続・人間老いやすく、学成りがたし

2021/10/03

「赤星直忠考古学研究資料デジタルアーカイブ」について

  神奈川県立歴史博物館が、『赤星直忠考古学研究資料』のデジタルアーカイブを公開しています。静岡県のことではありませんが、大変すばらしい取り組みで勉強になりましたので、コメントします。

 『赤星直忠考古学研究資料』は、大正〜昭和時代、神奈川県の三浦半島を中心に考古学・歴史学・民俗学等の調査を重ね、県域における文化財保護の黎明期を築いた赤星直忠のフィールドノートで、1922〜1952年に記された全6冊分です。

 文化財の観光利用が盛んになりつつありますが、この赤星資料のように、その文化財を調査した人物の資料は、その時代がわかるものとしてかなり意味がある資料ですから、このような形で公開されるのは、大変意義があることだと思いますし、利用価値もかなり高いと思います。

 資料画像はCC BY 4.0ですので、きちんと出典を明記すれば、自由に使うことができますが、このアーカイブがユニークなのは、「ご利用にあたって」の中に、「ご利用方法を教えていただけませんか?」と呼び掛けている点です。例えば、歴史公文書の評価選別の際、基本的には将来歴史資料として利用価値があるであろう文書を選別するわけですが、こちらが想像していなかった意図でその資料が利用されることがあります。もちろん、想定できる限りのことを考えて選別するわけですが限界もあるわけで、時に「なるほど~!」と思わせられる利用目的があったりします。そのような利用方法をいろいろ知ることは、今後の資料選別のための貴重な意見であり大変勉強になるのです。おそらく、アーカイブズに関わっている人はこのような声を欲しがっていると思います。その意味では、今後この「赤星アーカイブ」に寄せられた声も公開してくれるとありがたいですね。また、「デジタルアーカイブを一緒に育てよう!」と、手書き文章の書き起こし作業(翻刻)への参加を呼び掛けている点も、大変すばらしいことだと思います。これらのことは、さすが公文書館先進県の神奈川県だと思います。アーカイブズというものの意義、価値をよくわかっていないと、このような発想はなかなか出てこないと思います。つくづく静岡県は遅れているというか、全然ダメなのを、改めて感じさせられてしまいました。

2021/10/02

教員免許更新講習廃止までの経過措置の件

  8月に表明した、教員免許更新講習を来年の通常国会で必要な法改正をし、早ければ2023年度から廃止する方針の経過措置ついて、9月28日の記者会見で荻生田文科相が発表しました。

 現状では、廃止までに更新期限を迎える教員はこれまで通り2年間で30時間以上の講習を受ける必要があるのですが、対象教員の負担感を減らすため経過措置をとるということになりました。大臣の会見での発言は以下のとおり。

 新制度の施行までの間に免許状更新講習を受講する教師の負担感を軽減するため、教師本人のニーズに沿った講習をいつでもどこでも受講できる環境の構築に向けた方策を講じていきたいと考えています。具体的には、独立行政法人教職員支援機構が、教師本人のニーズに合った講習を負担なく全国から探し当てることができる一元的な情報提供サイトを作成するとともに、全国の大学から実績あるオンデマンド講習を募り、同サイトで重点的に情報提供することを検討してまいります。また、「教師の個別最適な学び」の促進が求められていることも踏まえ、免許状更新講習について、必修・選択必修・選択という領域を来年度から撤廃をし、教師本人のニーズに合った受講を可能とする省令改正に取り組んでまいります。

 この報道を見て、おそらく現場の先生は「何故、即廃止にしない!!」との意見が多いことでしょう。私も正直そう思います。あるいは、「この経過措置、そのまま新しい研修制度ってことにならないか?」という意見も出ていることでしょう。この不安も同感です。

 自由に講習を選べるようにできるのならば、これまで強制してきたのは何だったのか。オンデマンド講習の受講で用が足りるのならば、わざわざ大学に出かけて受講したのは何の意味があったのか。また、オンデマンド講習で良いのならば、何故文科省がその案内をして、教員の負担軽減をしなかったのか。廃止になるものをたまたまこの数年間の間に対象になる教員にだけ、経過措置とは言え負担を強いるという、ハズレくじ感この上ない対応は何なのか。何ともすっきりしないですね。

 中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第4回)・教員免許更新制小委員会(第6回)合同会議資料のうち、資料1-2 「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ案)【第5回教員免許更新制小委員会からの修正履歴付き版】を見ると、現場の実態がいまいち理解できていないのではないかと思ってしまうような内容が散見されます。「#教師のバトン」で、あれだけいろいろと切実な声が上がっていたのに、文科省はそれはそれって感じでなんでしょうか(パブコメと同じで、ポーズとして「御意見は承りました」という、役所ではよくあることではありますが)。

 昨日のさいたま地裁の残業代の裁判の件もそうですが、教員は何でこんなに虐げられなくてはならないのでしょうか。未来を担う子どもたちを指導するという、もっとも重要な仕事をしているのに(ただおそらく世間ではそう思っていないので現状のような状況になってしまっているのでしょうが)。このままどんどん教員になる人が減り、その穴をとりあえず埋めるという状況を続けていけば、おそらく日本の水準はどんどん下がるでしょう。そうなって慌てても、後の祭りです。少子化の問題だって、そもそも国や企業が子どもの数を減らす運動をし、その成果が出たら、今度はそれが現在問題視されているのですから。見通しが甘いのと、途中での軌道修正が下手なんですよ。責任を取りたくないので、誰も今動いているものをなかなかやめようとせず、代案を出して変えた風にしてお茶を濁すだけなんですよね、日本社会って。

2021/10/01

静岡県立中央図書館の図書館DX実証実験第2弾、第3弾

  今日10月1日から、静岡県立中央図書館では、図書館DX実証実験第2弾の利用者登録等Web申込、第3弾の「電子図書館サービス」が始まりました。

 第2弾の利用者登録等Web申込は、新規利用者登録及び再発行ができるとのことですが、これで申し込んだ場合、現物の貸出カードの発行はされないそうです。マイライブラリーの「利用者メニュー」内に出てくるバーコードが貸出カードになるので現物は不要ですが、もし現物の貸出カードが欲しい場合は、来館して再発行手続きが必要なんだそうです。

 第3弾の「電子図書館サービス」は、紀伊國屋書店「KinoDen」で、提供冊数は500冊です。利用には事前に利用者登録が必要なので、第2弾とセットということですね。1冊あたりアクセスできるのが一人、といった閲覧システムで、貸出期間、貸出冊数などの制限はないとのことです。

 第1弾の貸出カードのスマホ表示は正直微妙でしたが、この第2弾、第3弾ならば、図書館に行かなくても利用できるので、DXっぽいですね。ただ、電子図書館サービスの提供冊数が500冊というのは、徐々に増えていくのかもしれませんが、ちょっと少ないですね。

 静岡県立中央図書館は、デジタルライブラリーで、葵文庫の江戸幕府旧蔵書が見れたりするので、かなり頑張っているとは思うのですが、DX実証実験の方は確かに実験という感じです。まだあるんでしょうか?もう少し本格的な図書館DXを期待したいですね。

2021/09/30

「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」に関する全国調査 2020

  9月24日に、NPOブックスタートが、「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」に関する全国調査2020の結果を発表しています。

 日本でのブックスタートが開始から20周年を迎えたことを機に行われた全国調査とのことですが、全国の78.6%にあたる1,368市区町村で、赤ちゃんへの絵本贈呈事業が実施されているということです。

 ブックスタートって、最近ではごく普通の言葉になっていると思うのですが、逆に言うとわずか20年前に始まった事業なんですね。当たり前すぎて、もっと昔からあるのかと思ってました。

 そういえば、ウチの子どもももらいました。上の子が今年18なんですが、確か「はらぺこあおむし」だったと思うのですが、その絵本、ちゃんと家にあります。最初の子の時は、私もちゃんといろいろな行事に、妻と一緒にできるだけ参加していましたので、絵本をもらった時も、保健センターだかのブックスタートの読み聞かせ会に一緒に行ったような記憶があります。まぁ、かなり記憶が怪しいですが…。

 この事業は、ぜひ全国の100%の市区町村で実施してもらいたいですし、今後も続けていって欲しいですね。次は、孫の時に、じいちゃんとして付き添ってみたいですね。ジャマかな?

2021/09/29

「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」の公表

  千葉県立図書館の「共通のお知らせ」欄に、今日9月29日に出たのですが、実際の公表は21日でしたが、見落としていました。

 何故、千葉県のことを取り上げるのかというと、千葉県は2017年に歴史公文書の誤廃棄があって(実際の現物廃棄は2016年3月で、公表されたのが2017年4月)、大騒ぎになり、その後専門職員を採用したという経緯があり、つい先日にも公文書館に関するシンポジウムで千葉県の話題があったばかりですし、誤廃棄の問題は他人ごとではなく、いつ他のところで起こってもおかしくない昨今ですから、今回の新しい文書館(図書館との複合館)計画は、関係者にとっては注目されることなのです(誤廃棄の詳細については、宮間 純一「千葉県文書館収蔵公文書の廃棄・移動をめぐる問題に関する報告」『アーカイブズ学研究 』No.26 (2017.6)。

 「新千葉県立図書館・県文書館複合施設整備計画」を見ると、新施設は、県立中央博物館のある県立青葉の森公園内に作られて、まさにMLA連携のスタイルをとるようですね。千葉県に関する文化情報資源が一か所にまとまるというのは、利用者にとっては大変便利ですので良いのですが、最寄駅の京成千原線千葉寺駅から徒歩約20分って、実際の現場を知らないので何とも言えないですが、結構歩きませんか?千葉駅からだと、千葉中央まで歩いて、そこから京成千原線で2駅のようですので、この部分はそれほど遠くはないと思いますが(そもそも広い土地が街の中にあるわけがないですから)。ただ、これは大した問題ではないです。

 一番気になったのが、収容能力で、文書館書庫が50万冊(図書館書庫は205万冊)、面積は公文書書庫が750㎡(集密書架(延長 7,483m)を設置できる前室付の書庫)、古文書書庫が770㎡(集密書架(延長 7,705m)を設置できる前室付の書庫)となっています。現行の文書館の収容能力25万冊に比べれば倍にはなっていますが、これは何年でいっぱいになる計算なんでしょうか。そもそも先の誤廃棄問題は、保管場所の狭隘が発端だと聞いていますので、このスペースではそれほど経たないうちにいっぱいになりそうな気がします。歴史公文書は永久保存のものですし、公文書が発生する限り増え続けます。おそらく公文書のデジタル化を考えて、紙文書は今度増えないとの考えもあるかと思いますが、保存の観点では現状デジタルは完璧ではありません。保存を考えるならば、現状は紙に勝るものはありませんから、本当に紙で残さなくても大丈夫なのかは、まだはっきり分からないのが現状です。

 同じことは図書館にも言えることで、今後電子書籍を増やそうという動きですが、これも紙の本は無くても良いのか。個人的に本を読むのは電子ではダメですね。何が違うのか、科学的な理由はわかりませんが、PDFを含むパソコン等で読む文書は、なかなか頭に入って来ないというか、行を間違えてしまったり、紙の本とは感覚が違うんです。公文書だって、歴史公文書は歴史資料ですから、それを読み込む際には、たぶん紙の方が読みやすいと感じると思います。もしかするとデジタルネイティブならば、平気なのでしょうか?

2021/09/28

静岡と浜松が政令市である意味って、ある?

  昨日9月27日東洋経済ONLINEに、「政令市でも若者の流出が続く「静岡と浜松」の苦悩」というタイトルの記事がでていますが、そもそも静岡市と浜松市が政令市であることが何の意味があるのかよくわかりません。

 もともと政令市って簡単に言えば、戦後に人口が多い五大都市(京都市、大阪市、横浜市、神戸市、名古屋市)に、都道府県並みの権限を与えたものなわけですが、「人口が多い」ことが主な理由なわけです。1956年の指定当時、大阪市は254.7万人、名古屋市は133.7万人、京都市は120.4万人、横浜市は114.4万人、神戸市は97.9万人で唯一神戸市だけが100万人を超えていませんでしたが、実際、県でも100万人に満たないところはあったわけですから、このくらいの規模ならば都道府県に匹敵するというわけです。ですから、63年の北九州市(98.6万人)、72年の札幌市(101.0万人)、川崎市(97.3万人)までは良いですが、福岡市(86.2万人)を先例として、「人口100万以上、または、近い将来人口100万人を超える見込みの80万人以上の人口」としたあたりが、ややおかしくなってきたのではないでしょうか。72年と言えば、翌年のオイル・ショックで高度経済成長が終わる時期です。まだそれでもその後の広島市や仙台市、千葉市、さいたま市は見込みがあったのですが、静岡市は「近い将来100万人を超える見込みがない」かつ「80万人を下回る人口」という状況で移行したわけですから、何で政令市になったのかって感じですよね。ですから、上記の記事でいろいろ言われていますが、仕方がないですよ。浜松市も基本は同じですね。周辺都市をくっつけて無理やり政令市になったわけですから。

 政令市と言っても、どのみち財政上も、行政上も問題があるんですから、静岡や浜松と同じように背伸びして政令市になった都市はかえって厳しい現状にあるのではないでしょうか。「人口が多い」ことを理由に指定されていた、本来の都市だけを、改めて指定しなおすって、無しですかね?

2021/09/27

「仁徳天皇百舌鳥耳原中陵(大山古墳) 第1堤」調査

  今日9月27日に、「仁徳天皇百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)(大山古墳)第1堤における事前調査(第2回)」についての発表がありました。10月5日から調査が開始され、12月上旬まで行われるとのことです。

 平成30年に行った調査は、前方部に近い南側に3か所トレンチを入れたものでしたが、今回は、陵墓の東側に3か所のトレンチを入れる計画のようです。前回の調査では円筒埴輪や石敷きが見つかっていますが、今回は多少位置が違うので、別のものが発見されるかもしれません。

 調査目的が、適切な保全のための遺構・遺物の残存状況の確認とされています。宮内庁は「陵墓は皇室の祖先の墓であり、静安と尊厳の保持が最も重要」と言って部外者の立ち入りを厳しく制限し、発掘調査などもほとんど行っていないのですが、あれだけ大きな古墳なのですから、もっとあちらこちらにトレンチを入れて確認しないと、どこかどうなっているか分からないですし、本当にちゃんと保全をするのならば、むしろきちんと調査をして対策を考えるべきだと思いますが。まぁ、規模を拡大して調査をするとなると、かなりの予算がかかりますし、それをもとにさらに保全整備のための工事を行うとなれば、さらにお金がかかりますから、あえて大規模な調査をせずに、小出しにしているのかもしれません。ただ、少なくともこの古墳に関しては一応世界文化遺産なわけで、エジプトのピラミッドほどではなくとも、多少なりとも、科学的な成果があった方が、より文化遺産としての価値が高まるのではと思ったりするのですが…。

2021/09/26

10月1日(金)から「伊豆急カレンダー2022」を販売

  伊豆急行開業60周年記念で、10月1日(金)から「伊豆急カレンダー2022」の販売が開始されます。

 販売箇所は、
伊豆急行線有人駅
(南伊東駅・川奈駅・伊豆高原駅・伊豆熱川駅・伊豆稲取駅・河津駅・伊豆急下田駅)

インターネット販売(伊豆急グッズオンラインショップ「SHOP 129」)別途送料が必要
10/1 10時より販売開始となります。
ということです。

 これで、オッと思ったのが、このカレンダーに使われる表紙の写真(販売案内を告知するPDFの真ん中に写っている写真)です。車体の塗装をなくした8000系の「無ラッピング列車」なんですが、これ、まさに往年の東急ですよね。まぁ、この8000系はもともと東急の車両だったわけですから当たり前なんですけど、このピカピカな感じ、よくないですか?オールステンレス車ならではの輝きですよね。鉄道好きの人によっては、外見的に特に特徴もなく、平板を組み立てただけの真四角な車体で、飾り気がない8000系はおもしろくないかもしれませんが、昔の車両が好きな私にとってはたまらんのです。
 この8000系が何で飾りっけのない真四角な車体なのかというと、高度成長に伴う大量通勤需要を背景に1969年に登場したわけですが、来たる大量輸送時代を見越して大量に製造する見込みだったため、余分なコストはかけられないという事情があったためです。ただ中身はT形ワンハンドルマスコン、静止型インバータによる補助電源装置は、量産電車としては日本初採用であり、界磁チョッパ制御は世界初の搭載という最新鋭の技術が詰まっていました。こういう歴史的な理由があってその車両があることを知るのが楽しいのですが、こういうのは何鉄っていうんですかね?

 一部千三百二十円で、この表紙と同じ写真の非売品のクリアファイルがプレゼントされるとのことなので、これは買いかなと思っています。

2021/09/25

<浜松市文化財保存活用地域計画 国認定記念シンポジウム>

  昨日9月24日の中日新聞で、「文化財で地域振興を 「浜松の未来」テーマにシンポ」と記事になっていたのを読んで、23日は所用があって、一日バタバタしていたので、うっかり見忘れていたのに気が付きました。

 浜松市のシンポジウムの案内ページから、YouTubeへ飛んでみましたら、まだシンポジウムの動画がありましたので、今日見ることができました。いつまでアーカイブが残っているかわかりませんが。

 「文化財をどのように地域振興につなげるか」がテーマだったわけですが、京都府立大の宗田好史教授の指摘のように、「市民がどう関わり、参加していくかが大切」ということが、やはり一番ですね。どこの文化財も同じですが、もともとその土地に根付いたものですから、やはりその地域の人がその文化財にかかわって、残していく努力が、地域振興につながるということですね。改めて、勉強になりました。

2021/09/24

「都立中央図書館で学ぶ!はじめてのレポート・論文作成ガイド」の改訂版が公開

  中高生世代向けの「都立中央図書館で学ぶ!はじめてのレポート・論文作成ガイド」の改訂版が、東京都立中央図書館のホームページで公開されています。

 初版が2017年に出ていて、これがなかなか良かったのですが、デザインが新しくなって、テーマ設定や情報収集に役立つツールの特徴・検索のコツなどの解説が詳しくなっています。

 個人的意見ですが、おそらく、レポートや論文を実際に書くための方法については、普通の学校の先生が指導するよりは、図書館員が指導する方が良いのではないかと思います。先生だと、文章表現とかの指導になるのではないかと思うのですが、それではなかなか書けないわけで、実際に資料を知っている図書館員なら、情報収集のやり方を指導できるので、実践的なわけです。

 中学、高校時代に、このガイドをもとにしたようなレポートや論文を書くことができれば、大学に行っても、あまり困らないだろうと思います。新しい学習指導要領に沿った学びを実践するならば、このガイドを参考にしてレポートをまとめる訓練をすると良いですね。


2021/09/23

小学校の「教科担任制」の先行導入事例からの検討

 昨日9月22日の朝日新聞EduAに、2022年から開始される小学校の「教科担任制」について、先行して導入した茨城県と、お茶の水女子大学附属小学校について取材した記事が出ています。

 どちらの事例も、「中学校の教員免許を持つ専門性の高い教員」が授業を受け持つことが、メリットとしてとらえられているように思われます。しかし、実際に高い専門性を持っている中学校の先生って、どれほどいるのでしょうか。

 「教科担任制」が取り入れられるのは、英語・理科・算数・体育ですが、そもそも英語は従来中学校になってから学ぶものでしたから、中学校の英語の先生が小学校で教えること自体が、小学校にとってはワンランク上の学習になるのはわかります。算数も、中学校では数学となり、やはり小学校の算数よりは難易度の高いものになりますから、実際に専門性が高いかどうかにかかわらず、中学校で教えるものを小学校に持ち込めば、レベルが上がることは確かでしょう。体育は、正直言って、現状は小学校も中学校もあまり変わらないような気がします。専門性と言った場合、特定競技の専門性なのか、運動全般の知識や技能の高さ、身体的なものを考慮した保健体育的な専門性なのかによって、求められる専門性が若干違うような気がします。特定競技の専門性の高さを求める児童は、スポーツ少年団や特定競技の教室に通っていると思いますし、実際それを全ての児童に教える必要性は無いと思いますが…。専門性の高さが明確に違うのは理科でしょうね。

 でも、そもそも中学校と小学校の教員免許を両方とる場合、多くは教育学部だと思いますが、正直言って教育学部では他学部で学んだ人たちよりは専門性は劣ると思います。理学部数学科出身の人と教育学部数学専攻の人では明らかにレベルが違います。教育学部の英語専攻と外国語学部の英語学科も、もちろん体育や理科だってそうしょう。そう考えると、小学校と中学校の両方の免許を持つ教育学部出身の教員が小学校で教えても、それほど高い専門性は期待できないのではないでしょうか。教育学部以外出身で中学校の免許を持つ教員が小学校で教える感じにならないと高い専門性を持つ教員が教えていると言えないような気がするのですが。でもそうすると小学校の免許を持っていない可能性が高いですが。とにかく、その辺りの点を考慮する必要はあるのではないでしょうか。

2021/09/22

伊都国平原王墓出土の「重層ガラス連珠」について

  先週末9月18、19日に行われた日本文化財科学会第38回大会で報告された「福岡県平原1号墓出土の紺色重層ガラス連珠の再検討」の内容が、朝日新聞やNHKで取り上げられ、注目されています。

 福岡県糸島市にある、弥生時代後期から晩期の5つの墳丘墓を合わせた平原遺跡の中の1号墳は、伊都国の王墓と考えられているのですが、

1.副葬品の中に武器がほとんどないこと、
2.ネックレスやブレスレットなどの装身具(アクセサリー)が多いこと、
3.中国で女性が身につける「耳とう」といわれるイヤリングが副葬されていること、

から、この墓に埋葬されているのは女性、つまり女王だとされています。その副葬品の中の青い2層構造のガラス玉が複数つながった「重層ガラス連珠(れんじゅ)」の「成分が、モンゴルやカザフスタンで出土した類似品と一致した。」と報告されたので、話題になっているわけです。
 どの連珠もナトロンという塩類を使ったソーダガラスで、アンチモン、マンガンなどの微量成分を含んでおり、同じ場所で作られた可能性が高く、ナトロンを使ったガラスはローマ帝国の領域だった地中海沿岸が原産とみられ、当時のユーラシアの東西を結ぶ交易路の中でも、中央アジアからモンゴル高原を通る「草原の道(ステップ・ロード)」を通って伝わったのはないかとされています。
 平原1号墳は、弥生時代終末期(約1800年前)に造られたもので、今回の「重層ガラス連珠」以外にも、銅鏡40枚、鉄刀1本、ガラス製勾玉やメノウ製管玉などの玉類が多数発見されていて、銅鏡のなかには直径46.5cmの内行花文鏡(ないこうかもんきょう)が5枚あるのですが、これは日本最大の銅鏡であり、また、ひとつの墓から出土した銅鏡の枚数も弥生時代としては日本一という古墳です。これらの遺物は、伊都国歴史博物館で見ることができます。
 ちなみに、伊都国(いとこく)は、『魏志倭人伝』など中国の史書にみえる倭国内の国の一つで、松浦地方と想定される末廬国(まつらこく)から陸を東南に500里進んだ地に所在するとされる国で、「有千余戸 丗有王 皆統属女王國。郡使往来常所駐」、つまり「1000余戸の家があり、代々の王が居た。皆女王国に従属している。帯方郡(たいほうぐん)の使者が往来して、足を止める所である。」とされていることから、国際的な交流拠点の一つだったと考えられている場所です。今回の報告は、正にそれを裏付けたわけです。

2021/09/21

大学入学共通テストに「情報」って、必要?

  昨日9月20日の朝日新聞に、「大学入学共通テストに「情報」が初めて出題される2025年度入試で、全国で87大学が、共通テストか個別試験、または両方で課す意向を示した」との記事が出ていました。

 「情報」って、共通テストで出す必要あるんですかね?プログラミングやデータ分析などを学ぶ「情報I」が追加されるわけですが、現在の高校で「情報」で何を教えているか、ウチの子どもの話を聞く限りでは、テストになるようなことは教えていないように感じます。ましてや、パソコンを好きで頻繁に触っているような子と、日々スマホだけの子どもとでは、分かっている内容に雲泥の差があって、学校の授業でもかなり差が出ているようですし、そもそも教えている内容が、普段パソコンを使って仕事をしている人ならば、当たり前のことしか教えていない、教えることができないような状況にある学校が多いように思われます。それを、テストして、何がわかるのか、どう評価するというのか、かなり疑問に感じます。学校現場での指導の実態をよく調査した方が良いのではないかと思います。

 まぁ、情報系の学部ならば、それなりに意味があるかもしれませんが、共通テストで出題する必要はないですよね。個別試験で十分です。

2021/09/20

日本人集団の起源についての新しい研究成果が、「サイエンス・アドバンシズ」に掲載

  9月17日付けの「SCIENCE ADVANCES(サイエンス・アドバンシズ)」VOL. 7, NO. 38に、ゲノム解析による日本人集団の起源に関する研究論文「Ancient genomics reveals tripartite origins of Japanese populations」が掲載されました。

 1991年に東大名誉教授だった埴原和郎氏が唱えた「二重構造モデル」が従来は定説だったわけですが、今回の研究では縄文人と弥生人が混血したというだけではなく、古墳時代に北東アジア由来、東アジア由来の遺伝情報が加わったという話のようです。

 近年ゲノム分析による研究が進んでおり、今回の話よりも前に「二重構造モデル」を覆すような研究が既にいくつか出ていましたので(例えば、現代人は縄文人のゲノムを10%ほどしか受け継いでいないとか、古墳時代~飛鳥時代に、おそらく東北地方において、縄文系の人々と渡来系の人々の混血が生じているなど)、今回の研究も(データのサンプル数が少ないのが若干に気になりますが)、これらにプラスして「二重構造モデル」が破綻していることの裏付けになるでしょう。

 東の端にある島国ですから、西から人々が移動してくれば、現在の日本列島に行きつくわけですから、アジア各地から人々がやってきたということは、普通にあり得るわけで、それが科学的な裏付けを得たということですね。

 国際共同研究チームによるゲノム研究は、他にもいくつかのチームで研究されてますので、今後新たな研究成果が発表されることでしょう。

2021/09/19

デジタル参考書200冊以上が月額980円で読み放題に!

  スタディプラス株式会社が、学習管理サービス「Studyplus」で、学習参考書をはじめとする電子教材が使えるデジタル教材プラットフォーム「Studyplusブック」を2022年1月より提供を開始することを発表しています。

 「Studyplusブック」では、月額980円(税込)で参考書200冊以上が利用できる「Studyplusブック読み放題」、紙版の購入で電子版を提供する「Studyplusブックコード」という2つのサービスが提供されるとのことです。

 「Studyplusブック読み放題」の提携出版社は、2021年9月時点で、以下の18社だそうです。

株式会社アルク、株式会社旺文社、株式会社学研プラス、株式会社KADOKAWA、株式会社河合出版、株式会社かんき出版、株式会社京都書房、株式会社研究社、株式会社講談社、株式会社新興出版社啓林館、株式会社水王舎、株式会社スタディカンパニー、株式会社世界思想社教学社、株式会社Z会ソリューションズ、株式会社第一学習社、東京書籍株式会社、株式会社ブックマン社、株式会社山川出版社

 出版社名を見ると高校生を対象とした感じですが、おなじみの出版社もありますので、そこそこ使えるのではないでしょうか。

 「Studyplusブックコード」は、対象となる紙の参考書を購入すると、Studyplus上で利用できる電子版(Studyplusブック教材)が提供されるサービスだそうで、紙と電子版のハイブリッドは最近見かけるようになったスタイルですね。

 「Studyplusブックコード」の提携出版社は、2021年9月時点で、以下のとおりです。

株式会社京都書房、株式会社Z会ソリューションズ、株式会社第一学習社、株式会社山川出版社

 こちらは現時点ではやや弱いですが、2022年度はさらに提携出版社を拡大予定だそうです。

 このようなサービスを利用する場合には個人で契約するのではなく、そこの生徒が誰でも利用できるように学校単位で契約するべきです(現実はやはり個人単位になるんでしょうけど…)