7月16日、国の文化審議会が開催され、国の登録有形文化財に、静岡県から御殿場市東山の旧岸邸と、浜松市東区の高林家住宅建造物九件が、登録の答申がされました(報道発表資料はこちら)。
旧岸邸は、報道発表資料に主な事例の1つとして出ていますが、登録のポイントは「建築家吉田五十八(よしだいそや)の意匠が内外に遺憾なく発揮された邸宅」ということのようです。岸とは、言わずと知れた前総理大臣安倍晋三のおじいさんである第56・57代総理大臣岸信介のことで、自邸として1969(昭和44)年に建てられたものです。現在は御殿場市に寄贈されており、一般公開されていて、今はようかんで有名な虎屋さんが指定管理者で、虎屋さんのお店と茶寮があります。東名御殿場インターを降りて山中湖方面へ進むと、走り始めてすぐの右手にあります。
建築家吉田五十八は「近代数寄屋建築の祖」とされる人物で、文化勲章も受賞していますが、この旧岸邸は晩年の代表作の1つだということです。でもやっぱり総理大臣私邸だということも、登録理由に含まれるんでしょうね。わずか50年ほど前の1969年の建物でも登録されるんだということに驚きです(50年前って、もう十分昔?)。
高林家住宅は、2018年に主屋・隠居、田舎家、長屋門、住宅蔵、住宅給水塔の5件がすでに登録されていて、今回は馬小屋、堆肥小屋、男衆部屋、味噌倉・米倉、地の神社、平常門・塀、平門・塀、内塀、外塀の9件が、追加で登録されることになります。
高林家は、代々有玉下村の庄屋を務めた家で、この地域でも有数の豪農です。13代目維兵衛は、幕末に浜松藩の安政改革の際に世話役を務め、慶応改革でも仕法掛に任命されており、明治になると、銀行の設立や耕地整理組合の会長に就任するなど、地域の発展の貢献しています。また、「高林日記」を残しており、歴史関係者にとっては重要な情報源となっています。なお、高林家からはその他にも様々な史料が市に寄贈されていて、浜松市中央図書館に「高林家文庫」として所蔵されています。
14代目兵衛も銀行の経営などで地域に貢献しましたが、特に民芸運動を起こした柳宗悦を支持し、邸内に国内初の常設民芸展示場「日本民芸美術館」を開館しました。2018年に登録された田舎家がそれです。また、時計の収集家としても有名で、現在国立科学博物館に掛時計や櫓時計などが収蔵されています。
これで、県内の登録有形文化財(建造物)は292件となります。
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