先週末9月18、19日に行われた日本文化財科学会第38回大会で報告された「福岡県平原1号墓出土の紺色重層ガラス連珠の再検討」の内容が、朝日新聞やNHKで取り上げられ、注目されています。
福岡県糸島市にある、弥生時代後期から晩期の5つの墳丘墓を合わせた平原遺跡の中の1号墳は、伊都国の王墓と考えられているのですが、
1.副葬品の中に武器がほとんどないこと、
2.ネックレスやブレスレットなどの装身具(アクセサリー)が多いこと、
3.中国で女性が身につける「耳とう」といわれるイヤリングが副葬されていること、
から、この墓に埋葬されているのは女性、つまり女王だとされています。その副葬品の中の青い2層構造のガラス玉が複数つながった「重層ガラス連珠(れんじゅ)」の「成分が、モンゴルやカザフスタンで出土した類似品と一致した。」と報告されたので、話題になっているわけです。
どの連珠もナトロンという塩類を使ったソーダガラスで、アンチモン、マンガンなどの微量成分を含んでおり、同じ場所で作られた可能性が高く、ナトロンを使ったガラスはローマ帝国の領域だった地中海沿岸が原産とみられ、当時のユーラシアの東西を結ぶ交易路の中でも、中央アジアからモンゴル高原を通る「草原の道(ステップ・ロード)」を通って伝わったのはないかとされています。
平原1号墳は、弥生時代終末期(約1800年前)に造られたもので、今回の「重層ガラス連珠」以外にも、銅鏡40枚、鉄刀1本、ガラス製勾玉やメノウ製管玉などの玉類が多数発見されていて、銅鏡のなかには直径46.5cmの内行花文鏡(ないこうかもんきょう)が5枚あるのですが、これは日本最大の銅鏡であり、また、ひとつの墓から出土した銅鏡の枚数も弥生時代としては日本一という古墳です。これらの遺物は、伊都国歴史博物館で見ることができます。
ちなみに、伊都国(いとこく)は、『魏志倭人伝』など中国の史書にみえる倭国内の国の一つで、松浦地方と想定される末廬国(まつらこく)から陸を東南に500里進んだ地に所在するとされる国で、「有千余戸 丗有王 皆統属女王國。郡使往来常所駐」、つまり「1000余戸の家があり、代々の王が居た。皆女王国に従属している。帯方郡(たいほうぐん)の使者が往来して、足を止める所である。」とされていることから、国際的な交流拠点の一つだったと考えられている場所です。今回の報告は、正にそれを裏付けたわけです。
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