氏と対談をしている藤井氏や浜崎氏の発言が、ややリベラル寄りだと思っていた自分の思いとあまり変わらないということが分かったからです。つまり、自分はややリベラル寄りだと思っていたんですが、もしかするとやや保守に寄ってきているようで、『表現者クライテリオン』で語られている考えは、すべてではないにしても、共感できるものがあるということに気が付いたのです。

 「「コロナ依存症」に陥った日本社会をどう癒すか――過剰自粛、ポリコレ、ポスト・トゥルースの時代を超えて」と題した與那覇潤氏のインタビュー記事も秀逸です。近代史研究者として、與那覇氏が病気になる前からその見識に注目していて、復帰後の著作も読んでいますが、與那覇氏の理論的な話は納得しています。

 2021年5月号が結構満足でしたので、今回もと言う感じで手にした2021年7月号だったのですが、特集1の「孫子のための「財政論」 中央銀行の政治学」の中の、浅田統一郎氏と藤井聡氏の対談「ケインズ革命を加速せよ!―中央銀行のプラグマティズム」は良かったです。特に浅田氏の話が分かりやすくて、これなら高校の現代社会か政治・経済の授業で読ませても良いのではないかと思います。

 特集2の「コロナがもたらす教育破壊」の中の、宮台真司氏と藤井聡氏の対談「「若者の未来」は守れるのか?――社会学からの処方箋」は、もっと良かった。「戦後、特にここ40年間で、国民全体が共有する認識が崩壊した」と言う認識は、歴史学の方でもフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」などがあるわけですが(個人的には「大きな物語」を失ったこいとで、歴史学は細分化してしまい、以前の立ち位置に戻れていないように感じているのですが)、「共通前提を復活させないと、日本は復活できない」という課題をどうするのかに対する答えが見いだせないでいるわけです。宮台氏と藤井氏の言う「パルチザンと連合軍のタッグ」で、果たして何とかなるのかは、ちょっと疑問ですが、それでも少なくとも何から始めれば良いのか、その方向を示しているわけで、いくらか希望が持てるわけです。

 この調子だと、次号以降もしばらく購入するだろうなぁ。




 

2021/07/04

掛川市「松ヶ岡」の、建築の技に関する公開講座申込み受付中!

  静岡文化芸術大学が8/3から無料配信する、掛川市の市指定文化財「旧山崎家住宅」、通称「松ヶ岡」の保存活用工事に関する公開講座の申込みが始まっています。

 講座は、「松ヶ岡」の保存活用工事で設計監理を担当している京都伝統建築技術協会の浜野豪氏が講師の第1部、浜野豪氏と静岡文化芸術大学の先生らによるトークセッションが第2部となっています。

 「松ヶ岡」は令和2年9月から大規模な修復工事が行われていて、公開講座はこの工事での知見を知ることができるものだと思います。

 「松ヶ岡」に関しては、ホームページに詳しいのですが、山崎家は油を中心に、掛川の名産である葛布などを扱った商家で、掛川藩の御用商人となり、藩からは士分の待遇を受けていた豪商でした。

 近代になり、8代目となった山崎千三郎は、金融・交通・用水等の整備に活躍しました。岡田良一郎らとともに資産金貸付所の御用係となったり、掛川銀行の筆頭株主となったり、東海道線の誘致運動を行ったり、掛川馬車鉄道、掛川鉄道の設立にかかわったり、大井川疎水事業を県に建白するなど、掛川地域の発展に大きく貢献した人物です。

 「松ヶ岡」は大変広く、かなり立派な建物なので、直接現地に見学に行くのが良いとは思うのですが、保存活用工事の際には、解体・調査した上で修理していくわけですから、建物を見るだけでは分からないことが公開講座では知ることができるのだと思います。ですから、公開講座を受けてから、現地を見学した方が、「松ヶ岡」の魅力が、より一層理解できるのではないかと思います。ましてや公開講座は無料で受けられるので、申し込んでみてはいかがでしょうか(別に大学の回し者ではないですが…)。ちなみに私はもう申込みました。

2021/07/03

東京五輪の反対者は反日? 7月3日の毎日新聞より

  「安倍前首相「反日的な人が五輪開催に強く反対」 月刊誌の対談に

 上記のページが、無料で全文読めるようになっているので、これは「拡散してくれ」という無言のメッセージなのだと勝手に判断して、コメントします。

 安倍さんのこの発想はどこから来ているのでしょうか。いったい何を狙っているのか、理解に苦しみます。

 「敵を想定して、それを攻撃する」というやり方は、世界的に政治の世界でよく取り入れる常套手段ですが、その敵を自国民の中に想定するという、トランプ前大統領的な、国家を分断するような手法を、日本で使うのというのは、意味がよく分かりません。アメリカのように二大政党制の社会でならば、その効果はありますし理解できますし、トランプさんのようなポピュリズムなら意味が分かりますが、日本のような自民1強プラス多党制的な状況で、誰に向けたアピールなんでしょうか。安倍さんは現役の首相のころ、「民主党政権時代は悪夢」と称して自己の政策を正当化していましたが、これも国民はそれほど強くそんな風に思っていたとは思えませんので、国民向けにどれだけの効果があったのか(自民党の政治家には効果があったでしょうけど)

 安倍さんの発言は、少なくともそれに反発する人々が動くきっかけになっているので、ある意味話題になりますし、そうすることで存在感をアピールできます。今回もまさにそうですね。あっ、もしかして、最初から突飛なことを言って目立とうというのが狙いなのか?だとしたら、それに反応してこんなことを書いている自分は、まんまと安倍さんの策略にはめられた??


2021/07/02

大雨による土砂災害警戒情報レベル4発令!

  昨日7/1から雨が降り続いていますが、今朝、特に通勤時間帯の大雨で、土砂災害警戒情報が発令中です。県内各地の土砂災害警戒区には、避難指示が出ている地域が多いです。これは、5段階中にレベル4にあたります。

 ただし、夜間は暗くて、避難するのは逆に危険ですので、その場合は自宅内のできるだけ崖などから遠い場所に移動するようにしてください。

 この後も雨が降り続く予報ですので、河川の氾濫の危険もありますので、気象情報などをチェックして、2階建て以上のお宅は2階以上の移動しておくと良いかもしれません。

2021/07/01

教育にはお金がないと。

  6/29、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、「修士課程(6年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査(2020年度修了(卒業)者及び修了(卒業)予定者に関する報告)」を公開しています。昨年はCOVID-19の影響で、かなり特別かと思いましたが、報告を見ると、COVID-19だからというのはそれほど多くはないように感じました。

 この調査は、そもそも「修士課程修了者の進学率が、2000 年度の 16.7%以降、減少傾向にある」ということから行われたものですが、概要2、概要3ともにお金の話ですし、この調査の一番大事なポイントである、概要7の「博士課程進学ではなく就職を選択した理由」が、

「経済的に自立したい」(67.9%)
「社会に出て仕事がしたい」(62.3%)
「博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たない」(38.3%)
「博士課程に進学すると修了後の就職が心配である」(32.5%)
「博士課程の進学のコストに対して生涯賃金などのパフォーマンスが悪い」(30.6%)

という結果からもわかるように、結局、お金の問題ってことですね。
 そもそも、大学へ行くこと自体が、4年間でかなりのお金が必要です。それにプラスして大学院修士課程の2年間、博士課程の3年間(実際は3年間では済みませんが)で、さらにお金がかかります。それも、上へ行けば行くほど研究費として必要な額は増えていくのですから、大学院へ行くという選択は、修士課程でさえも、かなり頑張らないといけないわけです。ところが、概要7の5つ目の回答にあるように、日本では大学院修了があまり価値を持たない、会社に入っても、大学卒の人と給料に差が無いかあってもわずかで、仕事内容も院卒であることがあまり考慮されないことが多いのが現実で、大学院へ行った意味をあまり実感できないことが多いのではないかと思います。
 これは、日本の会社にあまり専門職が置かれないということとリンクしていると思います。日本の場合は、いわゆる総合職と称するゼネラリスト的なポジションが主流で、スペシャリストのルートがないか、あっても傍流で、出世しない(できない)ことが多いのではないかと思います。
 しかし、院卒者は調査研究能力を身につけているわけですから、問題解決のための方法や手段を見つけることができるはずですし、研究することを訓練してきているわけですから、新しい分野を学んで、知識を身につけることも可能なはずです。ところが、日本社会がそれを使いこなせていないのです。専門家を軽視する姿勢は、今回のコロナ禍でいやというほど見せつけられています。日本学術会議問題もしかりです。
 このような中では、親がそこそこ金持ちで、子どもが学びたいことをとことんまでやらしてもらえることにあまり苦労がない環境で、すぐに就職できなくても食べることには困らない、ごく一部の人だけが博士課程に進学するのみで、多くは行っても修士課程までということになるのは当たり前です。報告書にあるように、「博士課程進学者を増加できる効果的な政策としては、博士課程での給与支給や就職後の給与改善が求められている」わけで、実際には、博士課程以前、学部段階での教育費の改善が見込まれないと、博士課程までたどり着く人が少なくなるのも、当たり前なのです。この部分を問題視せずに、博士課程への進学のところだけでは、根本的な解決は望めないはずです。